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36協定の新様式の変更点を解説!電子申請の方法も紹介

2021.07.07

2018年の働き方改革関連法の施行に基づき、企業に対して時間外労働時間の上限規制が設けられ、36協定の規定も一部見直しがされました。それに伴い、36協定届の様式も新しくなりました。この記事では、2021年に変更された36協定の新様式について解説します。また、36協定の電子申請方法も紹介します。

36協定とは

労働基準法36条に基づく時間外・休日労働の取り決めに関する「36協定」の定義と、36協定に関係する時間外労働時間の上限について解説します。

1. 36協定の定義

36協定とは、労働基準法第36条に基づく時間外・休日労働の取り決めに関する労使協定のことです。労働基準法36条に基づいていることから「36協定」と呼ばれています。労働基準法では労働時間や休日について以下の原則が定められています。

労働時間・休日の原則

・使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働者を労働させてはならない
・使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければならない
・使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を労働者に与えなければならない

しかし、労使間で36協定を結べば、使用者は法定労働時間を超えて労働者を働かせることが可能になります。36協定の規定は、人手不足や納期の問題で法定労働時間内に必要業務を終えることができない現場も多いことから、例外的な労働を可能とする目的で設けられています。特別条項付き36協定による労働時間の延長はクレーム対応や繁忙期の対応など、特別な事情があるときに限り実施でき、理由を示さず時間外労働の上限を延長することはできません。

また、36協定は必ずしも全ての企業が締結する必要がある労使協定ではありません。ただし、36協定を締結しなくても差し支えないのは「通常業務において従業員の労働時間が8時間を超えることが確実にない労働時間を設定している事業所」に限られます。契約上、所定労働時間が1日8時間でも、8時間を超えて残業をする日や期間がある場合は、36協定を締結する必要があります。

2. 36協定の時間外労働時間上限

36協定によって可能となる時間外労働時間には「月45時間・年360時間の上限」があります。ただし、労使間で「特別条項付き36協定」を結べば、この上限を超えた時間外労働が可能になります。特別条項付きの36協定の場合、時間外労働時間の上限は年720時間以内で、休日労働を含む1か月で100時間未満です。36協定の有効期間は原則1年のため、時間外労働が日常的に発生する企業では、毎年締結と届出を行う必要があります。

従来は、特別条項付き36協定を結べば事実上際限なく従業員に時間外労働をさせることが可能であり、「月45時間・年360時間」の上限を超えて働かせた場合にも罰則がありませんでした。そのため特別条項付きの36協定は過重労働を促すとして問題視されてきました。

しかし、2018年6月に行われた労働基準法改正によって「時間外労働の上限規制」が導入され、2019年4月(中小企業は2020年4月)より特別条項付き36協定を結んだ上でも適用される罰則付きの時間外労働の上限が定められました。

通常の36協定と特別条項付き36協定を結んだ場合の時間外労働の上限

・36協定を結んだ場合でも時間外労働の上限は「月45時間・年360時間」
・特別条項付きの36協定を結んだ場合の時間外労働の上限
 「年720時間以内」
 「複数月平均80時間以内(休日労働を含む)」
 「月100時間未満(休日労働を含む)」
 「月45時間を超えることができるのは、年6回まで」
・上限を超えて従業員を働かせた場合、「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」

特別条項を結ぶ条件についての詳細は、「36協定 -人事・労務の注目用語 | 人事・労務のためのHR改善ナビ By AMANO 」を確認してください。

2021年に導入された36協定の新様式と変更点

ここでは、2021年に導入された36協定届の新様式について、具体的な変更点を解説します。変更点は以下の3つです。

  1. 押印・署名が廃止になった
  2. 労働者の適格性を確認するチェックボックスが設置された
  3. 電子申請に限り本社一括届出が可能になった

2021年の様式変更では押印・署名が廃止される、電子申請に限り本社一括届出が可能になるなど、協定書の作成・届出がより簡単に行えるようになりました。また、36協定の対象となる労働者の適格性を確認するチェックボックスも設置され、要件の確認作業が従来より厳格化されました。

1. 変更点 1: 押印・署名が廃止になった

2021年の様式変更では、行政手続きにおける押印の必要性が見直されている動きを受け、36協定届における押印・署名が廃止になりました。

様式変更前までは、労使双方が合意の上で36協定が締結されたことを明らかにするために必要な、記名と押印、または署名の手間が発生していましたが、今回の押印・署名の廃止により、協定届をよりスムーズに作成できるようになりました。

押印・署名の手続きが必要なくなったことで、労使協定の締結が起算日近くになってしまっても以前より早く書類を届け出ることが可能になりました。例えば手続きに手間取り、「起算日までに労働基準監督署に36協定届が到着していない」となった場合、到着する前までに行った残業は違法となってしまいますが、押印・署名の手続きを省くことでこのような事態を未然に防ぐことができます。

2. 変更点 2: 労働者の適格性を確認するチェックボックスが設置された

新様式では、36協定を適切に締結するため、労働者の適格性について以下の要件を確認するチェックボックスが設置されました。

  • 管理監督者でないこと
  • 36協定を締結する者を選出することを明らかにした上で、投票・挙手などの方法で選出すること
  • 使用者の意向にもとづいて選出された者でないこと

36協定は労働者の過半数が加入している労働組合(過半数労働組合)、または労働者の過半数の代表者(過半数代表者)と締結する必要があります。過半数代表者を選出して36協定を締結する場合には、36協定締結のための代表者選出であることを明らかにした上で挙手や投票の方法で過半数代表者を選出します。事業主が選出した人は過半数代表者として認められません。また、管理監督者も代表者にはなれない決まりになっています。

新様式のチェックボックスにチェックがない場合には、形式上の要件に適合している協定届とはなりません。ただし、旧様式に直接チェックボックスの記載を追記するか、チェックボックスの記載を転記した紙を添付すれば、旧様式で届け出ることもできます。

3. 変更点 3: 電子申請に限り本社一括届出が可能になった

2021年の様式変更を機に、事業所ごとに労働者代表が異なる場合であっても、電子申請であれば36協定の本社一括届出が可能になりました。また、e-Gov電子申請では押印・署名の代わりとなる電子署名・電子証明書の添付も不要です。

ただし、36協定の締結はこれまでと同様に事業所単位で行う必要があります。事業所は同じ場所にあるかどうかで区分されるため、場所が分かれているものは別の事業所としてみなされます。また、事業所内に出勤管理や指揮命令を行う人がいないなど、場所は独立していても組織として独立性がない場合は、他の事業所とまとめて一事業所とみなされます。

このように、新様式によって労使協定の届出の要件は緩和されましたが、あくまで届出に関する緩和であり、労使協定の締結自体はこれまでと同様に事業所単位で行う必要があります。

36協定の電子申請方法

e-Govを使った36協定の電子申請は、以下の流れで行います。

  1. e-Govの電子申請サイトへアクセスし、アカウントを登録する
  2. アプリをインストールする
  3. マイページにアクセスする
  4. 「時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)」を手続き検索し、電子申請を行う

e-Gov 電子申請を利用するためには、まずはe-Gov アカウント登録を行います。e-Govアカウントの取得はステップごとに画面の画像を交えて操作方法が案内されるので、それに従って手続きを行います。インストールするアプリは、Windows、macOSどちらのPCでも利用できます。

マイページにアクセスすれば、各行政手続の申請状況の確認や、基本情報の編集などを行うことができます。ここでは、申請した手続きの事務処理状況や提出機関から発出される公文書の取得方法などを確認することも可能です。

36協定の届出を電子申請する際は、マイページから「時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)」を検索、申請書情報を設定し、書類の様式を確認して内容を入力します。
詳しい手順は、政府が公開しているダウンロード資料「e-Govを初めてお使いの方へ」を確認してください。

まとめ

36協定とは、労働基準法第36条に基づく時間外・休日労働の取り決めに関する労使協定のことです。労働基準法では労働時間や休日について、「使用者は原則として1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけない」などの規定が設けられています。しかし、労使間で36協定を結べば、使用者は法定労働時間を超えて労働者を働かせることが可能になります。

2021年以降の36協定届の様式変更に伴い、押印・署名が廃止される、電子申請に限り本社一括届出が可能になるなどの変更があり、協定書の作成・届出がより簡単かつ効率的に行えるようになりました。また、36協定の対象となる労働者の適格性を確認するチェックボックスも設置され、労使協定締結までの手続き確認も以前より厳格化されました。

36協定届の新様式の手続きは、印刷や押印の手間、提出の時間を省けるe-Gov電子申請によってよりスムーズに進みます。年に一度、各事業所で締結と届出が必要となる36協定の新様式に対応し、労務手続きの効率化を行うためにも電子申請への対応を進めましょう。

従業員データを取り込み、社会保険をはじめとする各種人事関連の書類手続きをシステム上から電子申請できます。

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