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年次有給休暇の付与日数は?義務化の概要と有給休暇を年5日取得させるための方法を解説

2021.07.02

年次有給休暇は、従業員の心身のリフレッシュを目的とした制度です。しかし、同僚や上司に気を遣う、仕事が多すぎて休む暇がないなどの理由から、年次有給休暇の取得率が低くなっていることが問題視されています。 この記事では、年次有給休暇付与の要件や日数、2019年4月から義務化された年5日の有給休暇取得義務、従業員に取得させる方法などについて紹介していきます。

年次有給休暇付与の要件と日数

労働基準法の改正によって2019年4月より義務化された年5日の年次有給休暇取得について理解するため、まずは年次有給休暇を付与する要件と日数について確認しておきましょう。

1. 一定期間勤続した従業員への付与

年次有給休暇の取得が可能な従業員の条件は雇い入れてから6か月継続して雇われていて、全労働日の8割以上出勤していることです。有給休暇の付与日数は勤続年数によって変わります。以下の表を参考に確認しましょう。

2. パート・アルバイトなどの従業員への付与

パートやアルバイトなどの従業員には、所定労働日数に応じて年次有給休暇が比例付与されます。比例付与とは、正規雇用のフルタイム従業員と比べ所定労働日数が相当程度少ないパートやアルバイトなどの従業員にその所定労働日数に応じた日数の年次有給休暇を与える方法です。

比例付与の日数は、以下の計算式で算出されます。

通常付与される日数(10日)×従業員の週所定労働日数÷厚生労働省令で定められている平均所定労働日数(5.2日)

例えば、週4日働く従業員に対しては、10×4÷5.2≒7.7日となり、小数点以下を切り捨てるため「7日」が付与されるということです。

パートやアルバイトなどの従業員で比例付与の対象となるのは、労働時間が週30時間未満で、所定労働日数が4日以下もしくは年間の所定労働日数が216日以下の従業員です。付与日数は以下の通りです。

週4日勤務であっても労働時間が週30時間を超えている場合は、通常通り、年次有給休暇が付与されます。

年5日の年次有給休暇の取得が義務化

労働基準法の改正によって、2019年4月より、大企業、中小企業の区別なく全ての企業で年5日の年次有給休暇を従業員に取得させることが使用者の義務となりました。対象となる従業員、使用者が講ずべき措置、年5日の有給取得義務に違反した場合の罰則を解説します。

1. 対象となる従業員

対象となるのは、年次有給休暇が年10日以上付与される従業員です。パート・アルバイトなどの非正規雇用の従業員も労働時間や所定労働日数の条件を満たして10日以上年次有給休暇を付与されていれば、年5日の年次有給休暇の取得義務化の対象です。非正規雇用だからといって例外とはなりません。

2. 使用者が講ずべき措置

使用者は年次有給休暇を付与した日から1年以内に5日の年次有給休暇を従業員に取得させる必要があります。従業員がすでに5日以上の年次有給休暇を請求・取得していれば使用者がその時点で実施すべき措置はありません。しかし、従業員が5日以上の年次有給休暇の請求・取得をしていない場合、使用者が従業員ごとに年次有給休暇の取得の時期を指定する時季指定や年次有給休暇の取得日を割り振る計画的付与といった措置によって合計5日に達するよう調整が必要です。

また、使用者は従業員ごとに基準日、年次有給休暇の付与日数、取得した日付の3点を明らかにした年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存するよう義務付けられています。ただし、年次有給休暇管理簿の作成、保存義務は「従業員に年5日の年次有給休暇を取得させるために必要な措置である」という位置付けです。年次有給休暇管理簿の形式については自社で管理しやすい方法を選択すればよく、従業員名簿や賃金台帳に上記3点を盛り込んだ表を追加したり、システム上で管理したりする方法もあります。

3. 違反した場合の罰則

年5日の年次有給休暇を取得させなかった場合、労働基準法第120条の規定により1人あたり30万円以下の罰金が科される可能性があります。義務に違反した場合 、罰則は対象となる従業員1人につき1罪です。つまり、有給休暇を取得させていなかった従業員が事業所内に2人いた場合、違反が2回起きたとカウントされます。2人では60万円が、10人の場合では最大300万円の罰金が科される計算です。ただし、厚生労働省の資料によれば、義務を遵守していない企業は労働基準監督署の指導を受けるとあり、企業に対して罰金の支払いの前に適切な有給休暇付与ができる体制を整備するための改善指導が行われると考えられます。

年次有給休暇の取得を従業員に促す方法

年次有給休暇の取得は、従業員の心身のリフレッシュにつながるため、業務の生産性向上も見込めます。年5日の有給休暇の取得はあくまで「最低でも5日は有給休暇を取得させなければならない」という基準です。5日にとどまることなく、従業員が年次有給休暇を取得しやすい環境を整えることも重要です。ここでは、企業が従業員に年5日の年次有給休暇の取得を促す方法だけでなく、従業員が年次有給休暇を取得しやすくなる方法について解説します。

1. 使用者が時季指定をする

使用者が、従業員ごとに年次有給休暇の取得時季を指定する方法です。使用者は従業員に年次有給休暇をいつ取得したいかの意見を聴取した上で、できるだけ希望に沿って取得できるよう努めましょう。

年次有給休暇の付与日から数か月後や半年後など一定期間が経過したタイミングで、年次有給休暇の請求・取得日数が5日未満の従業員に対して、使用者から時季指定をすると効率的な管理が可能です。また、過去の年次有給休暇取得日数の実績が極端に少ない従業員に対しては、付与日に使用者から年間の時季指定をする方法もあります。一方で、年次有給休暇の請求・取得がすでに5日を超えている従業員に対しては、時季指定できません。

使用者が時季指定をする場合は、対象となる従業員の範囲や指定の方法について就業規則に記載が必要です。就業規則に記載がない状態で使用者が時季指定した場合、30万円以下の罰金が科される可能性があります。

2. 計画的付与制度を活用する

計画的付与制度は、使用者が事前に年次有給休暇の取得日を割り振る方法です。企業側は労務管理がしやすくなり、従業員側はためらいなく年次有給休暇を取得できるメリットがあります。使用者は、付与日数から5日を除いた残りの日数を計画的付与の対象とできます。ただし、計画的付与制度を活用するには、就業規則に規定した上で労使協定の締結が必要です。この労使協定については労働基準監督署に届け出る必要はありません。

具体的には、ゴールデンウィークや夏季休業時などに全従業員に対して一律に付与する方法や班・グループごとに交替で付与する方法、誕生日や結婚記念日など、従業員の個人的な記念日に優先的に付与する方法などがあります。

3. 年次有給休暇取得の計画表を作成する

年次有給休暇取得計画表を作成して、従業員ごとの休暇取得予定を明らかにする方法です。予定を明示することで上司や同僚に気兼ねなく年次有給休暇を取得できたり、職場内で取得時季の調整がしやすくなったりする効果が期待できます。年次有給休暇取得計画表は、年次有給休暇を付与した時点で一度作成し、その予定を前提とした業務体制の整備や取得状況の確認を行うと従業員が年次有給休暇を取得しやすくなります。また、年度別、四半期別、月別などの期間で作成しておくと、予定変更や業務都合に対応して、より細かに調整できるようになります。

4. 時間単位で取得できるようにする

時間単位での取得が可能になれば、従業員の年次有給休暇取得率を上げる効果が期待できます。労使協定を結ぶことで、年5日の範囲内であれば、1時間単位での年次有給休暇を取得させることが可能になります。従業員自身の通院や子どもの学校行事への参加、家族の介護など、さまざまな事情に柔軟に対応できることがメリットです。

ただし、時間単位での取得は、確実に取得が必要な5日間の有給休暇取得から差し引くことはできません。例えば、時間単位の有給休暇取得の通算が8時間となり、1日分の所定労働時間を超えていても、確実に必要な5日の有給休暇を4日に減らすという運用をすることはできません。

時間単位の有給休暇取得の制度は、柔軟な働き方の推進や社内全体の有給取得率アップを目的に、特に5日以上年次有給休暇を取得する従業員や、5日の有給休暇取得が必要な対象従業員以外の従業員に対して積極的な活用を勧めましょう。

年次有給休暇は原則1日単位なので、時間単位で取得させるには、就業規則に規定した上で労使協定を締結する必要があります。この労使協定についても労働基準監督署に届け出る必要はありません。

年次有給休暇を管理しやすくする方法

従業員の多い企業や、タイムカードで勤怠管理をしている企業ではどの従業員にいつ、何日間の年次有給休暇を付与したらいいか、いつまでに5日間の年次有給休暇を取得させるべきかという管理が難しくなります。年次有給休暇の管理をしやすくする方法を2つ紹介します。

1. 年次有給休暇の付与日を統一する

近年、中途採用に注目が集まっており、従業員ごとに入社日が異なるケースも増えてきています。入社日が異なると、年次有給休暇の付与日も異なるため、誰がいつまでに年次有給休暇を5日取得すべきかの管理が複雑になってしまいます。年次有給休暇の付与日を、月初や年始、年度始めに統一すると、ある程度まとめて把握できるため管理しやすくなります。

このとき、法定の基準日より前に年次有給休暇の付与は可能ですが、後ろ倒しにすることはできません。例えば、9月1日に中途入社した社員に対して、入社時点で10日間付与することはできます。しかし、年度始めの4月1日が統一の付与日であるからという理由で、3月1日に付与せずに4月1日に付与することは労働基準法違反となってしまいます。

2. 勤怠管理システムの導入

勤怠管理システムの中には、従業員ごとに年次有給休暇を自動で付与できるタイプがあります。自動付与できるタイプでは、指定日に全従業員へ一斉付与したり、入社日を起算として付与したりなど、さまざまなルールに対応可能です。また、半休や時間単位の年次有給休暇取得にも対応できる機能を備えている場合もあり、休暇管理が簡略化できます。

勤怠管理システムには他にも、有給を5日以上消化できていない従業員に対してメールを送付して知らせる機能や年次有給休暇の申請・取得状況・残日数を一覧にできる機能があるものがあります。年次有給休暇を取得していない従業員に対して効率的に取得を促せます。

まとめ

労働基準法改正により2019年から全ての企業に義務付けられた年5日の年次有給休暇の取得は、正社員だけでなく、一部のパートやアルバイトなどの非正規雇用の従業員も対象となります。従業員に年5日年次有給休暇を取得させなかった場合、1人に付き30万円の罰金が科される可能性があります。

法律で義務付けられた5日の有給休暇を確実に従業員に取得させるには、時季指定や計画的付与などの年次有給休暇を取りやすくする取り組み、または従業員の有給休暇取得状況を把握でき、自動で取得を促せる機能を持つ勤怠管理システムの導入が有効です。

従業員の年次有給休暇の取得状況が一目でチェックできます。有給取得が5日以下の対象従業員にアラートを出す機能も搭載しており、法違反リスクを未然に防ぎます。

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