スムーズなお仕事のために知っておきたい 人事・労務の注目用語

試用期間 読み方:しようきかん

2021.05.27

試用期間とは、選考を経て採用が決定した従業員の適性や勤務態度などを実際の業務で確認し、本採用するかを最終的に判断するために設ける期間のことです。試用期間中の労働契約は「解約権留保付労働契約」にあたり、合理的な理由があれば、会社に適さないとみなした従業員との労働契約を解除することができます。企業は、雇い入れる前には従業員の適性や能力などをすべて把握できないことから、採用後のリスクを軽減するために試用期間を設けています。

試用期間とは

企業が人材を採用する際、試用期間を設けて自社の文化や業務に適性があるかを見極めるために、本採用の前に試用期間を設けるのが一般的です。試用期間はどのくらいの日数が適切なのか、また試用期間中の社会保険への加入は必要なのか詳しく解説します。

1. 試用期間の日数

試用期間の日数は、一般的に1か月から6か月に設定されることが多いです。試用期間の長さについては法で定められているものではありませんが、無期限に設定することはできません。試用期間が常識を超えて長すぎる場合は、民法90条の「公序良俗違反」に問われる可能性があります。

(公序良俗違反)
【民法 第90条】
公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。

過去には、入社後6か月の見習い社員期間を設け、さらにその後6か月から12か月の試用期間を設けていた企業が公序良俗違反とされた例があります。

正当な理由があり試用期間を延長する際にも、客観性と合理性が求められます。試用期間の延長を行う可能性がある場合は、就業規則や労働契約書に試用期間の延長に関する条件をあらかじめ記載しておきましょう。

2. 試用期間中の社会保険

試用期間中の従業員でも、各保険の要件を満たしている場合は社会保険への加入が必須となります。ただし、「4か月以内の季節的業務に使用される者」「臨時的事業の事業所に使用される者」などの条件にあてはまる場合は、労災保険を除く社会保険(雇用保険、健康保険、厚生年金保険)に加入できません。

労災保険を除く社会保険の適用除外者
・臨時に使用される者であって、以下のいずれかに該当する者 
 1. 日々雇い入れられる者(1か月を超え、引き続き使用されるに至った場合を除く)
 2. 2か月以内の期間を定めて使用される者(2か月を超え、引き続き使用されるに至った場合を除く)
・事業所又は事務所で所在地が一定しない者に使用される者
・季節的業務に使用される者(継続して4か月を超えて使用されるべき場合を除く)
・臨時的事業の事業所に使用される者(継続して6か月を超えて使用されるべき場合を除く)
・国民健康保険組合の事業所に使用される者
・後期高齢者医療の被保険者となる者(健康保険の場合)
・70歳以上の者(厚生年金保険の場合)
・厚生労働大臣、健康保険組合又は共済組合の承認を受けた者(健康保険の被保険者でないことにより国民健康保険の被保険者であるべき期間に限る)
など

試用期間中の解雇(本採用見送り)

企業は、客観的かつ合理的な理由があれば、試用期間中に「本採用見送り」として従業員を解雇することができます。ただし、試用期間中の解雇には慎重になる必要があります。試用期間中の解雇が認められる条件や必要な手続きについて解説します。

1. 試用期間中の解雇(本採用見送り)が認められる条件

企業は、試用期間中の従業員を自由に解雇できるわけではありませんが、労働契約法第16条により、客観的かつ合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる場合には試用期間中の解雇が認められます。

例えば、以下のような場合は試用期間中の解雇が認められると考えられます。

  • 勤務態度が著しく悪く、業務において常に反抗的な態度を取る
  • 正当な理由なく遅刻や欠勤をする
  • 選考時に伝えられた経歴が詐称だった

従業員の能力不足で解雇する場合は、教育や改善のための指導など、該当従業員の能力を伸ばすための努力をしたのかが焦点となります。

試用期間中の解雇によるトラブルを避けるためにも、就業規則で「試用期間中の解雇事由」を明記しておきましょう。

また、正社員として採用した従業員だけでなく、パートやアルバイトの従業員であっても試用期間中の解雇を簡単に行うことはできません。パート・アルバイトの従業員も、解雇の条件は正規雇用の従業員と同様のため、企業側の都合によって自由に解雇することは法律上禁じられています。

2. 試用期間中に解雇する場合に発生する手続き

試用期間中に解雇する場合、試用期間の開始から14日を分かれ目として手続きが変わってきます。

試用期間から14日以内の場合、労働基準法第21条に基づき、30日以上前の解雇予告や解雇予告手当の支払いをせずに解雇することが可能です。つまり、通常の解雇と同様の手続きをとることになります。

試用期間から14日を超えて解雇する場合、労働基準法第20条に基づき、30日以上前の解雇予告を行います。30日以上前に解雇予告を行えない場合は、企業は解雇予告手当を従業員に支払わなければなりません。

まとめ

試用期間とは、新たに採用した従業員を本採用するかどうかを企業が見極める期間のことです。試用期間の長さは1か月~6か月が一般的です。長すぎる試用期間を設定してしまうと、公序良俗違反となる可能性があります。

試用期間中の従業員に対しては、特例を除き社会保険に加入させる必要があります。従業員の入社時には必ず社会保険の加入手続きを行いましょう。

試用期間を設けた結果、本採用に至らず従業員を解雇すると決める場合、その理由が客観的かつ合理的であれば解雇が可能です。ただし、解雇を決定する前に、試用期間中の従業員に対して改善のための指導や教育などの努力を行う必要があります。

改善のための努力を行っても改善されず、解雇する際には、従業員とのトラブルに発展しないよう、法に則り適切な手続きを行わなければなりません。企業側、従業員側双方に行き違いが生じないよう、試用期間を設定する場合は就業規則に試用期間について明記する、入社時に書面で説明をするといった対策を取りましょう。

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