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業務効率化・経費削減など効果的なペーパーレス化の方法は? 進め方から成功事例までを解説

公開日時:2021.09.15

業務効率化や経費削減を目的にペーパーレスを導入する企業が増えています。特に経費削減については、印刷代や用紙代など印刷に関わるコストが大きく削減されるほか、人件費の削減にもつながります。そのような経費削減に繋がるペーパーレスはどのように導入を進めればいいのでしょうか。本記事はペーパーレスの導入を検討している企業へ向けて、導入の手順や具体的な成功事例等を解説します。

ペーパーレス化のメリット

オフィス内の文書、書類、帳票類を電子化してパソコンなどで閲覧できるようにするペーパーレス化。このメリットは企業だけでなく、従業員全員にもおよびます。ここでは以下に代表されるペーパーレス化の5つのメリットを解説します。

  • 印刷コストの削減
  • 資料活用の幅が広がる
  • 資料の検索性・共有化が向上
  • 紛失・減失防止(セキュリティ対策)
  • 保存スペース削減

1.印刷コストの削減

ペーパーレス化を進めることで、トナーやインク代などの消耗品代や印紙代、用紙代など印刷に関連するコストを大幅に削減できます。 印刷代のコスト削減効果についてシミュレーションをして見ると、以下のようになります。

従業員100人の企業における印刷代の削減効果※(20日営業日で計算印刷数が1人あたり1日平均5枚減った場合)

  • 1日あたり:1,500円~2,000円
  • 1か月あたり:3万円~4万円
  • 1年あたり:36万7,500円~49万円

※1枚あたりの印刷代3~4円で、1か月あたり20営業日かつ、1年あたり245営業日で計算

印刷代のほか、用紙代についても印刷数を1枚減らす毎に、A4の場合は1枚あたり0.6円~0.7円のコスト削減ができるなどペーパーレス化による印刷コストの削減効果は随所に現れます。

また、紙資料を電子化する方法の1つに「OCR」があります。OCRとは「印刷された文字をスキャナーやデジタルカメラなどで読み取り、デジタルデータに変換する技術」のことです。例えば伝票入力作業もOCRを使って伝票をスキャンすれば、すぐに伝票を電子化文書としてパソコンに保存できます。OCRの活用により、ペーパーレス化を進めることで業務時間の大幅な短縮、延いては残業代を含めた人件費の削減にも繋がります。

2.資料活用の幅が広がる

紙資料の電子化により、業務効率や利便性は大きく向上します。いつでも・どこからでも資料を閲覧・ダウンロードできるようになるため、例えばテレワークをしている従業員は、移動時間を業務時間に充てられるようになったり、オフィスにわざわざ行かずとも資料を閲覧したりできるようになります。また、外回りの営業員を抱える企業はクラウド上で最新データをリアルタイムで営業員に共有し、より効果的な営業サポートが可能になります。

また、行政の電子申請化が進んでいる現況では、ペーパーレス化の実現は、「行政機関への申請手続きをオンラインで完結できるようになる」というメリットもあります。行政機関へ電子申請ができるようになれば、大幅な業務時間の短縮や従業員の負担低減につながるでしょう。なお、電子申請義務化の流れで導入が進んでいる「GビズID」について知りたい方は、詳しくは【2021年最新版】GビズIDとは?取得手続きや利用方法、e-Govとの違いを解説をご覧ください。

3.資料の検索性・共有化が向上

紙資料を電子化することで、テキスト検索が可能になるため、「資料の検索性」は格段に向上します。これまで紙資料を探す場合は、保管場所へ移動し、ファイルを探して、紙をめくる、という手順で該当するページを探さなければならず、手間と時間がかかっていましたが、電子化によって大幅に効率化が期待できます。

また「情報共有」の観点からもペーパーレス化を実現した環境がより生産性が高くなります。紙資料を共有する場合、人数分の資料を印刷し、ホチキスで留め、メンバーが集まった場で配るという一連の作業が必要です。一方、電子化された資料であれば、メールやチャットで送付したり、クラウド上にデータをアップロードしたりすれば、スムーズに情報共有ができます。

4.紛失・減失防止(セキュリティ対策)

ペーパーレス化の導入により、紛失・減失リスクを抑えることができます。一方、紙資料は持ち出しによる紛失や盗難、災害時の減失のリスクが相対的に高いという難点があります。

紛失・盗難の例

  • 電車の荷物棚に紙資料を入れたカバンを置いていたが、居眠りしていた間に盗難に遭う
  • 他の書類と一緒にシュレッダーにかけてしまう
  • 自宅に持ち帰った際、家族が間違えて捨ててしまう

紙資料を電子化していれば、オンライン上で資料を確認できるため、紛失リスクを抑えることができます。盗難リスクについても、パスワードや閲覧権限を設定するなどセキュリティ対策を講じることで、仮にパソコンが盗難にあったとしても、情報漏えいリスクを低減することが可能です。また資料の1つ1つにアクセス権限を設定したり、クラウドストレージをバックアップ先として選択したりすることで、BCP(事業継続計画)としても有効です。

BCP(事業継続計画)について知りたい方は、詳しくは、HR改善ナビ|人事・労務の注目用語 BCP(事業継続計画)をご覧ください。

5.保管スペース削減

ペーパーレス化を実現すれば紙資料の保管が不要になり、保管スペースを削減できます。空いた分のスペースは休憩スペースにするなど有効活用が可能です。また、広々としたオフィス環境は、従業員の生産性の向上にも寄与します。加えて、キャビネットやバインダーなど紙資料を保管する際に必要な備品も今後不要になるため、経費削減にも繋がります。

ペーパーレスを導入する手順

ペーパーレスを導入する際には手順を踏むことが大切です。ここではペーパーレスを導入するにあたり、以下4つの手順を解説します。

ペーパーレスを導入する手順
ペーパーレスを導入する手順

1.ペーパーレス化する目的を決める

まずはペーパーレス化のメリットを確認し、経費削減や業務効率化、セキュリティ向上、テレワークの推進など導入する目的を明確化させましょう。目的が曖昧もしくは詰め切れないまま従業員へ周知を進めても、従業員はペーパーレス化をする意義を感じられず、結局浸透せずに終わってしまう恐れもあります。ペーパーレス化する目的を決めたら、プロジェクトチームを立ち上げます。プロジェクトチームのメンバーは総務・法務部門に加え、情報システム部門の従業員が参画しましょう。

2.取り扱っている文書の保存要件を確認する

ペーパーレス化する目的を決めた後は、各部署が取り扱っている文書の「保存要件」を確認しましょう。保存要件とは、「e-文書法」という2005年に施工された法律により定められた、紙資料を電子化する際の基本要件のことです。基本要件は各府省により異なりますが、主に見読性、完全性、機密性、検索性の4つです。

4つの保存要件

  • 見読性:電子化されたデータがパソコンやプリンターなどで適切に読める状態にあること
  • 完全性:内容の改変や消去を防ぐ措置が取られていること
  • 機密性:不正アクセスへの対応がなされていること
  • 検索性:必要なデータを即座に検索できること

資料によっては「見読性」のみが求められることもあります。各部署で取り扱っている紙資料の棚卸しをして、それぞれの資料がどの保存要件を満たさなければならないかを整理しましょう。

3.運用の基盤を構築する

保存要件の確認後は社内ルールの策定やツールの導入を進め、運用の基盤を構築しましょう。

決めるべき社内ルールの項目例

  • データの解像度:一般的な資料では200dpi、文字の細かい資料は300~400dpiを目安に保存する際の解像度を決める
  • ファイル形式:データ量の軽いPDFにするか、JPEGやPNGなどの画像ファイルとして保存するかを決める。併せて、ファイル名のネーミングルールも明確化する
  • 保管期間:サーバーの容量には上限があるため、何年間保管したら廃棄するかを決める
  • アクセス権限:資料の重要度によって、アクセス権限を設定する
  • OCR処理の有無:OCR処理をするかどうかを決める。OCR処理をする場合はOCR専用ソフトが必要

その他、必要に応じてスマートフォンやタブレットなどのデバイスの選定、ペーパーレス会議システムの導入なども検討します。

4.従業員へ周知する

最後に従業員へ、ペーパーレス化の目的やメリットを丁寧に周知しましょう。従業員から理解を得られていない状況でペーパーレス化を推進したとしても、定着せず、従来の紙資料での運用に戻ってしまう恐れがあります。

ペーパーレス化は従業員にとっても、生産性の向上による業務時間の削減や業務負担の軽減など、メリットが多くあります。シチュエーション別における業務負担の軽減例や成功事例などを説明し、「ペーパーレス化は自分にとっても有益だ」と従業員に思ってもらえるように工夫して周知を進めましょう。

日常業務でペーパーレス化できるもの

ペーパーレス化を推進する上で、特定の部署やメンバーがペーパーレス化を実施し、その後全社的に展開するのも1つの方法です。その際にまずは日常業務において「電子化によるメリットを感じやすい紙資料」のペーパーレス化から取り組んでみてはいかがでしょうか。

(例)日常業務でペーパーレス化できるもの

  • 業務マニュアル:異なる場所から複数のメンバーが閲覧する「業務マニュアル」は、ペーパーレス化の効果が現れやすい。マニュアル更新時における情報共有も手間がかからなくなる
  • 請求書・稟議書:申請・承認フローが必須な請求書や稟議書の手続きは、タイムラグがなく業務を進められるようになる
  • 会議資料:印刷代や印刷時間、ホチキス留めなど印刷にかかる手間・時間を大幅に削減できる。特に参加人数が多い会議ではメリットが大きい

ペーパーレス化の成功事例

これからペーパーレスの導入を検討している企業のために、ペーパーレス化を成功させた事例を紹介します。自社の状況と照らし合わせながら、取り組みや課題意識についてもチェックしてみてください。

1.事例①株式会社野村総合研究所

株式会社野村総合研究所(以下、野村総合研究所)では、2005年に社長(当時)の発信を契機に紙にとらわれない働き方をするという「ノンペーパー」という取り組みを開始しました。当時、野村総合研究所のオフィス内には紙資料が溢れており、企業として「業務の効率性やセキュリティ上に問題がある」という課題意識を持っていました。そこで机や足下、共用キャビネット等の整理整頓、不要な紙資料の廃棄・焼却処分、紙を使用しないノンペーパー会議の実施などの取り組みを実施し、効果を挙げました。

ノンペーパー推進に向けた取り組み例効果
共用キャビネットなどの整理整頓や不要な紙資料の廃棄共用キャビネット:69%削減
1人あたりの文書保存量:61%削減
フリーアドレスの導入個人が紙を持たない職場環境づくりの実現
ノンペーパー会議の実施30分以上の会議数:235件→130件
会議時間:111,940分→64,795分※

※2005年5月実績と2006年7月実績の数字

上記の取り組みにより、野村総合研究所では従業員1人ひとりの意識改革も行われ、紙にとらわれない働き方を実現しました。

2.事例②コニカミノルタビジネスソリューションズ株式会社

コニカミノルタビジネスソリューションズ株式会社(以下、コニカミノルタビジネスソリューションズ)では、コンプライアンスや内部統制の観点より、紙資料の保存期間が作成されており、その結果大量の紙資料を保存していました。こうした現状に対し、紙資料で保存する量を削減する「ペーパーストックレス」の取り組みを開始しました。

「ペーパーストックレス」の取り組み 効果
紙資料の電子化 東京タワー約1本分の厚みの紙資料を削減
ファイルボックスに分類や保存年限が記載されたラベルを貼る 1つずつファイルボックスを確認する必要がなくなることによる検索性の向上
IDカードをかざさないと印刷できない複合機を導入 ミスプリントや不要なプリントの削減

コニカミノルタビジネスソリューションズは、取り組みを継続させていくために、ルールの徹底に勤めるとともに、ルール自体を現実の業務に即したものになるように適宜見直しを行いました。

3.事例③長野県長野市

長野市では、すでに各種業務のシステム化やデータベース化を行っていましたが、期待していた程の紙の使用量削減効果がありませんでした。そこで、会議で使用される大量の紙資料に着目しICTの活用と会議ルールの設定を実施に加え、会議のペーパーレス化を目指すことになりました。

具体的な取り組みとしては、シンプルで操作性の高い会議システムの導入やペーパーレス会議の運用ルールの策定、職員の意識改革などを実施しました。

ペーパーレス会議の運用ルール

  • 資料データは原則A4横版。内容も何を伝えたいのかポイントを明確にする
  • 資料は、担当者が指定日までに専用フォルダに保存する
  • 保存した資料には、閲覧者を区別するためアクセス権を分けて設定する

こうした取り組みにより、長野市では約14万枚の紙の使用量削減や印刷費用約300万円の経費削減、会議時間の1時間30分程度の短縮を実現しました。

まとめ

いざペーパーレス化を導入しようと思っても、これまで慣れてきた方法や慣習を変えることは簡単ではありません。また運用基盤の構築やツール・デバイスの導入などの手間もかかってしまいます。しかし、ペーパーレス化を実現できれば、経費削減や資料の検索性の向上、資料の紛失リスクの低減など、会社の従業員全員に大きなメリットがあります。まずは特定の部署やチームで、効果の現れやすい紙資料から電子化してみるなどの工夫をして、ペーパーレス化への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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