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【社労士監修】タクシー・バス運転手の勤務間インターバルが9時間へ、2024年から適用開始される内容とは

公開日時:2022.07.20

厚生労働省の有識者検討会で、バスとタクシーの運転手について、長時間勤務による過労対策として勤務時間を見直すことが決まりました。大幅な改正は1997年以来となり実に25年ぶりです。バス・タクシー運転手に共通して義務付けられた勤務間インターバルの時間、それぞれの拘束時間について解説。また、現在検討中の運輸業界の勤務時間の見直しについても解説します。

2024年から施行される、タクシーやバス運転手の勤務時間の変更

2022年3月、厚生労働省の専門家会議によって、労働時間に関するルールが変更されました。具体的には、勤務間インターバルと拘束時間の変更がなされ、2024年から施行されます。勤務間インターバルとは、勤務終了後から次の勤務までに一定時間以上の休息時間を設ける制度です。2019年から全企業で導入が努力義務とされていました。

勤務間インターバルの制度について詳しくは用語集「勤務間インターバル」を御覧ください。

バス・タクシー運転手の勤務時間

  現行 2024年4月以降
拘束時間

(バス・タクシー共通)

・原則1日13時間以下

・最長1日16時間まで延長可能

・1日15時間を超える拘束ができるのは週2回まで

・年間上限3380時間(バス)

・1か月上限299時間(タクシー)

(バス・タクシー共通)

・原則1日13時間以下(変更なし)

・最長1日15時間まで延長可能

・1日14時間を超える拘束ができるのは週3回まで

・年間上限3300時間(バス)

・1か月上限288時間(タクシー)

1日の勤務間インターバル

(バス・タクシー共通)

・8時間以上義務

(バス・タクシー共通)

・9時間以上が義務

・11時間以上が努力義務

2. 現在の働き方改革の法制度と自動車運転者の働き方改革の状況

なぜ、今回バス・タクシー運転手の勤務間インターバルをはじめ労働時間について変更がなされたのでしょうか。働き方改革に含まれる働き方改革の法制度全体と、自動車運転手の働き方改革の状況から前提を説明します。

現在の働き方改革関連法に伴う労働時間の状況

ここ5年ほど、働き方に関する法律や制度などのルールが大きく変わってきました。そもそものきっかけは、2019年からの働き方改革関連法の改正です。社会的に少子高齢化が進む中で、多様な働き方が広まるに伴い、さまざまな法令が施行されてきました。

これは戦後の労働法の管理方法全体の見直しであると言え、労働契約の提示の仕方から同一労働同一賃金のルールまで含むような大変広い改革です。後述する勤務間インターバルに関するルールも設けられました。

働き方改革の中でも労働時間に関する規制が最も重要であり、法定労働時間を超えて労働者に時間外労働(残業)させる場合に締結する36協定の様式などまで見直されました。働き方改革関連法では、時間外労働の上限規制が設けられ、企業に過重労働の緩和を求める法改正がなされています。

・自動車運転者などの労働時間については一般よりも緩和された基準のまま

しかしながら、自動車運転者・医師・建設業などの特定業種は一般的な規制になじまないものとされ、例外とされました。理由としては働き方の特性に理由がありますが、特に自動車運転者に関しては、長時間を自分の裁量で運行するような業務であるという特殊性があります。

今回の特集の主題となる、24年に行われる自動車運転者に関する働き方改革については、こうした特殊性を考慮に入れたうえで新しいルールを設けるものです。特に業種特性のもとに、特に合計労働時間については一般よりも少し緩和されたルールとなっており、反対に拘束時間や勤務間インターバルについては一般よりも厳格なルールになっています。

・タクシー・バスの運転手の勤務間インターバルは義務であり、一般職種の努力義務よりも重い

働き方改革の一環として勤務間インターバルにも全業種にわたって努力義務が定められました。仕事が終わった後に、次の仕事の開始までの間に一定の時間をとることをルール化する趣旨です。

今回のタクシー・バス運転手の勤務間インターバルについては義務となるため、一般の職種に対して課されている努力義務よりも厳しい内容となります。タクシーやバスの運転手についてはインターバルがない連続勤務が行われやすく、さらに行われた場合に体調不良や認識のレベルの低下が起きやすく、危険が大きいためです。

自動車運転者の働き方改革の状況

もともとタクシー・バス運転手、トラック運転手ら含めた自動車運転者については、今までも拘束時間・休息時間に関する改善基準が存在していました。時間外労働の上限規制については2019年4月1日の働き方改革関連法の施行後5年間(2024年3月末まで)は現行制度が適用されることとなります。2024年4月1日以降は、改善基準含めて変更され、年間の上限規制も導入される見通しです。

変更①運転手の勤務間インターバルが最低9時間へ義務付け

タクシー・バス運転手ら自動車運転の働き方改革の現状を踏まえ、冒頭で紹介した勤務時間インターバルに関する変更事項についてそれぞれポイントを解説します。

新たに定められた勤務間インターバルの時間

バスやタクシー運転手の終業から次の始業までに設ける勤務間インターバル(休息時間)について、厚生労働省の専門委員会は3月28日、これまでの8時間から1時間延ばして新たに「最低9時間」とすることを決定しました。

この決定では同時に、勤務間インターバルを11時間に定めることを努力義務として設定しました。

具体的には以下のような改善基準告示が定められます。

休息期間は、勤務終了後、継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないものとする。

「最低9時間、11時間は努力義務」の決定がされた背景には、厚生労働省の委員会において労働側は、EU(欧州連合)の基準に合わせ11時間とするよう求めていたものの、事業者側の事情を考慮し「最低9時間」に落ち着いたという事情があります。

違反した場合の罰則

今回設けられた9時間の勤務時間インターバルを確保しなかった場合に科される具体的な刑事罰などはありませんが、違反企業は労働基準監督署の行政指導の対象となります。11時間の勤務間インターバルはもともと努力義務のため、罰則はありません。

勤務間インターバル制度は2019年の働き方改革関連法施行後、全企業において努力義務となっているが、この場合も刑事罰は設定されていませんでした。年末年始をはじめ、業界特有の繁忙期がある場合、勤務間インターバルの確保が厳密にできないケースを考慮したためです。

変更②運転手の拘束時間も変更

バス運転手

1日の拘束時間は現在と変わらず、13時間のまま据え置かれました。ただし、最大で16時間となっている拘束時間の上限を1時間短い15時間に設定し、拘束時間14時間を超える回数を少なくするよう努めることも基準に盛り込まれました。

バス運転手については、年間の拘束時間の上限にも変更があり、現在の年間3380時間から変換3300時間へ削減されます。

この他、バス運転手の拘束時間や連続運転の基準について、例外となるケースも以下のように定められました。

①予期しない事象に遭遇した場合

事故、故障、災害等、通常予期し得ない事象に遭遇し、一定の遅延が生じた場合には、客観的な記録が認められる場合に限り対応に要した時間を拘束時間の上限の適用から除くことができます。

ただし、上記の勤務終了後は、11 時間以上、9時間を下回らない勤務間インターバルを与えなければなりません。

具体的な理由としては以下が想定されています。

  • ・運転中に乗務している車両が予期せず故障した場合  
  • ・運転中に予期せず乗船予定のフェリーが欠航した場合
  • ・運転中に災害や事故の発生に伴い、道路が封鎖された場合、道路が渋滞した場合
  • ・異常気象(警報発表時)に遭遇し、運転中に正常な運行が困難となった場合

②適用除外業務

災害対策基本法等に基づき、都道府県公安委員会から緊急通行車両であることの確認、標章および証明書の交付を受けて行う緊急輸送の業務については基準の適用外になります。

タクシー運転手

バス運転手と同じく、1日の拘束時間は現在と変わらず、13時間のまま据え置かれ、最大で16時間となっている拘束時間の上限を1時間短い15時間に設定し、拘束時間14時間を超える回数を少なくするよう努めることも基準に盛り込まれました。

タクシー運転手には1か月あたりの拘束時間の上限に変更があり、1か月の上限は299時間から288時間に削減されます。

タクシー運転手の拘束時間・勤務間インターバルの基準については例外となるケースが以下のように定められました。

①予期しない事象に遭遇した場合

事故、故障、災害等、通常予期し得ない事象に遭遇し、一定の遅延が生じた場合には、客観的な記録が認められる場合に限り対応に要した時間を拘束時間の上限の適用から除くことができます。

ただし、対応に要した時間を含めて算出した時間が1日または2暦日の拘束時間の限度を超えた場合には、別途休息時間を与えなければなりません。勤務終了後、1日の勤務の場合には継続 11 時間以上、2暦日の勤務の場合には継続 24 時間以上の休息期間を与えるものとします。

具体的な理由としては以下が想定されています。

  • ・運転中に乗務している車両が予期せず故障した場合  
  • ・運転中に予期せず乗船予定のフェリーが欠航した場合
  • ・運転中に災害や事故の発生に伴い、道路が封鎖された場合、道路が渋滞した場合
  • ・異常気象(警報発表時)に遭遇し、運転中に正常な運行が困難となった場合

②適用除外業務

災害対策基本法等に基づき、都道府県公安委員会から緊急通行車両であることの確認、標章および証明書の交付を受けて行う緊急輸送の業務については基準の適用外になります。

2024年4月から適用が始まる「運送業の働き方改革」とその対応

2024年4月から適用が始まる「運送業の働き方改革」の内容と、雇用主らが実施しなければならない対応について具体的に解説します。

運送業の労働問題

今回の決定は、バス・タクシー運転手の勤務間インターバル、拘束時間についての変更でしたが、今後はトラック運転手の勤務間インターバル、拘束時間についても同様の変更がされる見通しとなっています。

トラック運転手らを雇用する運輸業では長時間労働による人手不足が大きな課題です。また、長時間労働が健康面で深刻な影響を及ぼすと判明していることは事実であり、トラック運転手の勤務間インターバル、拘束時間のルール変更が行われる際の重要な観点となるでしょう。

脳・心臓疾患による労災支給決定件数において、運輸業・郵便業が全業種において最も支給決定件数の多い業種(令和2年度:58 件(うち死亡の件数は 19 件)となるなど、依然として長時間・過重労働は大きな課題です。

2024年の「運送業の働き方改革」について対応すべきこと

改めて、今までの内容をもとに2024年に行われる、運送業(自動車運転者)の働き方改革についての要点をまとめます。

①運送業には2024年4月より時間外労働に対して年間960時間の罰則付き上限規制が適用される(休日労働は含まれない労働時間で計算)

②ドライバーをはじめ、現状人手不足、長時間労働の問題の解決がすぐには難しい自動車運転業務は一般の企業に適用される時間外労働の上限規制とは別の扱いがなされる

③ただし、トラック運転手などにも今回の勤務間インターバル、拘束時間の適用が検討されていることから、長時間労働対策は厳しく求められる。

これらを踏まえ、運輸業の企業は長時間労働の是正だけでなく、人手不足解消のため短時間勤務など柔軟な働き方を取り入れ働きやすい環境整備を行う必要があります。

具体的な規制の内容について詳しくは、業務改善ガイド【2024年】運送業の働き方改革で変わることは? 取り組みを進める上での注意点も解説 をお読みください。

まとめ

運輸業界は2024年4月から時間外労働に対して年間960時間の罰則付き上限規制が適用されるなど本格的な働き方改革の制度導入がされます。この改革の一環としてタクシー・バス運転手の勤務間インターバル(休息時間)を最低9時間とすることが2022年3月の時点で義務とするよう決定され、「11時間以上」の勤務間インターバルは努力義務の扱いとなりました。9時間の勤務間インターバルを設けなかったことに対する具体的な罰則はないものの、実施しない場合、行政指導の対象となります。また、この決定でタクシー、バス運転手共に拘束時間も現在より短くなるよう変更されました。

タクシー・バス運転手の勤務間インターバル、拘束時間は、運輸業界の時間外労働の上限規制適用と同じく2024年から施行予定で、トラック運転手も同様の見直しがされると予想されています。今後は、勤務間インターバルを確保できるような人員配置、長時間労働対策に加え、勤怠管理システムなどを活用した客観的な休息時間、労働時間把握が必須と言えるでしょう。

※2022年7月時点の情報に基づきます

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