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体調不良で欠勤が多い従業員がおり業務に支障が出ています。

まずは従業員と話し合い、欠勤の理由についてヒアリングしながら改善指導や解雇を含めた対応を決めましょう。
公開日時:2022.09.16 / 更新日時:2024.10.04
詳しく解説

Q. 体調不良で欠勤が多い従業員がおり業務に支障が出ています。トラブルにならない対応方法を知りたいです。

100人規模の中小企業の人事です。体調不良で週に何度も欠勤する従業員がおり、所属部署の業務にも支障が出ています。 このまま欠勤が続くようなら解雇を視野に入れて、従業員の処遇を決める必要があると考えています。このような場合、トラブルに発展させずに対応を進めるにはどうすればよいでしょうか。

A. まずは欠勤している従業員と話し合いの場を持つところから始めましょう。欠勤の理由についてヒアリングしながら、その内容に基づいた改善指導や解雇を含めた対応を決めていきます。

トラブルにならないよう対応するには、威圧的にならない態度を心がけつつ、対象となる従業員と、話し合いの場をつくるところから始めましょう。その状態で、欠勤になった事情を本人からヒアリングします。

考えられる事情としては、体調不良や事故、忌引き、交通機関の乱れなどが一般的な事情です。しかし、精神的な事情で体調不良になっている場合には、その原因まで確認しましょう。例えば、プライベートの悩み、長時間労働やハラスメントなど仕事に関する悩みなどが健康問題に関わっているケースも考えられます。

ヒアリング内容にもとづき、従業員の努力不足などが背景にある場合には、従業員の改善指導を行い、健康問題が深刻な場合は病院への受診を勧めましょう。

これらの取り組みを継続的に実施しても改善が見られず、従業員の責任が大きいと考えられる場合には、解雇を視野に入れて対応をしていきます。解雇の条件について詳しくは、人事・労務の注目用語「整理解雇」をご覧ください。

従業員と話し合うこと

まずは対象となる従業員と冷静に話し合いをする機会を設けましょう。威圧的に従業員を非難すると、ハラスメント問題に発展する可能性があるため、注意が必要です。話し合いのときには、本人が考える体調が悪くなる理由や、抱えている悩みがあるかどうかについて確認します。

考えられる理由としては、長時間労働やパワハラ、仕事がうまくいかないなどの悩み、家庭の悩み、メンタルの不調などが考えられます。これらのヒアリングを行う際には、本人に責任があるか、会社で改善できる部分はないか考慮しながら話を聞きましょう。

本人に責任がある場合であれば、注意や指導をし、会社側で対応できる部分があれば、対応策を実施します。療養の必要があると判断した場合には、病院への受診を勧めてください。

体調不良での欠勤を理由に解雇はできる?

体調不良の改善が見られない場合には、解雇の選択肢もありえます。しかし、ケースによって、解雇にできるケースとできないケースがあるため、その見極めをしてから対応を決めることが大切です。

解雇が可能なケース

労働契約法16条では、解雇の濫用は禁止されており、合理的な理由がなければ従業員の解雇はできません。合理的な理由があると認められるのは、以下の手続きを踏んだ場合です。

①いきなり解雇をせず、欠勤に対して注意や指導をする

②本人と話し合い、会社としてできる改善案を示す

③効果がない場合には、「戒告」や「けん責」など軽い懲戒処分を決定する

④指導や懲戒が複数回あっても、改善が見られず、今後の改善見込みも見られないと判断される

ここまでの手順を踏んで、初めて体調不良を理由にした欠勤での解雇が可能になります。

なお、病気であっても、業務遂行が困難な場合には、解雇が有効となることもあります。その場合、まずは休職制度の利用ができないか検討しましょう。休職制度がない場合で、一定期間以上欠勤が続くと解雇できる場合があります。しかし、このようなケースに該当する場合でも、即日解雇はできず、一定期間空けなければいけません。

解雇ができないケース

従業員の解雇ができないケースとしては、以下が考えられます。

・欠勤している従業員の体調不良の原因に病気がある場合

・子どもや高齢の家族の病気などの対応の場合

・体調不良の原因が妊娠・出産・生理の場合

・「解雇が可能なケース」の手順を踏んでいない場合

・従業員の体調不良について、会社側に一定の責任がある場合

これらの場合には、不当解雇とみなされるため解雇できず、従業員に命令した場合は無効となります。仮に体調不良による欠勤が続いた場合でも、後の業務に支障がないと判断され、勤怠状況が改善されていれば、「体調不良のため解雇」と言われても無効にできます。

病気の理由が労災にある場合には、その病気を理由に解雇はできません。なお、違法な長時間労働やサービス残業、パワハラなどの原因で病気になったと従業員が主張する場合も、解雇できません。ただし、その場合には、違法行為であることを従業員側が証明する必要があります。

一方、労災であっても、療養開始後3年経過し、病気の改善が見られない場合には、会社側は平均賃金の1200日分の打切補償を行うことで、解雇が可能になります。

欠勤が多い従業員に対して企業がとるべき対応

欠勤が多い従業員に対しては、注意や指導の前に以下3つのことを日頃から実施し、対策しておきましょう。従業員の欠勤が目立って多い場合にスムーズに対応できます。

①勤怠記録を確認する

欠勤が多い従業員はもちろん、従業員それぞれの勤怠状況を確認し、遅刻などの問題がある従業員には指導を行いましょう。

②欠勤の理由を把握しておく

欠勤があったときには、欠勤の理由を把握しておきましょう。家庭の事情や風邪、業務過多による体調不良であっても、理由を従業員から提出させ、理由のない欠勤と区別しておきます。理由がない欠勤の場合、就業規則で規定しておけば、懲戒にすることも可能です。

欠勤の理由が分かっていて、会社側で解決できる内容の場合には、原因にもアプローチし、改善を試みましょう。

③就業規則に欠勤についてのルールを明記する

就業規則に欠勤についてのルールを明記しておけば、欠勤があった場合に懲戒処分を速やかに行えます。

例えば「理由なく〇回以上欠勤や遅刻を繰り返した場合に戒告とする」などのように定めておき、従業員にも周知しておけば、理由がない欠勤があった場合に、懲戒にすることができます。

まとめ

体調不良で欠勤を繰り返す従業員がいる場合には、威圧的にならないようにしながら、欠勤の理由を確認することからはじめましょう。丁寧に話を聞く姿勢を示すことで、ハラスメント問題への発展をあらかじめ防ぐことができます。

欠勤理由を聞いたうえで、内容に応じて、従業員への改善指導や会社側での対応の見直し、健康状態に問題がある場合には、受診を勧めるなどの対応を進める必要があります。

病気が理由ではないにもかかわらず、欠勤を繰り返し、改善の見込みがない場合には、懲戒解雇も選択肢となります。しかし、合理的な理由がない場合には、不当解雇となり、無効になってしまうため、最後の手段として検討しましょう。

日頃から勤怠管理体制を整え、従業員の勤怠状況や欠勤の理由を確認し、就業規則に欠勤についてのルールを定めておくと、欠勤が多い従業員に対してスムーズな対応が可能です。欠勤回数や欠勤が増えた時期をすぐに把握でき、遅刻や欠勤の理由の申告も可能な、勤怠管理システムを導入することで、このような体制を無理なく整えられます。

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