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ストレスチェック

すとれすちぇっく

公開日時:2021.05.31 / 更新日時:2022.03.09

ストレスチェックとは、事業所単位で1年に1回実施しなければならない従業員のストレスに関する検査です。メンタルヘルスの不調を未然に防ぐことを目的として、2015年12月から実施が義務化されました。従業員が50人以上在籍する事業所が対象となります。基本的には、ストレスチェックの質問票に従業員自身が記入する形式で行います。医師や保健師などがストレスのレベルを評価し、高ストレスと判断された従業員については、医師らの面談指導を受けさせて、ストレスの原因を詳しく探り、必要な場合は労働時間削減などの措置を取ります。

ストレスチェック義務化の背景

改正労働安全衛生法に基づき、2015年12月から常時50人以上の労働者を使用する事業者は1年以内ごとに1回、「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(様式第6号の2)」を所轄の労働基準監督署長に提出することが義務付けられました。いわゆる「ストレスチェック」です。義務化の背景を解説します。

1. 精神障害による労災補償件数の増加が要因

ストレスチェック義務化の背景には精神障害による労災補償件数の増大があります。厚生労働省では以前より「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を公表し、事業所におけるメンタルヘルスケアの実施を促進していました。しかし、仕事のストレスが原因で精神障害を発症し、労災認定を受け、休業や退職に至る労働者が減ることはありませんでした。

そのため、さらなる対策として、政府は2014年6月に労働安全衛生法改正を行い、2015年12月から企業に対してストレスチェックの実施を義務付けました。

2. メンタルヘルス対策に取り組む事業所は約6割

2018年発表の厚生労働省のデータによると、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所は約6割でした。主な取り組み内容と実施割合は多い順から以下の通りです。(複数回答)

取り組み内容割合
ストレスチェック62.9%
メンタルヘルス対策に関する労働者への教育研修・情報提供56.3%
メンタルヘルス対策に関する事業所内での相談体制の整備42.5%

また、取り組み別に見ると、規模の大きな事業所ほど実施率が高くなっています。

1. 義務化後も労災補償件数は増加している

2015年から2019年までの推移を見ると精神障害を理由とした労災補償の請求は増加傾向にあります。今のところ、ストレスチェックの義務化による労災補償請求の減少効果は見えていないのが現状です。

出典:厚生労働省|精神障害の労災補償調査より抜粋

労災補償の請求件数が多い業種、職種については以下を参照ください。

請求件数が多い業種請求件数が多い職種
・社会保険
・社会福祉
・介護事業
・医療業
・道路貨物運送業
・情報サービス業
・飲食店
など
・一般事務従事者
・介護サービス職業従事者
・商品販売従事者
・営業職業従事者
・保健師・助産師・看護師
・自動車運転従事者
など

ストレスチェックの実施後にすべきこと

ストレスチェックは実施するだけではなく、その後のアフターケアも重要です。具体的に企業が実施すべき点を解説します。

1. 対象者に面談指導を受けさせる

ストレスチェックの結果、高ストレスと判断された従業員から申し出を受けた場合、医師に依頼して面接指導を実施しなければなりません。また、対応した医師から改善措置の意見をもらい、それを踏まえて従業員の労働時間や職務内容などの調整も行います。医師からの意見聴取は面談指導後、1か月以内に行う必要があります。

面談指導の結果は事業所で5年間保存が必要です。以下の内容を作成、保存してください。

1. 実施年月日
2. 労働者の氏名
3. 面接指導を行った医師の氏名
4. 労働者の勤務の状況、ストレスの状況、その他の心身の状況
5. 就業上の措置に関する医師の意見
※上記の内容が含まれていたら、医師からの報告をそのまま保存しても可

2. 実施結果を労働基準監督署に報告する

ストレスチェックの実施結果は指定の報告書にまとめて労働基準監督署に提出します。ストレスチェックを実施しないことへの罰則はありませんが、報告を行わないことに対しては、労働安全衛生法第120条5項に基づき、50万円以下の罰金が科せられます。

3. 結果を分析して職場環境を改善する

ストレスチェックを行ったら、結果を一定規模(部・課・チーム)で集計、分析し、各グループ単位の職場環境の改善に役立てる努力をしなければなりません。

対象者の面談と労働基準監督署への報告は企業の義務に当たりますが、ストレスチェック後の対策実施は法律上、努力義務となっています。

可能な限りストレスチェック実施後の対策を講じるのが望ましいため、面接指導を担当する医師などにストレスチェックの結果の集計、分析作業を依頼しましょう。その結果をもらい、社内の関係者で環境改善策を検討します。

現状、ストレスチェック実施後に対策を取らずに済ませてしまう企業も存在していますが、チェック後の分析・改善まで実施することではじめてメンタルヘルス不調への対策の効果が期待できます。

まとめ

精神障害による労災補償件数は増加傾向にあり、ストレスチェックを含めたメンタルヘルス対策が企業に求められています。企業はストレスチェックを適切に行い、従業員のメンタルヘルス不調を見逃さないようにする必要があります。

2015年からは、労働者が50人以上いる事業所では年一回のストレスチェックが義務化されています。メンタルヘルス不調を未然に防ぐための対策として、ストレスチェックの必要性を従業員全体に周知することが重要です。

また、各企業にはストレスチェックで得た結果をもとに、個人および組織単位でのストレス傾向を把握し、抜本的な職場環境改善につなげることが望まれます。

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