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教員の働き方改革とは? 進め方や勤怠管理の改善方法などを解説

公開日時:2022.06.29

企業において働き方改革が進められる中で、学校現場でも働き方改革を進めようという社会的な動きがあります。 この記事では、教員の働き方改革が必要な理由や教員の労働時間が減らない原因を解説し、教員の働き方改革を進める方法、勤怠管理の改善方法を解説します。働き方改革を進める上での参考として、実際に労務環境の改善に成功した事例もご紹介しています。

教員の働き方改革が必要な理由

教員の働き方改革が求められる背景には、小学校や中学校の教員の長時間労働が慢性化していることが第一にあります。一般企業の働き方改革が進む中、教員に対しても働き方を改善すべきであるという世論の声も広がっています。

教員の労働の現状

日教組(日本教職組合)が2021年に行った「学校現場の働き方改革に関する意識調査」によると、教員の週あたり平均労働時間は、62時間56分(学校内56時間37分、自宅6時間19分)でした。正規の勤務時間は、(7時間45分)×5=38時間45分であることから、週あたりの平均時間外勤務時間は24時間11分となります。これを単純に4倍して月換算すると実質96時間44分/月の時間外勤務となり、過労死ライン(80時間/月)を大きく上回る危険な状態が常態化していることが浮き彫りとなりました。校種別に時間外の労働時間を比較すると中学校が最も長く、平均120時間12分/月の時間外勤務という結果となっています。

文部科学省が提唱する学校における働き方改革とは

慢性的な長時間労働に陥っている教員の働く環境を変えるため、政府は2019年に「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」を策定しました。このガイドラインによって、教員の時間外勤務について「勤務時間外の労働の目安は1か月で45時間、1年間で360時間以内」と具体的な指標が示されました。

なぜ教員の労働時間は減らないのか

教員の労働時間が減らない背景には何があるのでしょうか。教員が抱える業務は幅広く膨大であり、その実働時間を正しく把握しているケースが少ないため、長時間労働が慢性化してしまう傾向にあります。

そもそも業務量が膨大

教員の労働時間が減らない原因としてまず挙げられるのが「そもそも業務量が膨大である」ということです。教員は授業の実施とそれに伴う準備だけが業務ではありません。これらの他にも部活動の顧問、各種行事の準備と実施、保護者会、家庭訪問、PTA、会議、研修等、一つひとつを挙げればきりがないくらいの仕事に日々追われています。加えて児童・生徒や保護者への対応が臨時で入ることもあり、そうなれば事務作業や会議などよりも優先して時間を確保する必要があります。

労働時間を正確に把握していない

教員の労働時間が減らない原因として次に挙げられるのは「管理者が労働時間を正確に把握していない」ということです。自己申告や目視による管理を行っている学校は正確に労働実態を把握することができません。その結果、管理者が気付かぬ内に教員の過重労働が蔓延する環境になっていると考えられます。

部活動顧問の早朝、放課後、休日出勤などの勤務実態が把握できない

教員の労働時間が減らない原因として最後に挙げるのは「部活動顧問の勤務実態が把握できない」ということです。部活動の時間については出勤簿での管理が徹底されていません。特に運動部の顧問は早朝や放課後に加えて休日も対応するケースもあり、正確な時間管理が行えない状況にあります。そのため管理者が想定している以上に教員は休めていない状況が続いています。

教員の働き方改革を進めるには?

では、教員の働き方改革を進めるためにはどのような方法があるのでしょうか。重要な点は、まず客観的な勤怠管理を行える環境を整えることです。労働時間を見える化することではじめて、長時間労働の要因や改善策を打ち立てることが可能になります。

客観的時刻記録を取得する

教員の働き方改革を進める上でまず必要となるのが、客観的時刻記録を取得することです。例えばタイムカードやICカードの打刻で出退勤記録を残すことが、実態に即した働き方改革の第一歩となります。部活動の顧問をしている教員についてはこれまで正確に管理できていなかった勤務実態を把握できるよう、早朝であれば部活動開始前に出勤打刻、放課後であれば部活動終了後に退勤打刻を行うといった運用を徹底することが必要です。休日の部活動の引率などで打刻ができない場合には、紙面で出張の申請をするといった運用で記録することができます。

打刻情報と勤怠管理システムとを連携し、課題を浮き彫りに

タイムカード、ICカード等で客観的時刻記録を取得できるようになった後は、勤怠システムとの連携を行うことが重要です。勤怠システムと連携してデータを集計することで教員の労働時間がリアルタイムで見える化できるようになり、現状の課題を浮き彫りにできます。

例えば、過重労働の恐れがある教員については、教員間で業務をシェアするなどの対策を早期に打てるようになります。ほとんどの教員が業務過多になっていることが分かれば、増員を検討するきっかけにもなります。

教員の働き方改革事例

これから働き方改革を進めようとしている学校の担当者のために、働き方改革を成功させた教育現場の事例を紹介します。学校の状況と照らし合わせながら、取り組みや課題意識についてもチェックしてみてください。

【事例1】福岡県久留米市立篠山小学校

福岡県久留米市立篠山小学校では、職員室と各教室(担任の教員)との情報共有のあり方を改善するためにGoogle Workspace for  Educationを使った情報連携の取り組みを開始しました。篠山小学校では学習から校務まで幅広くICT化を進めてきましたものの、教師の働き方改革におけるICT活用はあまり進んでいないという課題意識を持っていました。そこでGoogleチャットやGoogle カレンダーなどの活用を推進し、業務効率化に成功しました。

取り組み例 効果
職員室と各教室間の連絡にGoogleチャットを導入 インターフォンによる授業の中断が大幅に減り、教員がより集中して生徒と向き合えるようになった
特別教室の利用予約やGoogle カレンダーを活用 手書きで行っていた頃に頻発していた予約漏れやダブルブッキングなどのトラブルが減少した

【事例2】岐阜県岐阜市立岐阜中央中学校

岐阜県岐阜市立岐阜中央中学校では、管理職から教員に向けての宣言をきっかけにペーパーレス化に取り組みました。タブレットなどのICT機器に苦手意識を持つ教員が多数いる中でICT担当が積極的に発信してTeamsやMicrosoft 365のFormsの活用を推進し、会議資料やアンケートなどのペーパーレス化に成功しました。

取り組み例 効果
会議資料はTeamsのフォルダ内で共有 紙資料を使っていた頃に比べて資料作成に費やせる時間が増え、会議の直前や会議中の変更も可能になった
アンケートはFormsで作成・発信 データは自動集計されるため紙からパソコンへの入力の手間がなくなった。アンケート用紙を配布する際に不在だった生徒や紙をなくした生徒の対応に追われることもなくなった

【事例3】千葉県千葉市立加曽利中学校

千葉県千葉市立加曽利中学校では、教員が児童生徒への指導や教材研究などにより注力できるように、業務の支援を行って負担軽減を図るスタッフ「教員業務支援員」(以下、支援員)の導入を開始しました。学習課題の印刷業務や郵便物の仕分け、消毒用具の管理などの業務を支援員に対応してもらうことで、教員の業務量や時間外勤務の削減に成功しました。

取り組み例 効果
印刷業務の代行 教員が授業を行っている間に支援員が印刷することで、浮いた時間を他の業務に充てることができる
教材準備の補助 冊子の仕分けやカードのラミネート加工などの教材準備を支援員が補助することで、教員が授業準備を効率的に進められる

まとめ

教員の労働環境にはさまざまな問題があるため、早急に働き方改革を進める必要があります。そのためには、長時間労働が発生している原因を把握したうえで、必要な対策を取り入れることが重要です。何から始めれば良いか分からない場合は「適切な勤怠管理の導入」が現状打破の第一歩となります。取得したデータを活用することで、原因特定と対策が可能になります。

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重要性

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勤怠管理システム
選び方の基本

03実践編

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