• ホーム
  • 業務改善ガイド
  • DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)とは?メリット・ポイントを解説

業務改善ガイド

DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)とは?メリット・ポイントを解説

公開日時:2024.01.18

働き方改革の流れのなかで多様な働き方を許容し、DE&I(ダイバーシティエクイティ&インクルージョン)を重視する企業が増えています。DE&Iの推進は、人材の多様化や人材不足の解消といったかたちで企業にもメリットがあります。
自社のダイバーシティの現状を把握したうえで、組織全体や所属する従業員の意識改革を進めましょう。この記事では、DE&Iの基本的な考え方と、推進するメリットおよびポイントを紹介します。多様性を尊重する組織をつくり上げるうえで、ぜひ参考にしてください。

DE&Iとは?

DE&Iの3つのアルファベットは、Diversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包摂性)の頭文字です。すなわち、DE&Iとは公平性を担保し、多様性を認めながら個々の個性を尊重するという概念です。DE&Iを推進することで、多様な属性や人間性をもつ従業員が職場で活躍できるようになり、企業には、イノベーションの実現や従業員のモチベーション向上といったさまざまな好影響があります。

DE&Iを構成するDiversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包摂性)について、さらに詳しく紹介します。

Diversity(多様性)

「D」であるダイバーシティ(多様性)とは、ジェンダーや国籍、思想やし好の違いを認め、さまざまな個性の人が集まっている状態を指します。多様性の否定は差別や不平等の温床となるため、望ましいことではありません。多様なバックグラウンドを持つ人々を組織に取り込むことで、新たなアイデアの創出や適材適所での人材配置が促進すると期待されます。

Equity(公平性)

「E」であるエクイティ(公平性)は、集団・組織において制度や手続きの公平性を保ち、異なる特性の人たちが快適に過ごし、活躍できる状態を指します。企業は、文化・言語などの違いがあっても従業員が支障なく働けるように、制度や業務プロセス、マニュアルなどを整備する必要があります。従業員同士が、相手の特性の違いによって対応や態度に不当な差をつけないことも重要です。

Inclusion(包摂性)

「I」であるインクルージョン(包摂性)は、個々の違いを互いに認め、協調して一体感のある状態です。インクルージョンが進んだ組織では、ダイバーシティの促進を通じて集まった多様な人材それぞれが力を発揮し、活躍できます。異なる個性の人たちが協調して働いたり、活動したりできるようになり、イノベーションの創出につながるでしょう。また、集団への帰属意識が生まれ、組織としての結束も強まります。

D&IからDE&Iに変遷した理由

DE&Iの概念が普及する前には、「D&I」という考え方がありました。D&Iは「ダイバーシティ&インクルージョン」で「エクイティ」だけが含まれていません。DとIの概念はDE&Iと同じです。D&Iとは、個性の違いを尊重しながら、異なる個性の人たちが一体感を持ちつつ互いに活躍できる状態を指します。

現在では、次の2つの理由から、D&Iの概念がDE&Iへと変遷しつつあります。

差別を解消するため

働く人の意識にD&Iが芽生え、個性の異なる多様な人材が組織に入ってきても、公平性が担保されていなければ不平等や差別が生まれる可能性があります。不平等が生じると、不利な立場の人材は流出を余儀なくされるため、ダイバーシティとインクルージョンを促進することは困難です。

日本企業の場合は、属性や雇用形態などによって報酬や評価、昇進などで格差が生まれるケースが少なくありません。上司が無意識のうちに自分と近い個性の人材を優遇し、差別につながることもあるでしょう。こうした弊害を取り除くために、公平性の担保が重要なのです。

不利な立場とされる人をつくらないため

公平性がないと、集団の中に不利な立場にたたされる人が生まれ、誰もが快適に働ける組織ではなくなります。例えば、外国人人材を受け入れても、社内の資料がすべて日本語で、同僚にも言葉が通じないといった状態では、スムーズに働くことができません。その人が本来持つ能力を十分に発揮できる職場とはいえないでしょう。公平性を担保して、誰もが同じ条件で業務を進めて活躍する機会を与えることは重要です。

DE&Iを推進するメリットや効果とは?

DE&Iを推進すると、企業や従業員に次のようなメリットや効果が期待できます。

イノベーションの創出

多様な人材を受け入れ、それぞれが活躍できる組織を構築すると、イノベーションの創出が促進されます。異なる個性やバックグラウンドの人たちの知見や考え方が組み合わさることで、新たな技術やビジネスモデルが生まれる可能性は高いのです。

ボストンコンサルティンググループの研究によると、イノベーションによる収益を1%上昇させるためには、次のいずれかの対策をとるとよいとされています。

  • 経営層の1.5%を異なる地域の出身者にする
  • 経営層の2%を異なる業界出身者にする
  • 経営層の2.5%を異なる性別にする
  • 経営層の管理職の3%を異なるキャリアを持つ人にする

従業員のモチベーション向上

DE&Iの実現により、さまざまな個性を持つ従業員全員が活躍できる機会を得られると、モチベーション向上につながります。それぞれが自分の能力を十分に発揮できるように、企業は職場環境や業務内容の整備をすることが重要です。

人材確保

DE&Iの推進により、個性の異なる優秀な人材を集められます。多様な人材が活躍のチャンスを平等に得られる環境であれば、マイノリティに属する従業員の流出も防ぐことができます。結果として、優秀な人材を確保し、人材不足の予防につながるでしょう。

企業価値の向上

優秀な人材が集まり、イノベーションが創出されれば、企業の成長が加速します。ビジネスのさらなる発展と企業価値の向上が期待できます。また、DE&IはSDGsの一要素でもあります。DE&Iを推進する企業はSDGsの課題解決に積極的であるとみなされて、企業・ブランドイメージの向上につながるでしょう。

グローバリゼーションへ対応可能

海外の人材・組織は日本とは異なる点が多々ありますが、DE&Iの推進により、互いを尊重し連携し合う環境を整えることで、ビジネスを海外に広げたり、海外企業との提携を深めたりするグローバリゼーションにもスムーズに対応できます。

DE&Iの具体的な活動・施策・取り組み

DE&I推進のためにできることは多数あります。例えば、以下のような取り組みが考えられます。

働き方の制度の充実

リモートワーク、時短勤務、フレックスタイム制などの多様な働き方を受容する制度を整備します。これらは、より多様な人材を雇うため、また、介護・育児と両立したい従業員の離職を防ぐための取り組みです。出社を伴わないフルタイムリモートワーク制度では、外国人を現地採用することも可能です。

ワークライフバランスの充実

仕事とプライベートの生活をどちらも大切にしたいという人は多いでしょう。休暇制度や福利厚生の見直しなど、ワークライフバランスを充実させる取り組みを進めれば、多様な考えを持つ人を組織に取り込めます。

オフィスの整備(バリアフリー)

障がい者や高齢者の雇用も多様性のひとつです。オフィスのバリアフリーや利便性を整備して、ハンディキャップがあっても活躍できる環境を整えます。

雇用、管理職登用の充実(女性の管理職登用、障がい者雇用など)

通常どおりの人員募集では多様性はなかなか実現できません。女性や障がい者など、組織においてマイノリティになりがちな人材の雇用を重点的に進める取り組みも考えられます。

社内の資料やツールの多言語化

海外の人材に活躍してもらうためには、社内の文章や資料をできるだけ外国語対応にしておく必要があります。英語はもちろんのこと、事業内容に合わせた言語に対応できるようにしておくと、より多くの外国人人材を活用できるでしょう。

制服の廃止や服装規定の緩和

服装は人種や出身地、それぞれの考え方や文化が現れるポイントのひとつです。それを画一的な制服で統一しては、多様性を十分に受け入れているとはいえません。道徳的・常識的に問題のない範囲内で、服装規程は緩和するのが望ましいといえます。

DE&I推進のポイント

DE&I推進は、以下のようなポイントに留意して取り組むことが重要です。

ダイバーシティの現状を把握する

まずは、自社のダイバーシティの現状を把握することが大切です。そのうえで課題を洗い出し、目標設定をします。例えば、以下の数値を集計して、組織に偏りがないか精査するとよいでしょう。

  • 男女比
  • 離職率
  • 外国人雇用者の比率
  • 障がい者雇用の状況
  • 介護・育児との両立状況

アンコンシャスバイアスを知り、なくしていく

アンコンシャスバイアスとは、性別・年齢・国籍・人種などの人の個性に対して無意識のうちに偏見を持つことです。表面的に差別をなくしても、アンコンシャスバイアスがDE&Iを阻害するケースは少なくありません。アンコンシャスバイアスについて知り、なくしていくよう制度改革や従業員教育を進めます。研修を通じてアンコンシャスバイアスにあたるケースを示し、改善する方法を従業員とともに考えていきましょう。

心理的安全性の高い組織をつくる

DE&Iを実現するには、「心理的安全性」が高い組織の形成が重要です。心理的安全性とは、チームのほかのメンバーが発言を拒絶したり、評価を下げたりしないと信用できる状態のことを指します。心理的安全性が高ければ、従業員は自身の個性、考え方、信念などに基づいた発言ができ、より効率的な業務推進が可能です。多様な人材の個性が発揮され、DE&Iのメリットを享受できるでしょう。

まとめ

DE&I推進のためには、従業員の働き方を正しく把握・分析したうえで、それぞれの個性やバックグラウンドに合った働き方、休暇制度を整備することが重要です。勤怠データや評価データ、プロジェクト管理データなどの、さまざまな観点の人事データを活用して、現状把握や改善に役立てましょう。

多様な働き方にも対応可能な勤怠管理システム

アマノの勤怠管理システム「VG Cloud」は、DXを通じた働き方改革を支援するクラウド型勤怠管理システムです。クラウドサービスとは思えない柔軟さが特徴で、DE&I推進に向けた多様な雇用体系、勤務体系、休暇制度に対応可能な設定領域を備え、「働き方の多様化」の実現をしっかりとサポートします。

GUIDE

勤怠管理のパイオニア「AMANO」のノウハウをぎゅっと凝縮してお届けします!

01基礎知識

勤怠管理の意義と
重要性

02選び方

勤怠管理システム
選び方の基本

03実践編

勤怠管理システム
導入のポイント

全てを1つの資料にまとめた総集編「勤怠管理の選び方完全ガイド」無料配布中!

「高いシステムと安いシステムでは何が違うのか」を徹底解説