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休業支援金

きゅうぎょうしえんきん

公開日時:2021.05.31 / 更新日時:2022.03.09

休業支援金は、正式名称を「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」といい、2020年4月以降、新型コロナウイルス感染症および、感染拡大を防ぐ「まん延防止措置」の影響で休業を余儀なくされた従業員のうち、休業手当を受け取れなかった従業員を対象に支給される支援金のことです。事業主の協力を得られなくとも、条件を満たしていれば誰でも申請できる制度となります。中小企業の従業員だけでなく、2021年4月からは大企業の非正規雇用の従業員も対象となりました。

休業支援金の特徴

休業支援金は正式名称を「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」といいます。新型コロナウイルスの影響で休業した従業員で休業手当が受け取れなかった従業員を対象に支給されるものです。

1. 休業支援金の給付額

休業支援金の支給額は1日当たり最大1万1,000円です。次の計算式で算出します。

休業前の1日当たりの平均賃金×80%(※1)×{各月の日数(30日または31日)-就労した日数、従業員の事情で休んだ日数}

※1 大企業の非正規雇用の従業員で、2020年4月1日~6月30日までの休業は60%で計算

なお、休業前の1日当たりの平均賃金は以下の計算式で算出します。

休業開始前6か月の任意の3か月の賃金合計額÷90

また、2021年5月~6月の2か月間は1人1日あたりの助成額上限を9900円まで減額します。※2 さらに、感染が拡大している地域(まん延防止等重点措置対象地域の知事による基本的対処方針に沿った要請)については、地域特例が設けられているため、助成額の上限が1万1000円となります。※3

※2、3 2021年5月時点

2. 対象となる従業員

休業支援金支給の対象となるのは、一定期間の間に休業をした中小企業の従業員、大企業の非正規雇用の従業員、学生アルバイト、外国人労働者(技能実習生を含む)です。海外勤務者、日雇いの従業員、フリーランスの人は支給対象外となります。

また、次のように中小企業と大企業で支給対象者が異なります。

【中小企業に雇用される従業員】
2020年4月1日から2021年6月30日までに、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業主が休業させ、その休業に対する賃金(休業手当)を受け取っていない人

【大企業に雇用される従業員】
以下の1.2の期間について、大企業に雇用されるシフト制労働者等(※1)で、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業主が休業させ、その休業に対する賃金(休業手当)を受け取っていない人
 1.2020年4月1日から2020年6月30日まで
 2.2021年1月8日(※2)から2021年6月30日まで

※1.シフト制、日々雇用、登録型派遣のように、労働契約上、労働日が明確でない人
※2.2020年11月7日以降に時短要請を発令した都道府県は、それぞれ要請の始期以降の休業も含む

「中小企業」の範囲は次の通りとしています。

小売業(飲食店含む)資本金5,000万円以下 常時雇用従業員数50人以下
サービス業資本金5,000万円以下 常時雇用従業員数100人以下
卸売業資本金1億円以下 常時雇用従業員数100人以下
その他の業種資本金3億円以下 常時雇用従業員数300人以下

3. 対象となる休業

休業支援金給付の対象となるのは、事業主の指示で所定労働日に従業員を休ませた場合です。また、以下のケースも対象となります。

  • 時短営業で勤務時間が減り、1日4時間未満の勤務になった場合
  • 月の一部分の休業の場合(週5回勤務→週3回勤務への変更など)

従業員の事情で休んだ場合や有休休暇の場合は休業に該当しないため、支給対象とはなりません。

休業支援金は個人申請も可能

休業支援金の申請は個人が行うことも可能です。どのような時に個人申請ができるのかを解説します。

1. 個人申請ができる

支援給付金の申請時は事業主が支援要件確認書を記載する必要があります。しかし、これを拒んだ場合は個人での申請が可能です。個人申請を行う場合は以下の点に注意が必要です。

  • 事業主記入欄の事業主名部分に、協力が得られない旨を記載しなければならない
  • 個人申請した場合、労働局から事業主への確認が行われる。事業主から回答があり次第、審査になるので、申請から支給までに時間がかかる

申請する従業員が複数の事業所で働いている場合は、複数事業所の休業について申請可能です。その際はまとめて申請しないと後から申請した分が無効となりますので注意する必要があります。

2. 不正受給をした場合

休業支援金の不正受給を行った場合に科される罰則は以下の通りです。

  • 不正受給が発覚した場合、支給を受けた額の2倍まで(合計して、最大支給を受けた額の3倍)の額、年3%の割合の延滞金を請求されることがある
  • 不正受給に関与した場合、偽りの証明等をしたとして、連帯責任で上記額の納付や名称が公表される場合がある

まとめ

2020年4月以降、新型コロナウイルス感染症拡大や政府の指定したまん延防止措置の影響で休業を余儀なくされた従業員のうち、休業手当が支給されなかった人を対象として休業支援金が支払われることになりました。給付額は1日最大1万1,000円、対象者は日本国内で働く従業員です。学生アルバイトや技能実習生も含む外国人労働者も対象となります。また、複数事業所で働いている場合は、まとめて申請する必要があります。

申請時は事業主が支援要件確認書を記載する必要がありますが、協力を得られない場合は従業員が個人申請を行うことも可能です。なお、不正受給の場合は支給を受けた金額の2倍までを請求される場合があります。連帯責任として事業所の名称が公表される場合もあるため、不正受給に関与したと疑われないよう、申請に際しては厳密な手続きを経る必要があります。

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