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労働基準監督署

ろうどうきじゅんかんとくしょ

公開日時:2021.06.28 / 更新日時:2022.03.22

労働基準監督署は、労働者の安心と安全を守ることを目的として、企業が労働基準関係法令の内容を遵守しているかを監督する厚生労働省の出先機関です。労働基準監督署は全国に321署あります。労働基準監督署の内部組織は、労働基準法に関する届け出の処理や相談への対応、監督指導をする「監督課(方面)」、設備や機械などの届け出の審査や設置指導をする「安全衛生課」、仕事での負傷や労災保険の給付をする「労災課」、庶務業務や会計処理などをする「業務課」の主に4つの課から構成されています。

労働基準監督署の具体的な役割

労働基準監督署は、企業と従業員間に発生する問題の解決や、従業員にまつわる各種届出の受付等を行う、厚生労働省の出先機関です。

労働基準監督署は4つの内部組織で構成されており、会計処理などを行なう業務課を除く3つの課で、労働関係の相談・手続きを行っています。監督課(方面)、安全衛生課、労災課それぞれの具体的な役割について説明します。

1. 監督課(方面)の具体的な役割

監督課は、機械や設備の設置に関する届出の審査や、申告・相談の受付、監督指導、司法警察事務を役割としています。

監督課(方面)の業務

・申告相談の受付
 法定労働条件に関する相談や、残業代未払いや不当解雇処分など労働基準法違反がある勤務先に従業員が行政指導を求める申告を受け付けています。
・監督指導
 労働基準監督官による事業場の機械・設備、帳簿などの検査、従業員の労働条件の確認を行い、法違反があった場合に事業主を指導します。また、事業場内に危険な機械や設備などがあれば、その場で使用停止を命じることもあります。(用語集「臨検監督」へリンク)
・司法警察事務
 複数回指導を行っても、改善が見られない事業主に対しては取り調べや捜索、差し押さえ、逮捕などをして、捜査結果を検察庁に送検します。

2. 安全衛生課の具体的な役割

安全衛生課の役割は、労働安全衛生法をはじめとする法律に基づき、従業員の安全と健康を確保するための措置が事業場で行われるよう指導することです。

各企業の健康診断の実施状況や、有害な化学物質が適切に取り扱われているのかの確認、クレーンなどの機械の検査、建設工事に関する計画届の審査が主な業務です。

3. 労災課の具体的な役割

労災課の役割は、労働者災害補償保険法に基づき、労災の被災者や遺族からの請求があった際に関係者からの聞き取りや実地調査、医学的意見の収集など調査を実施したうえで、労災保険給付を行うことです。労災補償についての業務全般を取り扱います。

従業員への労災保険給付は企業から徴収した労災保険料を基に行います。労災保険に未加入の状態で労災が起きた場合は、労災給付金額の全額を企業から費用徴収する場合もあります。このほか、各種労災年金の定期報告の受付、石綿救済法に係る業務なども行います。

企業が各種届出を行う際の手続き

従業員を雇い入れる企業は、労働基準監督署に各種届出を提出しなければなりません。どのような届出をどの課に提出すればよいのかを解説します。

1. 監督課(方面)での手続き

監督課(方面)には、36協定(時間外協定)や就業規則に関する変更の届け出を行います。

36協定とは、労働基準法第36条に基づく時間外・休日労働の取り決めに関する労使協定のことです。従業員が法定労働時間を超えて働く企業では、労使間での36協定の締結が必要です。企業が36協定を締結したとき、または内容を更新したときには、36協定届を労働基準監督署の監督課に届け出る必要があります。

また、就業規則を新たに作成したときや、内容を変更したときには就業規則変更届を監督課に届け出なければなりません。これらの届出手続きはいずれも企業の義務として定められています。

2. 安全衛生課での手続き

企業は健康診断の結果や衛生管理者・産業医の選任報告を労働基準監督署に届け出る必要があります。

従業員が50人以上の事業所は、健康診断の実施と健康診断の結果を報告書にして安全衛生課に提出します。同様に、従業員が50人以上の事業所には衛生委員会の設置が義務付けられており、その委員となる衛生管理者・産業医を選任したことを、免許の写しや資格を証明する書類を添付して提出しなければなりません。

3. 労災課での手続き

労働中の災害によって従業員が負傷・死亡したときや、病気による休業が発生したときには、企業は労働者死傷病報告を届け出る必要があります。

従業員が被災した事故現場が事業所のある地域と異なる場合、届け出は事故現場のある地域を管轄する労働基準監督署に行わなければなりません。

労災課は、労災保険の加入手続きの窓口でもあります。労災保険は原則として雇用する従業員全員を対象に、業務上災害や通勤災害を補償する制度です。必要書類は労災課で受け取れます。従業員を新たに雇い入れた際には、新規加入手続きに必要な書類を完成させ、窓口に提出しましょう。

まとめ

労働基準監督署は、企業が労働基準関係法令の内容を遵守しているかを監督する役割を担う、厚生労働省の出先機関です。労働基準監督署では、法定労働条件に関する相談の受付、司法警察事務、労災保険給付などを行っています。法令違反等の可能性がある企業に対しては、監督指導も実施します。何度も指導を受けても指導箇所について改善が見られない企業に対しては、取り調べや捜索が行われることもあります。

従業員に対して実施する健康診断の結果報告や、36協定に届出、就業規則の作成や変更の届出も、労働基準監督署に提出することが企業に義務付けられています。労働基準監督署に提出が義務付けられている届出を怠った場合は法違反となりますので、各種届出の内容を把握し確実に提出を行う必要があります。

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