人事・労務の注目用語

衛生委員会

えいせいいいんかい

公開日時:2021.06.28

衛生委員会は、労働安全衛生法第18条により、従業員の健康障害の防止や健康の保持促進を目的に一定の規模の事業場ごとに設置することが義務付けられています。衛生委員会を設置する必要があるのは、アルバイトやパートタイマーなども含めた従業員を常時50人以上使用する事業場です。50人未満の事業場では、安全・衛生に関する意見を従業員に聞く機会を設けます。また、衛生委員会では、労働者の危険や健康障害を防止するための基本となる対策について、月1回以上調査審議を行い、話し合った内容を従業員に周知します。重要な内容については議事録を作成し3年間保存する必要があります。特定の業種については、衛生委員会の他にも「安全委員会」を設置する必要があり、両方を設けなければならない事業所は二つを統合した「安全衛生委員会」を設置することもできます。

衛生委員会の構成メンバーとその役割

衛生委員会の構成メンバーは、労働安全衛生法第18条により「統括安全衛生管理者または事業の実施を統括管理する者」「衛生管理者、産業医、衛生に関する経験を持つ労働者」であると定められています。労働安全衛生法上、統括安全衛生管理者は1人と定められていますが、それ以外の構成メンバーの人数に定めはありません。

ただし、統括安全衛生管理者以外の構成メンバーの半数は労働組合(労働組合がない場合は労働者の過半数による指名)の推薦から選出する必要があります。また、労働安全衛生規則第23条の2の定めにより、雇用する従業員が50人未満の事業者は、安全または衛生に関する事項について、関係従業員の意見を聴くための機会を設けるようにしなければなりません。

以下では衛生委員会における統括安全衛生管理者、衛生管理者、産業医の役割について解説します。

1. 統括安全衛生管理者

統括安全衛生管理者は、事業場において事業の実施を実質的に統括管理する権限や責任を持つ人である必要があります。具体的には経営者や支店長、工場長などが統括安全衛生管理者を担うのが一般的です。

統括安全衛生管理者は衛生委員会において議長として司会進行をする場合が多くあります。その理由としては、事業の実施を管理する権限や責任を持っているためです。また、衛生委員会で話し合った課題解決のための施策を実行に移しやすい立場であることも理由として挙げられます。

2. 衛生管理者

衛生管理者の資格を持っている人のことです。人事・総務担当者が資格を取って衛生管理者となるケースが一般的です。衛生管理者の役割は産業医など外部の専門家との窓口です。また、衛生管理者はストレスチェックの実施事務従事者になることもよくあります。専門的な知識があり、社内の状況も詳しい従業員が担うことが望ましいとされています。

3. 産業医

産業医を選任したい場合は、医師会に相談する、近くの医療機関に連絡してみるなどの方法があります。また、知り合いに産業医がいれば交渉するのも一つの手段です。

産業医には医学的な目線で、事業場での問題やその原因、対処法などを助言するという役目があります。衛生委員会に産業医の出席は義務ではありませんが、構成員として出席することが望ましいとされています。

事業場の規模により産業医を置くことが義務付けられている場合もあります。

事業場の規模と産業医を置く基準

常勤産業医:1,000人以上の人が働く事業場
非常勤産業医:50人以上の人が働く事業場

2. 衛生委員会で調査審議するテーマ

衛生委員会で調査審議するテーマは法律で定められていないため、何を審議するかは各事業場で決めることができます。厚生労働省では以下のようなテーマを提案しています。

  • 衛生に関する規定の作成に関すること
  • 衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること
  • 衛生教育の実施計画の作成に関すること
  • 定期健康診断等の結果に対する対策の樹立に関すること
  • 長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること
  • 労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること

また、新卒入社後には安全教育の基本やメンタルヘルスケア、夏場の熱中症や食中毒、忘年会が多くなる冬にはアルコールについてのテーマを設定するなど、季節別に審議するテーマを挙げることで従業員の健康維持に配慮できます。

春(3~5月) ・花粉症対策
・新入社員のメンタルヘルスケア
・安全衛生に関する基本知識
・安全衛生教育(新入社員向け)
夏(6~8月) ・熱中症対策
・食中毒
・冷房病対策
・夏バテ対策
秋(9~11月) ・効果的な睡眠、休養について
・長時間労働の防止
・睡眠時無呼吸症候群について
・肥満予防
冬(12月~2月) ・インフルエンザ予防
・生活習慣病の予防
・アルコールとの上手な付き合い方
・交通事故予防

このほか、衛生委員会のテーマを決定するポイントとして以下が挙げられます。

  • 社内で起きている問題を洗い出す
  • その時に話題になっているものをテーマにする
  • あらかじめ1年分のテーマを考えておく

あらかじめ1年間のテーマを考えておけば、テーマの重複やマンネリ化を防ぐことができます。また、情報収集の時間を確保できるというメリットもあります。

まとめ

衛生委員会は、健康障害の防止や健康の保持促進のために、従業員が50人以上の事業場に設置が義務付けられています。衛生委員会の構成メンバーには「統括安全衛生管理者または事業の実施を統括管理する者」「衛生管理者」「産業医」「衛生に関する経験を持つ従業員」が最低限必要となります。また、半数は労働組合からの推薦によって選出しなければならない決まりもあります。

衛生委員会でのテーマは、「季節に沿ったもの」や「その時話題になっている事象」を取り上げると従業員の健康維持に役立ちます。また、テーマを事前に1年分を決めておくとテーマの重複やマンネリ化を防ぐこともできます。

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