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当社の残業は適切? 従業員が知るべき時間外労働の上限規制のポイントとは

公開日時:2022.06.30

2019年から段階的に施行開始した働き方改革関連法案により、労働時間の制限や休暇日数の取得義務など労働者が働きやすい環境が整備されつつあります。しかし世間の風潮では一般的に残業時間が減っているとある中で、自社においてはあまり変化が見られないと感じている人も少なくないでしょう。働き方改革関連法の中には遵守しなければ罰則となるものもあり、従業員が知らないうちに労務リスクを犯してしまっているという可能性もあります。 そこで今回は、従業員も知っておきたい残業時間の上限規制の概要や、法令違反の可能性がある残業管理の例、また残業管理に疑問を持った場合の対策について解説します。

残業時間の上限規制とは

残業時間は法律で上限が設けられています労働基準法に則って、時間外労働の上限規制の概要とおさえるべきポイント、上限を超えた場合の罰則について解説します。

「時間外労働の上限規制」とは

2019年に施行された労働基準法改正によって、初めて36協定で時間外労働の上限「1か月45時間、1年360時間」を超過した際の罰則が定められました。それまでは、36協定の特別条項を結べば事実上際限なく時間外労働が可能でした。しかしこの実態にメスが入れられ、「年720時間以内」「休日労働を含み、1か月100時間未満」などの明確な上限が設定されました。

時間外労働の上限規制は大企業には2019年4月から、中小企業には2020年4月から適用が始まっています。上限規制が導入された背景や罰則の内容について詳しくは「【用語集】時間外労働の上限規制」をご覧ください。

おさえるべきポイント

時間外労働の規制については、特別条項付きの36協定を結んだ場合に適用される「4つの上限」をおさえておく必要があります。

4つの上限

・年720時間以内
・休日労働を含み、1か月100 時間未満
・休日労働を含み、2か月~6か月平均で80時間以内
・月45時間の時間外労働を拡大できるのは年6か月まで(1年単位の変形労働時間制の場合は42時間)

時間外労働を拡大できる限度が年6か月(年6回)までと設定されているのは、特別条項があくまで「臨時的に適用できる措置」であるためです。また、特別条項の適用には「時間外労働が発生すると想定される具体的な理由」が必要になります。例えば、決算業務、大規模なクレームへの対応などであれば「特別な事情」として認められます。特別条項の扱いや適用の条件など詳しい内容は【用語集】36協定をご覧ください。

時間外労働の上限を超えた場合の罰則

時間外労働の上限規制に違反した場合は「6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金」が科されます。この罰則は企業に実効性を伴った残業時間の削減対策を求める目的で導入されました。罰則の対象となるのは経営者だけでなく、残業に関する権限を持っている上司も含まれます。

時間外労働の上限規制が除外および猶予されている業種

2022年現在、残業時間の規制が一部対象外となっている事業・業種があります。これらの事業・業務については適宜法改正によって残業時間削減の対処がとられるようになっています。

時間外労働の上限規制が猶予される事業・業務

残業時間の上限規制が猶予されている事業・業務は「建設事業」「自動車運転の業務」「医師」「鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業」です。それぞれの猶予期間中・猶予後の取扱いについては、以下のとおりです。

時間外労働の上限規制

時間外労働の上限規制が除外される業務

時間外労働の上限規制が猶予されている業務は「新技術・新商品等の研究開発業務」です。しかし労働安全衛生法の改正により、1週間当たりの時間外労働が40時間を超え、累計の残業時間が月100時間を超えた労働者に対しては、医師の⾯接指導が罰則付きで義務付けられています。企業側は⾯接指導を担当した医師の意⾒をもとに、必要に応じて就業場所や職務内容を変更する、有給休暇を付与するなどの措置を講じる必要があります。

自社の残業管理は適正か?

残業管理をしていないことが判明した企業は「6か月以下の懲役」もしくは「30万円以下の罰金」となり、悪質なケースであれば厚生労働省によって企業名がインターネット上に公表されます。企業経営を継続していくためには法律遵守を徹底すべきであり、従業員一人ひとりも残業管理の必要性や適切な方法を理解しておく必要があります。

ここでは、適切でない残業管理の例と、自社の残業管理に疑問を持った場合の対処法について解説します。

適切でない残業管理の例

法令に違反する可能性が高い「適切でない残業管理」とはどういったものでしょうか。ここでは大きく分けて「適切な勤怠管理が行われていない」「サービス残業を黙認する風潮がある」の2つの具体例を紹介します。

適切な勤怠管理が行われていない

勤怠管理に対して真剣に取り組んでおらず適切な勤怠管理が行われてない企業は法律違反の可能性があります。例えば、出退勤の確認しかせず勤務時間に関しては自己申告任せになっている、正確な残業時間を計測していないなどが不適切な残業管理として挙げられます。

サービス残業を黙認する風潮がある

上司や会社がサービス残業を黙認する風潮がある場合も、法定に違反する可能性が高い「不適切な残業管理」です。労働時間とは「従業員が会社の指揮命令下に置かれる時間」を指すため、従業員が自主的に残業をする場合は基本的に労働時間とはみなされません。しかし、「残って仕事を片づけるのが当然」など会社側が残業を黙認していた場合はサービス残業となり、時間外労働の上限規制に関わることになります。

自社の残業管理に疑問を持ったら

では、自社の残業管理に対して疑問に思ったらどうしたらよいのでしょうか。従業員がとれる具体的な3つの行動を説明します。

36協定を確認する

まずは36協定の内容を確認しましょう。36協定には、時間外労働が適用される労働者の範囲、時間外労働をさせる時間数、休日労働をさせる日数、限度時間を超えた従業員に対する健康確保措置、割増賃金の率などが記載されています。36協定の内容と自社の残業の実態を比較して明らかに乖離がある場合は、法令違反の可能性があります。

上司に相談する

残業時間の計測が正確に行われてない、サービス残業が黙認されているなど、残業管理の体制に問題があると感じた場合は上司に相談しましょう。法令違反をしている可能性や罰則についても触れ、組織全体での改善を促すことが大切です。

労働基準監督署に相談する

上司に相談しても事態が改善されなかったり、重大な法令違反があったりする場合は労働基準監督署に相談しましょう。労働基準監督署とは、企業や事業所が労働基準法などの法律を遵守して運営されるように監督する機関です。労働基準監督署に自社の残業管理について相談すれば、立ち入り調査や是正勧告を行ってもらえる場合があります。

まとめ

労働基準法には細かい規定や例外などが多く、日々の業務の中で気付きにくいところもあります。従業員は、まずは労働基準法で定められている内容や残業時間の上限規制について正しく理解しておくことが必要です。また、自身の残業時間が合法的かどうかを見極めるために、自社の規則を把握しておかなければなりません。場合によっては上司に、それでも解決しなければ労働基準監督署に相談することも必要になるかもしれません。

そもそも、自社の勤怠管理は適正と言えるでしょうか。上限時間が制限されているにも関わらず残業時間を区別して計測していないのであれば、法律違反にあたる可能性があります。出退勤の記録だけでなく労働時間や休憩時間、残業時間などを区別して計測できなければ、適正な勤怠管理が行われているとは言えませんので、ご注意ください。

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