勤怠管理ガイド

客観的な勤怠管理記録とは? 勤怠管理の意義と基礎知識を解説

公開日時:2021.08.20 / 更新日時:2023.12.26

働き方改革関連法が施行されてから、従業員の勤怠記録や労働時間を把握することの重要性が高まりました。しかし、これらはただ記録すればいいというものではなく、正しい方法で、「客観的に正確に」記録されなければ意味をなしません。

本記事では、「客観的な」勤怠管理とはなにか? を紐解きながら、勤怠管理の基礎知識について、勤怠管理システムのパイオニアであるアマノの知見を交えて解説していきます。
勤怠管理の基礎を学びたい方、改めておさらいしたい方もぜひ参考になさってください。

勤怠管理システムの違いについて詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
【資料ダウンロード】高いシステムと安いシステムはどう違うの?

勤怠管理とは何か

勤怠管理とは、企業が従業員の勤怠情報を記録し管理することです。労働基準法では、従業員の勤務時間や残業時間、休日数などについて、会社が遵守しなければならない基準が定められています。企業が労働基準法を守り、賃金の支払いを適切に行うには、従業員の勤務日数や残業時間等を把握することが必要です。
2019年4月に労働基準法が改正され、企業には客観的な労働時間を記録することが求められるようになりました。

「客観的」な労働時間を記録することとは?

「客観的な」労働時間を記録するという意味は、簡単に言うと「自己申告ではない」労働時間を記録することです。厚生労働省「労働時間の適正な把握のために 使用者が講ずべき措置に関する基準」によると、

その1 始業・終業時刻の確認・記録
使用者は、労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること

その2 始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法
使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によること。
(ア)使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること。
(イ)タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること。

とあります。つまり客観的な労働時間を記録するということとは、原則として自己申告を認めず、

  • 使用者自ら、または労働時間管理を行う者が直接出退勤時刻を確認する
  • タイムカード、ICカード等の「客観的な記録」を基本情報として用い、記録する

のいずれかの方法をとることを言います。

原則として自己申告は認められていないものの、どうしても自己申告制を取らなければならない場合の措置も設けられています。しかし、同資料で「自己申告による労働時間の把握については、あいまいな労働時間管理となりがちであるため、やむを得ず、自己申告制により始業時刻や終業時刻を把握する場合に講ずべき措置を明らかにしたものです」とあるように、あくまでも他に方法がない場合の措置であり、推奨されていない方法であるということは理解しておきましょう。

勤怠管理はなぜ必要なのか

企業が勤怠管理を行う主な目的は以下の通りです。

コンプライアンス違反防止

勤怠管理には労働基準法をはじめとする法律に従い、従業員の働き方や労働時間に問題がないか管理することで企業のコンプライアンスを遵守する目的があります。労働基準法では1日8時間以上、週40時間以上の法定労働時間を超えて従業員を働かせる場合、経営者は労働組合または労働者代表と36協定を結ばなくてはなりません。不正確な勤怠管理によって未払い残業が発覚したり、過重労働が原因の過労死が起きたりすれば、重大なコンプライアンス違反となり、訴訟リスクだけでなく社会的信用を失う事態に発展することもあります。これらのコンプライアンス違反を未然に防ぐためにも、企業は適正な勤怠管理を行わなければなりません。

従業員が安心して働ける環境をつくる

従業員の労働時間を正確に把握することで、労働時間の調整や仕事の配分を適切に行うことが可能になり、業務の集中によるメンタルヘルス不調を未然に防ぐことができます。現在の勤怠状況を可視化することで、従業員一人ひとりに合った働き方の見直しができるようになり、従業員が安心して働ける環境づくりにつながります。

人件費を正しく把握する

勤怠管理を行うことによって、従業員一人ひとりや部署ごとの毎月の労働時間が可視化され、それに伴う人件費がどれくらい発生しているかが分かります。人件費がどれくらい発生しているかを正確に把握できれば、効率化すべき業務がどの部署にあるのか、配置転換やツールの導入で必要以上に発生している人件費の削減を検証できるなど、業務効率化に役立ちます

過重労働の早期防止

勤怠管理によって、社内で誰がどのくらい長時間労働をしているかが可視化されるため、過重労働の早期発見・防止につながります。過重労働の早期防止は、従業員の健康悪化や36協定違反を防ぐ上でも非常に重要です。また、過重労働が発生しやすい部署や時期を把握しておけば、部署の人員を増やしたり、業務フローを見直したりといった是正対策も立てやすくなります。

参考記事:用語集「時間外労働の上限規制」

給与計算

従業員の労働時間や休日数を集計し、給与計算を行うには出退勤や労働時間の記録を正確なデータとして残しておくことが必要です。打刻ミスをはじめ不正確な勤怠管理が行われている状態では、毎月の給与計算業務を円滑に行うことができず、給与の支払いに影響が出る可能性があります。適正な勤怠管理は、自社の給与計算を正確かつスムーズに行う前提条件と言えます。

客観的な労働時間記録のための勤怠管理の手法

勤怠管理の手法には、特別な設備がなくても導入できる出勤簿やExcelでの管理、厚生労働省のガイドラインで推奨されているタイムカードや、勤怠システムでの管理が存在します。それぞれの手法の特徴やメリット、デメリットを解説します。

出勤簿(ガイドライン非推奨)

主に紙の出勤簿に筆記用具で出勤した日付や出退勤時間を記録する方法で、インターネット環境が整っていない場所や、PCが十分に行き渡っていない店舗や事業所、野外で作業を行う業種で利用されています。コストをかけず簡単に出退勤記録を残せることがメリットですが、記入漏れやミスが発生しやすく、また従業員個人で出勤簿を管理する場合は、不正行為の防止が難しいというデメリットがあります。厳密には正確な労働時間の把握ができないことから厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」の中では推奨されていません。また、労働時間の集計を担当者が給与ソフトに手動で入力する必要があるため、給与計算に多くの手間と労力がかかります。

Excel(ガイドライン非推奨)

Excelシート上に従業員自身が出退勤の時間を入力する勤怠管理の方法です。PC操作が可能な環境なら簡単に導入できるというメリットがあるため、主にデスクワークを行うオフィスで採用されている方法です。しかし、基本的に労働時間は自己申告であるため、客観的な労働時間管理はできません。従業員が実際より労働時間を多く申告したり、上司の命令で少ない労働時間の申告を強いられたり、といったケースを完全に防ぐことができないというデメリットがあります。そのため、Excelによる勤怠管理は出勤簿と同じく厚生労働省の労働時間把握のガイドラインでは推奨されていません。

タイムカード(紙カード)

専用のタイムレコーダーによってタイムカードに出退勤時刻を打刻する勤怠管理方法で、従業員が少人数の企業では主流の勤怠管理方法です。コンセントに差し込めば購入したその日から使い始めることができ、出退勤の時刻を元にその日の労働時間を集計することができる集計タイプのタイムレコーダーもあります。また、レコーダーによる打刻を行うため、出勤簿やExcelによる自己申告の勤怠管理よりも客観的な勤怠記録として認められています。だたし、タイムカードの出勤・退勤の記録以外の日々の勤務時間や残業時間、給与計算は手動で転記作業を行う必要があること、タイムカードを保管する場所が必要などのデメリットもあります。また、あくまで出退勤の記録を客観的に記録することを目的としているため、1日の勤務時間の把握ができずに、過重労働を見過ごしてしまい、間違った給与計算をしてしまう危険性など、コンプライアンス違反を完全に防ぐことはできません。

勤怠管理システム

勤怠管理を行う方法の中で、最も効率的に従業員の勤務時間を記録できるのが勤怠管理システムです。近年ではインターネット環境があればどこでも出退勤記録が残せるクラウド型の勤怠管理システムが主流であり、客観的かつ正確な勤怠管理が可能な方法として広く普及しています。

勤怠管理システムの場合、PCの画面上で従業員が打刻した出退勤記録をリアルタイムで把握することができるため、従業員の出退勤状況や労働時間の合計がひと目で分かります。労働時間の自動集計機能によって、残業時間のチェックも簡単に行えるほか、給与計算システムとの連携で毎月の給与計算作業も効率化できます。サービスによっては、スマートフォン、タブレット端末、ICカード、生体認証など複数の打刻方法を選ぶことができ、場所を選ばずいつでもどこからでも打刻ができます。

また、データ修正履歴の確認やPCのログオン・ログオフ時刻と出退勤時刻との対比が可能なシステムもあり、不正や改ざん防止に有効です。

勤怠管理方法のメリット・デメリット

客観性人的ミス防止不正・改ざん防止利便性導入のしやすさ
出勤簿
Excel
タイムカード
勤怠管理システム

勤怠管理を厳密に行い、職場の労務課題の根幹からの改善に取り組むためには、総合的に見て勤怠管理システムを導入することが望ましいです。ただし、現実的に予算や仕組み的な問題で導入が難しい場合もあると思います。無理に大規模なシステムを入れずとも、まずはスモールスタートから進めるのも、アマノとしてはおすすめの方法です。

また、勤怠管理システムはコストにより性能が異なりますのでご注意ください。
詳細は以下の記事をご参照ください。
参考記事:[勤怠管理]高いシステムと安いシステム、なにが違う?

勤怠管理システムを導入する目的

勤怠管理システムを導入する目的について、勤怠管理に付随する作業の効率面や不正防止の面から解説します。

法令遵守の徹底

勤怠管理が杜撰だと、従業員から過重労働による法令違反の訴えを受けたり、労働基準監督署から是正勧告を受ける可能性が高くなります。勤怠管理システムを導入する最大の目的は、従業員の勤怠管理を正しく効率的に行い、法令違反リスクを回避し、企業と従業員の両方を守るということです。

2019年から施行された働き方改革関連法により勤怠管理に関する法律が大幅に改定されたことから、アナログでの管理がさらに困難になりました。システムを導入することで、法改正に係る時間管理が正確に行え、労務担当者が知らないうちに法令違反を犯してしまう事態を防ぐことができるようになります。

勤怠管理を効率化

勤怠管理システムを導入すると、担当者の手間を減らしながら正確な勤怠管理ができるようになります。またサービスによっては、給与計算や申請業務など労務・人事・総務担当者が行うさまざまな業務の負担を減らすことができます。

給与計算を効率化

タイムカードや出勤簿、Excelで勤怠管理を行っている場合、労働時間を集計した後に、給与計算ソフトへデータを入力し直さなければなりません。手動による入力はミスが起きやすく、また全従業員分の労働時間の入力は毎月多大な業務工数が発生します。一方で給与計算との連携が可能な勤怠管理システムなら入力の手間が省けるだけでなく手入力によるミスを防ぐことができます。故意ではない給与計算ミスが原因であっても、給与が支払われず給与未払いとなれば労働基準法違反に該当します。つまり、勤怠管理システムを導入することで法令違反を防ぐことができるようになります。

勤怠管理システムの多くは、出退勤記録と労働時間をCSVデータで出力する機能が備わっています。CSVデータを給与ソフトに取り込むことで、勤怠データを給与ソフトへ手入力する業務が不要となり大幅な業務効率化が見込めます。また、勤怠管理システムの中には給与ソフトと一体型のものが存在し、その場合は手入力の必要なく給与計算までシームレスに行えます。

まとめ

働き方改革関連法が施行されるのに伴い、勤怠管理の重要性は広く認知されました。使用者は、従業員の労働時間について「客観的」に記録することが義務付けられ、従来の方法では対応できなくなってしまった企業も少なくありません。

コンプライアンス遵守はもとより、従業員の労働環境を健全に保つことや人事総務労務の業務効率向上、人的ミスによる労務リスク防止のためにも、勤怠管理システムの導入は効果的です。

ただし、一度にすべての課題をクリアしようとすると膨大なコストがかかってしまうため、課題の優先度を明確にしてからシステム導入を検討するようにしましょう。

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01基礎知識

勤怠管理の意義と
重要性

02選び方

勤怠管理システム
選び方の基本

03実践編

勤怠管理システム
導入のポイント

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