ツールガイド

失敗しない勤怠管理システム導入のポイント

公開日時:2021.08.20 / 更新日時:2021.11.02

勤怠管理システムの導入までに準備する必要がある各従業員の情報や、就業規則に基づく設定方法、円滑な運用開始やトラブル回避のために人事、労務担当者が押さえておきたいポイントを解説します。

1. 導入時に用意しておくべき情報

勤怠管理システムの初期設定を行うには、自社の就業規則、組織体系、雇用形態などの情報を登録する必要があります。サービスごとに設定する項目は異なりますが、ここでは一般的に登録に必要とされる情報を紹介します。

初期設定について

システムの利用を開始したら、まず初期設定に着手します。自社の就業規則、組織体系、雇用形態などに基づき、必要な情報をシステムに登録します。サービスによっては初期設定の代行までがサポートに含まれているタイプもあるので、自社での対応が不安な場合は利用しましょう。

従業員の個人情報

自社の従業員の氏名、性別、所属組織、雇用形態などの個人情報をシステムへ登録します。サービスによっては、ログイン時のパスワード、申請間違いや打刻間違いがあったときにアラートメールを配信するためのメールアドレス、有給休暇付与の起算日となる入社日、社員証に記録されたID番号、社員証がICカードの場合はID番号の登録が必要です。

従業員データの登録は、手動で行う方法とCSVファイルをシステムにインポートする方法があります。後者の場合、複数の従業員情報を一括で登録できます。インポート画面から取り込むことのできるフォーマットとCSVファイルに入力できる項目を確認し、データを用意しておきましょう。

就業規則

自社の就業規則に沿って必要な情報を登録します。出勤・退勤時刻、休憩時間、有給休暇の付与日数、締日、会社の祝日などを登録するのが一般的です。所定労働時間と残業時間の設定は、「1日8時間以上、週あたり40時間を超える時間を残業時間として集計」など労働時間に関する就業規則に沿って登録します。フレックスタイム制で働いている従業員、裁量労働制の適用者あるいは管理監督者の違いによって所定労働時間と残業時間の設定は異なります。就業規規則に基づき別途設定していきましょう。

所属組織や雇用形態、勤務形態ごとに規則が異なる場合、それぞれの条件ごとに出勤・退勤時刻や労働時間の設定を登録する必要があります。就業規則に関する設定で不明な点は責任者に確認したうえで登録しましょう。

組織体系

従業員が所属する組織を登録します。「総務部」「営業部」などの部署や、「東京本社」「大阪支社」などの事業所、「新宿店」「梅田店」などの店舗を登録します。所属組織ごとに勤怠に関する規則が異なる場合、それぞれの条件ごとに出勤時間や申請ルールを登録する必要があります。勤怠管理システムの中には、就業規則が異なる部署ごとに就業規則を設定し所属する従業員を紐付けて登録するグループ単位の設定が可能なタイプもあります。

1人の従業員が複数の組織の所属を兼務している場合、登録上の勤務条件を決める条件が何なのか、事前に整理しておくと良いでしょう。

従業員の雇用形態

従業員の個人情報のうち、雇用形態の登録方法を紹介します。雇用形態は「正社員」「アルバイト」「パート」「派遣社員」「契約社員」などが一般的ですが、このほかにも「在宅勤務」「時短勤務」「インターン」などの形態も考えられます。それぞれの雇用形態ごとに出勤・退勤時刻などの勤務条件を画面上で登録する必要があります。自社の就業規則をよく確認し登録作業を進めましょう。また、派遣社員を直接雇用の正社員に切り替えたり、正社員からアルバイトに切り替えたりする場合は、その都度、勤怠管理システム上での登録変更が必要になります。

2. 勤怠管理システムをスムーズに運用するために

登録作業の完了後、勤怠管理システムの運用を円滑にスタートさせるには従業員への周知と運用サポートの活用が欠かせません。システムの運用を軌道に乗せるために、注意しておきたいポイントを解説します。

運用を優先した業務フロー

最も重要なのは、無理のない業務フローを構築することです。これまで運用してきた既存のワークフローを無視したまま勤怠管理システムの導入を進めれば、従業員の反発や事務処理上の混乱を招き、結果的にシステム利用が浸透しないまま改善が滞ってしまいます。既存の勤怠管理方法を全てシステム化することに固執せず、運用のしやすさを優先することがポイントです。

まずは、現在行っている勤怠管理方法において、問題となっている点を明らかにして、社内でも共有しておきます。特に以下の点に注目して検証してみましょう。

  • 勤怠管理における現在の業務フローを細かく全て洗い出す(いつ、誰が、どのような、業務を行っているか)
  • 本社が捉えられていない業務フローが存在しないか(営業所や工場での業務フローもきちんと把握しているか)
  • 管理職や労務担当者が抱える勤怠管理での不満や悩みを拾い上げる
  • その他、勤怠管理上で業務が滞っている箇所はどこか

実際に勤怠管理システムを運用する段階になって想定との乖離が起こらないよう、管理職や労務担当者を含め、現場の人間にヒアリングしたり想定している運用方法について意見を求めるなど、積極的に働きかけることがポイントです。課題意識を共有することでシステム導入へ理解を示してもらい、社内の協力体制を築きやすくなります。

勤怠管理システム
勤怠管理システム

実態に即した勤怠管理システムでなければ、必ず運用に支障をきたします。

実態に即した勤怠管理システムでなければ、必ず運用に支障をきたします。

従業員への周知

初期設定が完了したら、関係者へ操作手順の説明を行います。まず、管理者となるスタッフに各種承認やシフト作成などの手順を説明します。従業員への周知は、現場目線で行うことがポイントです。

例えば、人事や労務担当者から「システムを導入します、手順に従って利用を開始してください」と告げるだけの一方的な情報発信では、実際にシステムを使う従業員の納得感が得られないことで反発が起き、システムを積極的に有効活用してくれなくなる可能性があります。

ポイントは、当事者意識を持ってシステム活用に取り組めるような働きかけを行うことです。周知の段階ではシステムの操作方法はもちろんのこと、システムを導入した目的、それにより改善できる業務効率化やペーパーレス化などの課題、システム導入によって従業員が受けるメリットなどを説明するとより理解を得やすいです。この工程を省かず、システム導入の目的とゴールを全社的に共有できるよう努めましょう。

コミュニケーションツールやメールを使った周知でも良いですが、全社へ向けて説明会を開くとシステムへの理解が早く、効果的です。運用に際しては、操作の疑問点は必ず整理し、誰もが迷わずシステムを使用できるように前もってマニュアルを作成しておくことが重要です。

運用後のサポート範囲

勤怠管理システムの運用開始後も、就業規則の変更や従業員の増減などにより運用方法が変わることがあります。よって、運用時のサポートがどの程度まで対応してくれるのかも重要なポイントです。自社でシステムの設計が可能なオンプレミス型やプライベートクラウド型の勤怠管理システムに対し、パブリッククラウド型の勤怠管理システムのWebサービスは機能に制限があり、導入後のカスタマイズができないものも少なくありません。例えば「フレックス制を導入することになったものの、システムが対応していないために働き方改革が滞る」「子育て中の従業員を時短勤務に切り替えたいが、システム対応が進まず退職してしまう」などのケースが生じ、柔軟な働き方が阻害される可能性があります。

勤怠管理システム導入後に新たなワークスタイルを取り入れる可能性があるならば、「働き方に合わせた機能のアップグレードはできるのか」「運用方法を変更したいときのサポートレベルはどの範囲までなのか」などを事前に運営会社に確認しておくようにしましょう。

3. 勤怠管理システム導入後のよくあるトラブル

勤怠管理システムの導入後、運用中にトラブルが発生する場合もあります。労務担当者は従業員からの問い合わせに答えられるよう、システムの仕組みをよく理解しておきましょう。トラブルの内容によっては、運営会社に確認が必要な場合もあります。

初期設定ミスによる計算違い

システム導入時、自社の雇用形態や勤怠管理に詳しくない担当者が初期設定を行うと、設定漏れや誤りが発生する可能性が高いです。1つの事業所に正社員や派遣社員、嘱託社員、パート・アルバイトが混在している場合や、正社員であっても変形労働制で働く、あるいは裁量労働制をはじめみなし労働時間制で働く従業員がいる場合、初期設定にかかる負担が高く、設定ミスによる重大な法令違反や給与誤払いが発生するリスクが高まります。自社の雇用形態やシフトの形態が複雑な場合、勤怠管理システムの運営会社や社労士をはじめとする専門家に相談しながら初期設定を行うと良いでしょう。

想定とは違う運用がされている

勤怠管理システムを導入しても現場で事前に説明していたものとは違う運用がなされていると、コンプライアンスが守られず労働時間の集計にも間違いが生じることがあります。勤怠ルールが浸透していない状態では、残業や休暇申請をワークフローで行わず、紙の申請で行ってしまう従業員がいたり、始業時刻に出退勤打刻をせずオフィス入室時に打刻をして、後から修正が必要になったりするケースが考えられます。また、スマートフォンで打刻が可能な勤怠管理システムの場合、遅刻を回避するためオフィスに着く前に打刻を行うといった不正が行われるケースもあります。

システムを導入しても運用フローが十分浸透していなければ正確な勤怠管理が行えません。誤った運用方法や不正が発覚した場合は、全社的に共有し運用フローの正誤リストを作成するなど、正しい勤怠管理方法が定着するような対策を進めましょう。

残業のチェックリストを見てくれない

現場の管理者が残業時間の管理への意識が希薄であったり、または多忙により部下の残業時間管理が行き届いていない場合、勤怠管理システムを導入しても法律違反リスクを防げない場合があります。このようなトラブルが常態化しているケースでは、ただ機械的に残業上限を知らせるアラートを出す設定を使っても、改善につながりにくいです。勤怠管理システムによっては、アラートとともに「残業上限に達しそうな従業員の人数確認」や「特別条項申請を依頼するページの案内」など、管理者が行う必要があるアクションを表示するメッセージ機能が搭載されています。法律違反を未然に回避できるメッセージ機能の設定が可能かどうか、運営会社に確認しておきしましょう。

労働関連法令が改正された

労働関連法令が改正されると、勤怠管理システムのアップデートが必要になる場合があります。2019年には労働基準法の改正により有給休暇の取得義務化や時間外労働の上限規制の適用など、勤怠管理に関連する大幅なルール変更が生じ、各企業が対応に追われました。法律違反リスクを防ぐためには法改正への対応は厳密に行う必要があり、新たな法律に対応するためのアップデートの有無は勤怠管理システムの運用に大きく影響を与えます。

運営会社の担当者に状況を確認し、法改正に対応したアップデートが可能か、可能な場合に費用負担は必要かを確認しておきましょう。

システムのサポートが終了した

リリース時期が古い勤怠管理システムの場合、システムの利用は可能でもサポートが終了しているというケースがあります。サポートが終了したサービスを使い続けると、バグや脆弱性が見つかったとしてもプログラムの改修が行われないため、予告なくサービスが利用停止になったり個人情報が流出してしまうなどの危険があります。サポートが終了したサービスを利用し続けることはリスクが非常に高いので、速やかに別サービスへの変更を検討しましょう。

また、新しく勤怠管理システムを選ぶときは、長期的にシステムの保守を受けられるサービスかどうか、選定の際には以下のポイントをサービスの担当者に確認しておくことをおすすめします。

  • 運営会社の業績が安定している
  • 規約に「サービスの保守」についての記載がある
  • これまでにシステムのアップデートが複数回行われている

まとめ

勤怠管理システムの運用を成功させるポイントは、運営会社や自社の従業員と念入りにコミュニケーションを取ることです。契約内容や初期設定について疑問点が出てきた場合は可能な限り運営会社に確認し、自社の従業員には使い方だけではなく、導入メリットや目的を含め丁寧な説明を行いましょう。システム導入後にはよくあるトラブルに対応するため運用会社のサポートを受けながら数か月スパンで設定の修正や現場での運用方法を振り返り、問題点を解消していきましょう。

また、導入後に重大な不具合が生じることがないよう、契約前にサポート内容やサービスの保守範囲を細かく確認しておくことも重要です。

GUIDE

勤怠管理のパイオニア「AMANO」のノウハウをぎゅっと凝縮してお届けします!

01基礎知識

勤怠管理の意義と
重要性

02選び方

勤怠管理システム
選び方の基本

03実践編

勤怠管理システム
導入のポイント

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