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深夜手当とは?複雑な内容と計算方法をわかりやすく解説

公開日時:2023.12.05

「深夜手当」と聞くと、どのようなイメージを持たれるでしょうか? 「賃金は何割増になるか」や「計算はどうすればいいか」などの疑問が湧き、少し複雑で難しい印象があります。もっと効率的に処理する方法を知りたいという方も少なくないでしょう。

今回は、わかっているようで実は曖昧な深夜手当の内容と手当の計算方法などについて、わかりやすく解説します。

深夜手当とは

深夜手当とは、深夜労働時間帯に行った労働の対価として支払われる賃金を指します。まずは、労働基準法で定められている内容を確認しておきましょう。

深夜労働時間帯および賃金の割増率

労働基準法第37条第4項には、次のような事項が定められています。

1. 労働基準法で定める深夜時間帯

  • 午後10時から午前5時(翌5時)まで。
    ただし、厚生労働大臣が必要であると認めた地域または期間については、午後11時から午前6時(翌6時)までとする。

2. 労働基準法で定める深夜労働の割増率

  • 上記時間帯に発生した労働については、1時間当たりの賃金に25%以上を乗じた割増賃金を支払わなければならない。

時間帯別賃金割増率の例

ここで、ひとつの労働パターンを例に、割増賃金が時間帯でどう変化するかを見てみましょう。

所定労働時間が午前9時から午後5時(休憩1時間)の場合

  • 午後5時から午後6時(法定時間内残業)
    ⇒ 1時間当たりの賃金× 1.00(割増率 0%)
  • 午後6時から午後10時(法定時間外残業)
    ⇒ 1時間当たりの賃金×1.25以上(割増率 25%以上)
  • 午後10時から午前5時(法定時間外残業+深夜残業)
    ⇒ 1時間当たりの賃金×1.50(1.25+0.25)以上(割増率50%)以上

このように、深夜時間帯の残業では法定時間外残業と深夜残業の割増率が合算されます。つまり、1時間当たりの賃金に50%以上を乗じた分が1時間当たりの賃金に加算されます。

また、月60時間を超える時間外労働については、割増率が50%に増加。深夜時間帯に残業をした従業員が、その基準に該当する場合には、法定時間外残業50%以上+深夜残業25%以上となり、合計75%以上の割増率になります。

深夜時間帯に関わる手当の種類とその違い

深夜時間帯に関わる手当にはさまざまなものがあり、目的によりその性質には差があります。ここからは、一見似ている言葉でもその中身は異なる、深夜時間帯の手当について比較してみましょう。

「深夜手当」と「夜勤手当」の違い

まずは、「深夜手当」と「夜勤手当」の違いです。「深夜手当」は、前章で解説したとおり労働基準法で定められており、支払わなければならない手当です。次に解説する「深夜労働手当」がこれにあたります。

「夜勤手当」は企業が任意で設定する手当で、法的な縛りはなくインセンティブとして支給する報酬です。

「深夜労働手当」と「深夜残業手当」の違い

次に、「深夜労働手当」と「深夜残業手当」の違いです。

「深夜労働手当」は、前述のように午後10時から午前5時までの「深夜労働」において、1時間当たりの賃金に25%以上を割り増しする手当です。「深夜手当」とも呼ばれています。

「深夜残業手当」は、深夜時間帯の法定時間外残業に対して、1時間当たりの賃金に25%以上を割り増しして支給する手当です。

深夜時間帯の残業においては、「深夜労働手当(深夜手当)」と「深夜残業手当」を合算して支給します。

深夜労働に関わる手当の計算方法と実例

深夜労働に関わる手当の違いについて確認しました。ここからは、より具体的な計算方法を解説します。

計算前の予備知識

まずは計算するにあたり、計算の手順や最初に理解しておくべき予備知識をお伝えします。

1. 手当の計算式

深夜労働にかかわる手当の計算式は「手当額=1時間当たりの賃金×割増率×労働時間」です。

1時間当たりの賃金を求める計算式

「1時間当たりの賃金」とは、月給を時給換算したものです。企業で働く正社員の多くは、固定給制で働いています。固定された月給を、以下の計算式で時給へ換算します。

  • 1時間当たりの賃金=月給÷1年間における1か月平均所定労働時間
  • 1年間における1か月平均所定労働時間=(365日-年間所定休日)×1日の所定労働時間÷12か月

手当には、月給の中に含めてもよいものと含めてはいけないものがあります。含めてもよい手当は、役職手当や地域手当、調整手当、業務手当などです。含めてはいけないものには、家族手当や残業手当、深夜手当、通勤手当、賞与、住宅手当などがあります。

2. 割増率と労働時間

割増率は、労働基準法で定める料率を参考に、各企業で設定します。今回の計算例においては「法定時間外残業」25%、「深夜労働手当」25%、「深夜残業手当」25%とします。

労働時間とは、各時間帯で実際に労働した時間です。

手当計算の実例

手当の計算方法と予備知識を得たところで、実際の例に沿って計算してみましょう。

基本給250,000円、役職手当8,000円、家族手当20,000円、通勤手当15,000円、年間所定休日125日、1日の所定労働時間8時間の場合を題材に計算します。

まずは「1年間における1か月平均所定労働時間」を求める計算式に、それぞれの数値をあてはめます。

  • 1年間における1か月平均所定労働時間=(365日-年間所定休日125日)×1日の所定労働時間8時間÷12か月=240日×8時間÷12か月=160時間

次は、月給の時給換算です。このとき、月給に含める手当を合算し、基本給250,000円+役職手当8,000円=月給258,000円とします。家族手当と通勤手当は除外です。これを、先ほど求めた「1年間における1か月平均所定労働時間160時間」と合わせて、「1時間当たりの賃金」を求める計算式に当てはめます。

  • 1時間当たりの賃金=月給258,000÷1年間における1か月平均所定労働時間160時間=1612.5≒1,613円
1時間当たりの賃金額の端数処理は「50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上1円未満の端数を1円に切り上げ」です。

1時間当たりの賃金の計算が完了したら、手当の計算です。

深夜労働手当(深夜手当)

  • 所定労働時間:午後5時から午前2時(通常時間帯休憩1時間)8時間労働の場合
  • 深夜労働時間:午後10時から午前2時の4時間
  • 深夜労働手当額=1時間当たりの賃金1,613円×1.25(割増率25%)×対象労働時間4時間=8,065円

深夜残業手当

  • 所定労働時間:午前10時から午後7時(休憩1時間)8時間労働の場合
  • 実労働時間:午前10時から午前0時
  • 残業時間:法定時間外残業5時間(内深夜残業2時間)
  • 通常残業手当額=1時間当たりの賃金1,613円×1.25(割増率25%)×対象労働時間3時間=6,049円
  • 深夜残業手当額=1時間当たりの賃金1,613円×1.50(割増率50%)×対象労働時間2時間=4,839円
深夜残業手当の割増率内訳:法定時間外残業の割増率25%+深夜残業の割増率25%=50%

深夜労働に関わる手当を支給する際の注意点

深夜労働にかかわる手当を支給する際には、いくつか注意する点があります。

1. 18歳以下の深夜労働禁止

労働基準法第61条では、「満18歳に満たない者を午後10時から午前5時まで労働させてはならない」と定められています。ご注意ください。

2. 固定残業代制度における深夜残業手当の支給

固定残業代制度は、想定される残業代をあらかじめ支給する制度です。深夜労働分が入っていない場合や固定残業を超過した深夜労働には、別途、手当の支給が必要です。

3. 裁量労働制における深夜残業手当の支給

裁量労働制は、あらかじめ企業と労働者の間で規定した時間を労働時間と見なします。この場合、実働が1時間でも10時間でも賃金は一律です。深夜時間帯の労働には、通常どおり、深夜労働手当や深夜残業手当を支給します。

4. 管理職への深夜労働手当の支給

管理職とは、労働基準法上の「管理監督者」を指します。管理監督者は、経営者と一体的な立場にあり、労働時間や休憩、休日などの制限は受けません。つまり、残業時間の概念がないのです。深夜時間帯の労働については、深夜労働手当が支給されます。

勤怠管理システムで複雑な深夜労働も適切に管理

深夜労働に関わる手当の計算は大変に複雑です。管理する対象が増えれば、その手間はさらに拡大し、ヒューマンエラーの発生率も上がります。

そこで、おすすめなのが「勤怠管理システム」による管理です。複雑な深夜労働の勤怠管理を徹底し、労務リスクに備えることができます。

1. 区分が手間なく簡単にできる

「深夜労働」や「深夜残業」といった区分はシステムが適正に行います。複雑な集計も自動で行われるため、管理部門の業務効率化が実現できます。

2. 給与計算システムとの連携で正確な給与計算ができる

深夜手当の計算は複雑で、手作業によるヒューマンエラーリスクは常に存在します。勤怠管理システムは、給与計算システムとの連携にも柔軟なため、複雑な計算も自動で完了。正確かつ迅速な処理が可能となり、業務効率化や生産性向上につながります。

3. 残業時間の常時監視を行い過重労働の削減ができる

法律で定める残業時間の上限と、各従業員の実労働時間を比較し、アラート機能で通知します。それにより、未然に長時間労働の回避が可能です。従業員の時間に対する意識も向上し、残業削減につながります。

4. 残業申請がシステム上で完了できる

残業の申請から承認まで勤怠管理システム上で完結するため、時間効率がアップします。それに伴い、上長と担当者間の行き違いも解消され、生産性も向上するでしょう。

まとめ

今回は、混乱しがちな深夜手当の内容と計算方法について解説しました。その内容もさることながら、実際の計算も複雑であり、人の手による管理には限界があります。「勤怠管理システム」を活用することで、こうした難しい課題を正確かつ効率的に処理することが可能です。

その他、複雑な勤務形態やシフトの管理、さらには労働時間の見える化による多角的なマネジメントも実現。従業員の労働時間に対する意識も向上し、残業削減にもつながるでしょう。業務の効率化や生産性の向上、働きやすい職場づくりのためにも、勤怠管理システムをぜひご活用ください。

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