スムーズなお仕事のために知っておきたい 人事・労務の注目用語

労働保険 読み方:ろうどうほけん

2021.06.01

労働保険とは、労災保険(労働者災害補償保険)と雇用保険の総称です。労働保険は1975年から全面適用され、農林水産事業の一部を除いて、従業員を1人でも雇用している事業主は必ず労働保険に加入し労働保険料を納付する義務があります。保険給付は労災保険制度、雇用保険制度で別個に行われますが保険料の納付は一体のものとして取り扱われています。雇用主の義務にもかかわらず労災保険の手続きを行わない事業主が相当数存在することから、厚生労働省は、2005年から各種事業主団体や個別事業主への訪問指導の強化や、自主的に手続きをしない事業主には職権によって保険関係成立の手続を行う「未手続事業一掃対策」に取り組んでいます。

労災保険と雇用保険

従業員を雇用する事業主は、労災保険と雇用保険に必ず加入しなければなりません。雇用主の義務である、労災保険と雇用保険の制度内容の詳細は次表の通りです。

労災保険雇用保険
目的労働災害によるケガや病気の治療費と収入を補償休業(育児や介護等)や失業時の収入を補償
加入条件全ての労働者(事業主や役員幹部は加入する場合、特別加入が必要)1週間の所定労働時間が20時間以上のパートやアルバイトも含む労働者(31日以上継続雇用が見込める、または適用事業所である)
具体的な補償内容「業務上の事由」または「通勤」による傷病、障害、死亡時に対して給付と一時金が給付される育児・介護休業時、失業時などに収入補償のための手当が受けられる
窓口労働基準監督署ハローワーク

労災保険と雇用保険は、「労働保険」としてまとめて保険料を支払いますが、表の通り制度内容には違いがあります。

労災保険と雇用保険はどちらも厚生労働省の管轄です。ただし、受付の窓口が異なります。社員の増減による加入・脱退の際は、労災保険は所轄の労働基準監督署に、雇用保険はハローワークにて手続きを行います。

労働保険に加入する方法

労働保険に加入する場合、労働保険の適用事業者は、「保険関係成立届」を所轄の労働基準監督署、またはハローワークに保険関係成立の翌日から10日以内に提出します。

提出後、提出した年度分の労働保険料を概算保険料として申告し納付しなければなりません。概算保険料は、保険関係が成立した日からその年度の末日までに労働者に支払うであろう賃金の総額の見込み額に保険料を乗じて算出します。

概算保険料が決定したら、「概算保険料申告書」を所轄の労働基準監督署、都道府県労働局、金融機関、郵便局のいずれかに申告し、申告した年度分の労働保険料を納付します。これは保険関係成立の翌日から50日以内に行います。

また、雇用保険の適用事業となった場合には、「雇用保険適用事業所設置届」を設置の翌日から10日以内に提出します。雇用した従業員を雇用保険に加入させる際には、「雇用保険被保険者資格取得届」を資格取得日の翌月10日までにハローワークに提出します。

提出書類提出先提出期限
①保険関係提出届所轄の労働基準監督署保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内
②概算保険料申告書所轄の労働基準監督署
所轄の都道府県労働局
銀行等金融機関
郵便局
保険関係が成立した日の翌日から起算して50日以内
③雇用保険適用事業所設置届所轄のハローワーク設置の日の翌日から起算して10日以内
④雇用保険被保険者資格取得届所轄のハローワーク資格取得の事実があった日の翌月10日まで
  4月1日~5月31日に成立した事業場 6月1日~9月30日に成立した事業場
  第1期(初期) 第2期 第3期 第1期(初期) 第2期
期間 成立した日~7月31日 8月1日~11月30日 12月1日~3月31日 成立した日~11月30日 12月1日~3月31日
納期限 成立した日から50日 10月31日 翌年1月31日 成立した日から50日 翌年1月31日

①の手続を行った後又は同時に、②の手続を行います。
①の手続を行った後に、③及び④の手続を行います。

労働保険の手続きに関しては、直接窓口に出向かず電子申請が可能です。保険料の納付も電子で行えます。

労働保険料の申告と納付

労働保険の保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日の1年間を単位として算出されます。届出を行った翌年以降の保険料の申告方法と納付の方法について解説します。

1. 労働保険の年度更新

労働保険の年度更新とは、毎年6月1日から7月10日の間に行われる、前年度の保険料の清算を目的とした確定保険料の申告・納付と、新年度の概算保険料の申告・納付にかかる手続きのことです。

労働保険の保険料は、雇用する従業員全ての賃金の総額に、定められた保険料率を乗じて算定します。保険料は年度ごとに概算で納付し、賃金が確定した後、年度末に清算します。

年度末更新の手続きを怠ると、政府が保険料・拠出金の額を決定したうえで追徴金が課されることがあります。追徴金は納付すべき保険料・拠出金の10%と定められており、手続きの遅れによって追徴金が課される場合、多大なコストが発生します。

2. 労働保険料の納付

労働保険の保険料は、保険関係成立時と年度更新の際に概算保険料をまとめて納付する必要があります。ただし、労働保険料が40万円以上の場合、または労働保険事務組合に労務保険事務の処理を委託している事業者は、労働保険料の納付を3回に分けることができます。

保険料の延納(分納)の期間と納期限については次の通りです。

  4月1日~5月31日に成立した事業場 6月1日~9月30日に成立した事業場
  第1期(初期) 第2期 第3期 第1期(初期) 第2期
期間 成立した日~7月31日 8月1日~11月30日 12月1日~3月31日 成立した日~11月30日 12月1日~3月31日
納期限 成立した日から50日 10月31日 翌年1月31日 成立した日から50日 翌年1月31日
  翌年度以降の納期限
  第1期(初期) 第2期 第3期
期間 4月1日~7月31日 8月1日~11月30日 12月1日~3月31日
納期限 7月10日 10月31日 翌年1月31日

また、概算保険料申告書を提出後、年度の途中で賃金総額の見込み額が2倍を超え、かつ申告済みの概算保険料よりも13万円以上増加した場合は「増加概算保険料」の申告と納付が必要です。

まとめ

労働保険は、労災保険と雇用保険の総称です。農林水産の事業の一部を除き、1人でも従業員を雇用する事業者は、労働保険への加入義務があります。

労働保険に加入するためには、保険関係成立届、概算保険料申告書、雇用保険適用事業所設置届、雇用保険被保険者資格取得届等各種書類を所轄の労働基準監督署やハローワークに提出しなければなりません。

各種届出を行い、保険料を納付した後は年度更新が毎年行われます。年度更新では前年度の保険料の清算の他、本年度の概算保険料の支払を行います。年度更新を怠った場合、企業には追徴金が課されることがあるので、更新までの各種手続きを確実に行う必要があります。

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