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2022年4月の女性活躍推進法等の一部改正によって、どのような対応をすべきでしょうか?

行動計画の策定のために、自社の女性活躍の状況の把握・課題分析に取り組みましょう。また、情報公表のために女性従業員や労働環境に関する数値を把握してください。
公開日時:2021.12.14 / 更新日時:2022.08.24
詳しく解説

Q.女性活躍推進法等の一部が改正によって、弊社も2022年4月より行動計画の策定・届出、女性活躍に関する情報公表の義務対象となります。施行までにどのような対応をすべきでしょうか?

従業員200人規模の企業で人事を担当しています。改正女性活躍推進法により、弊社も2022年4月より一般事業主行動計画の策定・届出義務の対象となります。施行日までに行動計画の策定・届出、情報公表を実施するために具体的にどのような対応をすべきでしょうか。

A.行動計画の策定のために、自社の女性活躍の状況を把握し、課題分析に取り組みましょう。また、情報公表のために女性従業員や労働環境に関する数値の把握が必要です。

2022年4月1日より、常時雇用する従業員が101人以上300人以下の事業主も行動計画の策定・届出及び情報公表が義務となります。施行日までに行動計画の策定・届出をし、情報公表ができるように準備が必要です。

厚生労働省は、一般事業主行動計画の策定・届出に関して4つのステップが必要だとしています。さらに、取り組みを実施した後は、女性の活躍に関する情報を公表する必要があります。

また、取り組みを実施した後は、女性の活躍に関する情報を公表する必要があります。この情報公開の項目については2022年7月8日に対象事業主に対し「男女の賃金格差に関する情報」を必ず選択して公表することが義務付けられましたので、対応が求められます。

2022年に改正女性活躍推進法の対象となる企業

2019年6月に女性活躍推進法の一部を改正する法律が公布されました。この改正によって、2022年4月1日より「一般事業主行動計画の策定・届出」「自社の女性活躍に関する情報公表」の義務の対象に、常時雇用する従業員301人以上の事業主に加え、101人以上300人以下の事業主も追加されます。常時雇用する従業員が100人以下の事業主については、引き続き努力義務とされています。

常時雇用する従業員とは、正社員や契約社員、アルバイトといった区分に関係なく、以下の条件のいずれかを満たす従業員を指します。

  1. 期間の定めなく雇用されている従業員
  2. 過去1年以上の期間雇用されている従業員、または雇入から1年以上引き続き雇用されると見込まれる従業員

対象事業主が講じるべき措置

対象事業主は「一般事業主行行動計画の策定・届出」「自社の女性活躍に関する情報公表」義務を果たすために、それぞれ措置を講じる必要があります。

(1)一般事業主行動計画の策定・届出

厚生労働省が挙げている、一般事業主行動計画の策定・届出に必要な4ステップを具体的に解説します。

【ステップ1】自社の女性の活躍に関する状況の把握、課題分析
【ステップ2】一般事業主行動計画の策定、社内周知、外部公表
【ステップ3】一般事業主行動計画を策定した旨の届出
【ステップ4】取組の実施、効果の測定

【ステップ1】自社の女性の活躍に関する状況の把握、課題分析

自社の女性従業員に関する状況を、以下の基礎項目(必ず把握すべき項目)を用いて把握した上で、自社の課題を分析してください。(区)がついている項目は、職種や雇用形態、就業形態などで従業員を区分する「雇用管理区分」ごとの把握が必要です。

基礎項目

・採用した従業員に占める女性従業員の割合(区)
管理職に占める女性従業員の割合
・男女の平均継続勤務年数の差異(区)
・従業員の各月ごとの平均残業時間数等の労働時間の状況

基礎項目から自社の状況を把握して課題分析をした結果、「事業主が課題」と判断した事項については、下記の選択項目(必要に応じて把握する項目)を活用して、課題の原因の分析を深めましょう。(派)がついている項目は、派遣業者から従業員を受入れている場合、派遣従業員も含めて把握が必要です。

選択基礎項目

【1】女性従業員に対する職業生活に関する機会の提供
<採用に関する項目>
・男女別の採用における競争倍率(区)
・従業員に占める女性従業員の割合(区)(派)
<配置・育成・教育訓練に関する項目>
・男女別の配置の状況(区)
・男女別の将来の育成を目的とした教育訓練の受講の状況(区)
・管理職及び男女の従業員の配置、育成、評価、昇進、性別役割分担意識、その他の職場風土等に関する意識(区) (派:職場風土等に関する意識)
<評価・登用に関する項目>
・各職階の従業員に占める女性従業員の割合及び役員に占める女性の割合
・男女別の1つ上位の職階へ昇進した従業員の割合
・男女の人事評価の結果における差異(区)
<職場風土・性別役割分担意識に関する項目>
・セクシュアルハラスメント等に関する各種相談窓口への相談状況(区)(派)
<再チャレンジに関する項目>
・男女別の職種又は雇用形態の転換の実績(区)(派:雇入れの実績)
・男女別の再雇用又は中途採用の実績(区)
・男女別の職種若しくは雇用形態の転換者、再雇用者又は中途採用者を管理職へ 登用した実績
・非正社員の男女別のキャリアアップに向けた研修の受講の状況(区)
<取り組みの結果を図るための項目>
・男女の賃金の差異(区)
【2】職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備
<継続就業・働き方改革に関する項目>
・10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された従業員の男女別の継続雇用 割合(区)
・男女別の育児休業取得率及び平均取得期間(区)
・男女別の職業生活と家庭生活との両立を支援するための制度(育児休業を除く) の利用実績(区)
・男女別のフレックスタイム制、在宅勤務、テレワーク等の柔軟な働き方に資する 制度の利用実績
・従業員の各月ごとの平均残業時間数等の労働時間 (健康管理時間)の状況 (区)(派)
・有給休暇取得率(区)

詳しい計算方法と定義については、厚生労働省「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しましょう!」の6ページに記載がありますのでご確認ください。

 

【ステップ2】一般事業主行動計画の策定、社内周知、外部公表

ステップ1を踏まえて、「計画期間」「一つ以上の数値目標」「取組内容と実施時期」を盛り込んだ行動計画を策定します。策定時は以下の3つのポイントを押さえてください。また、行動計画の内容は、男女雇用機会均等法を遵守したものである必要があります。なお、男女雇用機会均等法とは、職場における男女の差別を禁止し、募集・採用・昇進・降格・教育訓練・定年・退職・解雇などの面で男女とも平等に扱うことを定めた法律のことです。

行動計画に盛り込む内容ポイント
計画期間定期的に行動計画の進捗を検証しながら改定するために、2025年度までの期間で、各企業の状況に応じて2年間から5年間で区切って設定。
一つ以上の数値目標ステップ1で挙げた項目の中から、自社の実情に見合った水準で計画期間内に達成を目指せる数値を設定。実数、割合、倍数など数値を表すものならいずれでも可。
取組内容と実施時期数値目標を達成するための取組を優先して取り入れ、取組に合った時期を設定。

行動計画を策定したら、非正規従業員を含めたすべての従業員に掲示板やメールなどで周知します。また、自社のホームページや厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」などを使って外部への行動計画の公表も必要です。

 

【ステップ3】一般事業主行動計画を策定した旨の届出

行動計画を策定したら、電子申請、郵送、持参などの方法によって都道府県労働局に届け出てください。計画策定届出様式は、厚生労働省「一般事業主行動計画の策定・届出等について」からダウンロードできます。

 

【ステップ4】取組の実施、効果の測定

行動計画で決めた取組を実施し、定期的に数値目標の達成状況や取組の実施状況を確認してください。達成状況や実施状況から、今後の取組をどうすべきか、改善点はないかなどを考えながらPDCAサイクルを回すことで、より女性が活躍しやすい職場に改善が進みます。

(2)自社の女性活躍に関する情報公表

女性活躍に関する状況の公表は、求職者の企業選択に役立つよう、採用サイトや企業の公式サイトなどの目に留まりやすい場所に掲載する必要があります。

2022年7月8日からは、対象事業主に対し男女の賃金格差に関する情報の公表が義務付けられました。「女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供に関する実績」の中から必ず「⑨男女の賃金の差異」を選んだ上で、①~⑧の8項目から1項目選択します。「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績については7項目から1項目選択します。

 

男女の賃金格差については【2022年7月施行】女性活躍推進法に基づく男女の賃金格差開示義務化とは?を御覧ください。

また、上記の項目に加えて「女性従業員に対する職業生活に関する機会の提供に資する社内制度の概要」「従業員の職業生活と家庭生活の両立に資する社内制度の概要」についての公表も可能です。公表することで、求職者が働きやすい環境が整っていると求職者に伝えられるため、応募者数の増加が期待できます。

 

措置を講じなかった場合のリスク

措置を講じない場合の罰則は設定されていません。ただし、女性活躍推進のために取り組んでいる企業かどうかは厚生労働省のデータベースから簡単に調べられます。対応していないと「女性活躍推進に消極的」というイメージがつき、既存従業員の離職や求職者からの応募数の減少などに影響しかねません。

女性活躍推進法の基準を満たし、推進に取り組んでいる企業であれば「えるぼし」認定を取得し、メリットを得ることもできますが、推進に消極的だと取得企業と比べて不利になる面もあります。詳しくは用語集「えるぼし」で解説していますのでご覧ください。

まとめ

女性活躍推進法の改正によって、2022年4月1日より常時雇用する従業員が101人以上300人以下の事業主も行動計画の策定・届出および情報公表が義務となります。施行に備えて、自社の女性活躍の状況を把握し、課題分析に取り組みましょう。また、情報公表を行うためには女性従業員や労働環境に関する数値の把握も必要です。また、 2022年7月8日からは女性活躍に関する自社の女性活躍に関する情報公表において、「男女の賃金の差異」を公表することが義務付けられたため、常時雇用する従業員が101人以上300人以下の事業主はそのための対応が必要になります。

仕事で活躍したいと希望するすべての女性が、個性や能力を存分に発揮できる社会を目指すためには、働きやすい職場づくりが欠かせません。具体的には、最先端のICTを駆使したテレワーク環境構築や、業務効率化などの取り組みが、女性はもちろん全ての人が働きやすい環境の実現に役立ちます。今回の法改正に合わせ、制度や意識改革とともに、システム面で女性活躍推進に貢献できる部分がないか検討してみてください。

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