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メンタルヘルス対策は教員こそ必要!不調の原因と対策方法を解説

公開日時:2022.09.01

近年、メンタルヘルスに不調を来す教員が後を絶ちません。教員がメンタルヘルス不調に陥り、長期の休暇取得や休職が必要な状況になると、周囲に業務代替の負担が生じてしまいます。また授業に遅れが出るなど教育環境にも影響しかねません。そこでこの記事では、教員の精神疾患による休職者数や、考えられるメンタルヘルス不調の原因について解説します。またメンタルヘルス対策が必要な理由や、学校側・教員本人それぞれが実践できる対策も紹介します。

教員のメンタルヘルス不調の現状

教員のメンタルヘルス不調はどのような状況なのでしょうか。いくつかのデータから読み解きます。

精神疾患による休職者数

文部科学省が行った調査によると、令和2年度に精神疾患によって休職した教員は5,180人。これは全教職員数※の0.56%に当たります。

※公立の小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校における校長、副校長、教頭、主幹教諭、指導教諭、教諭、養護教諭、栄養教諭、助教諭、講師、養護助教諭、実習助手及び寄宿舎指導員(総計920,011人(令和2年5月1日現在))

また過去10年間をさかのぼってみても、精神疾患による休職者数はずっと5,000人前後で推移しており、状況が改善しているとは言えません。

教員のメンタルヘルス不調の原因

メンタルヘルス不調の原因にはストレスが考えられますが、教員はどのような業務や事象にストレスを感じているのでしょうか。平成29年度に厚生労働省・文部科学省の委託により、みずほ情報総研株式会社が実施した調査によると、ストレス原因として長時間労働や職場の人間関係、保護者・PTAなどの対応を挙げていることが分かります。

教員のメンタルヘルス対策が必要な理由

メンタルヘルスの不調によって休暇取得や休職をする教員が発生すれば、周囲が業務を代替するという「しわ寄せ」が生じてしまいます。ただでさえ教員全体として長時間労働が指摘されており、休暇がとりにくい状況であるところに、同僚や部下のサポートを行うとなると、労働環境がさらに悪化しかねません。

またクラスや教科を担任する教員がメンタルヘルス不調になれば、業務である生徒・児童の教育にも支障が出てしまいます。そのため、教員のメンタルヘルス対策が重要となっているのです。

教員のメンタルヘルス対策としてできること

メンタルヘルスの良好を保ち、また不調に早期に気付くための対策として、学校側・教員自身が実践できる方法を紹介します。

メンタルヘルスの不調を防ぐ

まずはメンタルヘルス不調を引き起こさないよう、学校側・教員自身が対策することが大切です。以下の方法を検討してみましょう。

・長時間労働を改善する

勤怠管理を徹底して労働時間を適切に把握し、長時間労働になっている場合は業務量を減らしましょう。例えばデジタルツールを取り入れて業務効率化を図る、夜間の電話応対をなくす、部活動の休日を作るなど、業務時間を短縮する各種方法を検討してみてください。

・業務の分担を行う

特定の教員に業務が集中している状態だと、さらなる長時間労働を招くほか、プレッシャーを感じさせてしまうかもしれません。役割を一時的に超えても仕事を分担し、負担を分散するといいでしょう。

・セルフケアを促す

ストレスを溜め込まないよう、日頃から気分転換や運動をする、趣味の時間を作るなどを勧めてください。また心身の不調を感じたら産業医やカウンセラーへ相談する、病院を受診するといったことを促しましょう。

・保護者の対応に関するサポート体制の確保

保護者との間でトラブルが起きた際は無理に当該教員や学校内だけで解決しようとせずに、専門家の力を借りることも大切です。学校内におけるいじめや学級崩壊、不登校、体罰などのトラブルが起きた際に、法律的な説明を求める保護者の対応に備えて、相談できる弁護士「スクールロイヤー」を確保しておくといいでしょう。

このほかにも教員の働き方改革として実践できることがあります。詳しくは「教員の働き方改革とは? 進め方や勤怠管理の改善方法などを解説」をご覧ください

相談体制を構築する

トラブルや悩みの相談窓口となる職員を配置するほか、スクールカウンセラーや産業医、病院など外部の相談窓口も設置し、教員に周知しましょう。いざトラブルが起きた際や、疲弊している状態では、当該教員だけで適切な判断ができないことがあります。相談内容や事情に合わせて適切な相談先を頼れるように、前もって準備しておきましょう。

メンタルヘルス不調の兆候が見られないかチェックする

不調が起きないよう対策していても、ストレスを抱え込んでしまう教員がいるかもしれません。日頃から教員自身の様子に目を向けるようにしましょう。「その人らしくないミスが起きている」「体調不良による早退が続いている」など、メンタルヘルス不調が疑われないかを確認してください。

責任感が強い教員は、自分から周囲にSOSを出さずに一人で抱え込んでしまうことがあります。そうして限界を迎えてしまってから対処するのでは遅いため、各教員にメンタルヘルス不調の兆候が見られないかを普段からチェックするようにしましょう。

メンタルヘルス不調の実態・原因を探る

教員の様子を観察していても、メンタルヘルス不調のサインに気付けない場合があります。よってストレスチェックやサーベイ(アンケート調査)などの結果から、メンタルヘルス不調の実態・原因を探るようにしましょう。

また状況を詳しく把握するなら、教員との個別面談が有効です。面談を実施し、以下について教員に直接聞き取りましょう。

<質問例>
・ストレスや悩みはないか
・メンタルヘルス不調が発生していないか
・発生していればその原因がどこにあるのか

まとめ

教員におけるメンタルヘルス不調は以前から指摘されており、早急な対策が求められています。まずは適切な勤怠管理で就労状況を把握し、メンタルヘルス不調のサインや原因・要因を特定することから始めましょう。ただし手作業による勤怠管理は手間や時間がかかるため、管理担当者のさらなる長時間労働や管理ミスを招きかねません。クラウド勤怠管理システムを導入し、デジタルツールによる効率的な管理を行うのがいいでしょう。

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