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【総務・労務】HRテクノロジーとは?業務効率化につながるHR Techを解説

公開日時:2021.10.29 / 更新日時:2022.10.04

近年、日本では少子化により人手不足が問題になっており、人事部門においても、人員を割くことが難しくなり一人ひとりにかかる負担が増加しています。そんな中、人事部門の業務を自動化、効率化できるHRテクノロジーに注目が集まっています。本記事では、HRテクノロジーの定義や用いられる技術、総務・労務業務の効率化に役立つHR Techについて解説します。

HRテクノロジーとは?

HRテクノロジーとは、人事・総務・労務で用いられるシステムやサービスの総称です。人事部門を表す「HR」とシステムやアプリケーションなどを表す「テクノロジー」をかけ合わせたもので、「HR Tech」と呼ばれることもあります。

HRテクノロジーに用いられる主な技術

HRテクノロジーは、AI、クラウド、RPAの主に3つの技術が用いられ、人事・総務・労務の業務効率化に貢献しています。

AI(Artificial Intelligence)は、コンピューターが大量のデータを記憶して、分析や評価などの高度な作業を自動で実行できる技術です。人事・総務・労務の従業員が行ってきた膨大な量の業務の一部をAIに任せることで業務効率化につながります。

クラウドは、インターネット上にあるソフトウェアやツールを個別にインストールせずに低コストで利用できる技術です。今まで各部署に散らばっていたデータを集約し、人事・総務・労務部主導での管理が可能になります。

RPAは、Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)の略称で、事務作業をロボットにより自動化する技術です。自動化による作業時間の短縮だけでなく計算間違いや誤入力などの人的ミスの軽減が期待できます。

HRテクノロジー導入のメリット

HRテクノロジーを導入するメリットとして、業務効率化とコスト削減につながることが挙げられます。

HRテクノロジーを活用すると、人事部門でこれまで人の手で行ってきた、面接の日程調整や履歴書の確認などの作業を自動化することができ、業務効率化につながります。総務・労務の業務で言えば、従業員の給与計算や入退社手続きなどを自動化することが可能です。ちなみに、総務・労務業務で効率化が期待できるものとして主に以下が挙げられます。

  • 各種文書の管理
  • 勤怠管理
  • 給与計算
  • 社会保険手続き
  • 年末調整の書類記入や管理
  • 安全衛生管理にかかる雑務 など

さらに、HRテクノロジーの導入は、人件費や残業代などのコストカットにもつながります。業務を自動化することで、人事・総務・労務の業務負担が軽減され、人的リソースや残業を減らせます。また、HRテクノロジーを導入してペーパーレス化を進めれば、印刷代や書類郵送にかかるコストの削減も可能です。

総務・労務業務の効率化に役立つHR Tech

総務・労務の業務は、他の部署と比べて目的や作業内容が把握しづらく、多くの企業で担当者任せになっているケースがあります。属人的になっていることで、細かいタスクが明確になっておらず、作業の効率化が難しいとされていました。しかし、HR Techのサービスが急速に拡大しており、属人的になっていた総務・労務の業務を効率化できるものも出てきています。ここでは、総務・労務業務の効率化に役立つHR Techをご紹介します。

勤怠管理システム

勤怠管理システムに備わっている基本機能は以下になります。


▼基本機能

  • 出退勤打刻
  • リアルタイム出退勤状況確認
  • 有給休暇申請
  • 残業時間アラート
  • 打刻忘れアラート など

▼導入後期待できる効果

勤怠管理システムによって、労働時間の自動集計、従業員からの休暇・各種申請管理などの業務の効率化が期待できます。

勤怠管理システムの情報を給与計算システム・ソフトと連携することで、これまで手作業で行っていた計算や転記などの作業を効率化できます。特に紙のタイムカードを使っている企業では、勤怠管理システムを導入することで労務担当者の負担を大幅に削減可能です。紙のタイムカードと勤怠管理システムには以下の違いがあります。

勤怠管理システムタイムカード
労働時間の集計出退勤打刻により自動集計される労務担当者による手作業での集計
給与ソフトへの入力・CSVデータを出力して、給与ソフトに取り込む
・自動連携
労務担当者による手入力
リアルタイムでの出退勤時刻の把握画面上で確認可能タイムカード1枚ずつ確認が必要
ペーパーレス化可能5年間保管が必要
カスタマイズ制従業員の働き方に合わせてカスタマイズできるものもある決まった使い方のみ

紙のタイムカードで打刻をしている企業の労務担当者は、毎月給与計算のために手作業で集計を行わなければなりません。勤怠管理システムを導入すれば、毎月自動で計算される上に、人的ミスの発生リスクの軽減も可能です。紙のタイムカードでは、新制度や複雑な勤務形態に対応できない問題もあります。法改正に合わせて自動でアップデートしてくれるモデルや、複雑な勤務形態に合わせた設定ができるモデルの勤怠管理システムがあり、労務担当者の負担の大幅な軽減が期待できます。

また、時間外労働時間が超過しそうな従業員に対してアラームを出して、働きすぎを防止する機能を搭載したモデルもあります。アラーム機能は、従業員が法令遵守しているかのチェックを効率化できる上に、従業員の法令遵守する意識を高めるのに効果的です。法令遵守することで、労務リスクの軽減にもつながります。

労務管理システム

労務管理システムに備わっている基本機能は以下になります。


▼基本機能

  • 入退社手続き
  • 雇用契約書Web通知
  • Web給与明細発行
  • 年末調整
  • マイナンバー管理
  • e-Gov電子申請
  • 給与システム連携 など

▼導入後期待できる効果

労務管理システムを導入すると、入退社手続き、社会保険の届出、年末調整の手続きなどの業務を効率化できます。

労務管理システムの大きなメリットは書類作成を効率化できることです。労務関係の書類作成には、従業員の扶養家族や年末調整の控除申告、マイナンバーなどの情報が必要です。労務管理システムでは、Web上で従業員自身にこれらの情報を入力してもらうことができるため、労務担当者の負担が減ります。また、管理画面から書類の提出状況の確認ができ、必要な書類の回収漏れのリスク軽減につながります。特に従業員の多い企業や全国各地に拠点のある企業では、業務効率化に効果的です。

例えば、入社手続きの場合、さまざまな書類に氏名や生年月日などの同じ内容の記入が必要です。労務管理システムを活用すれば、一度入力した企業名や氏名、生年月日などの情報を保持したまま複数の書類を作成できるため業務効率化につながります、さらに、誤字脱字や記入漏れなどの人的ミスのリスクを大幅に軽減できます。

労務管理システムはペーパーレス化の推進にも役立ちます。紙で書類を管理している企業では、大量の紙をファイリングし、書類を探すのにも手間がかかっていました。労務管理システムでは、検索すれば見たい書類をすぐに確認できる上に、スペースを取らずに大量の情報を保管できます。慎重な取り扱いが必要な個人情報についても、セキュリティ対策が取られた労務管理システムを導入することで、安心して保管可能です。

給与計算システム

給与計算システムに備わっている基本機能は以下になります。


▼基本機能

  • 給与計算方法のカスタマイズ
  • 自動給与計算(残業手当や社会保険料など)
  • Web給与明細発行
  • 振込口座登録
  • 年末調整
  • マイナンバー管理
  • 勤怠管理システム連携 など

▼導入後期待できる効果

給与計算システムは、給与計算や賞与計算、明細の発行、給与の振り込みなど、給与に関係する作業を効率化できます。

給与計算は、残業手当や社会保険料、住民税などを踏まえて計算する必要がある上に、毎月の締日に業務が集中するため、担当者に大きな負担がかかっていました。給与計算システムでは、残業手当や社会保険料などの計算式に加え、正社員や契約社員、アルバイトなど、さまざまな勤務形態の従業員ごとに計算式をカスタマイズして設定できるため、煩雑な給与計算を自動化し担当者の負担を大きく軽減します。

勤怠管理システムと連携すれば、リアルタイムで給与が計上できるシステムもあり、締日に業務が集中するデメリットの解消も期待できます。また、電卓やExcelを用いた給与計算で発生しがちな、計算ミスや入力ミスなどの人的ミスの削減も可能です。

他にも、給与明細を電子化できるため、封筒に折りたたんで入れる手間や印刷にかかるコスト削減にもつながります。さらに、法改正後にシステムがアップデートされるため、いつもどおりに給与計算を行うだけで自動的に反映してくれるメリットもあります。

健康管理システム

健康管理システムに備わっている基本機能は以下になります。


▼基本機能

  • 健康診断予約
  • 健康診断状況確認
  • 健康診断データ保管
  • 労働基準監督署への報告書の自動作成
  • オンラインストレスチェック
  • 高ストレス者への連絡
  • オンライン面接
  • オンライン診療
  • 衛生委員会日程調整 など

▼導入後期待できる効果

健康管理システムは、紙やExcelで管理してきた健康診断、ストレスチェック、産業医面談の記録などを一元管理できるようになり、労働基準監督署に提出する報告書の作成にかかる工数削減につながります。

企業は、従業員の健康診断とストレスチェックの実施が義務(従業員が50人未満の場合、ストレスチェックは努力義務)となっています。また、従業員数が50人以上の事業所においては、労働基準監督署への健康診断とストレスチェックの報告書の提出が必要です。手作業での報告書の作成は手間がかかりますが、健康管理システムの中には、報告書を自動で作成できるものもあり、業務効率化に効果的です。

また、さまざまなフォーマットの健診データを一元化する機能や統一基準により結果を自動判定する機能があり、担当者が集計する手間の削減や、従業員の健康状態を把握するのに役立ちます。健康診断とストレスチェックの実施状況や結果がすぐに確認できると、未受験の従業員へのリマインドや高ストレス者・面談希望者の把握とフォローがスムーズに実施可能です。

このほかにも、新型コロナウイルス感染が拡大していることを背景に、日々の体温や体調を記録するタイプの健康管理システムも登場しています。心身の健康状態の変化や傾向を可視化することで、早い段階で適切な措置を講じることができ、従業員の健康を守ることに役立ちます。

まとめ

人材獲得競争の激化や多様な働き方に対応するためにも、HRテクノロジーの活用は今後スタンダードなものになっていくと考えられます。一口にHRテックといっても、採用管理や勤怠管理、人材管理など、システムによって提供されている機能はさまざまです。全ての機能を活用したい場合もあれば、採用管理のみ、勤怠管理のみ、といったように一部の機能のみ必要な場合もあるため、自社が抱えている人事課題に合わせて最適なシステムを選ぶようにしてください。

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03実践編

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