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「雇用保険被保険者資格喪失届」の提出手続きや記入時の注意点を解説

2021.08.30

従業員が雇用保険の被保険者でなくなったとき、事業主はハローワークに「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出する必要があります。この届出には提出期限があり、提出期限を過ぎても提出されない場合や、虚偽の届出をした場合の罰則が設けられているため、事業主は当該書類の提出が必要になった際は速やかに手続きを行わなければなりません。この記事では、雇用保険被保険者資格喪失届について、届出が必要になる場面や、提出しなかった場合の罰則の内容、届出の方法などについて具体的に解説します。

雇用保険被保険者資格喪失届とは?

雇用保険被保険者資格喪失届は、従業員が雇用保険の被保険者ではなくなったことを届け出るための書類です。雇用保険被保険者資格喪失届とは何か、届出が必要なシーンや届出をしなかった場合の罰則について解説します。

1.雇用保険被保険者資格喪失届が必要になるシーン

雇用保険被保険者資格喪失届の届出は、基本的に従業員が離職したときに行います。その他、次のようなケースで届出が必要です。

離職以外で雇用保険被保険者資格喪失届が必要なケース

  • 従業員が死亡したとき
  • 従業員が役員に昇格したとき
  • 出向元に復帰したとき
  • 週の所定労働時間が20時間未満に変更されたとき

雇用保険被保険者資格喪失届の届出は、従業員が雇用保険の被保険者でなくなった翌日から10日以内に、ハローワークに提出しなければなりません。

注意したいのが、この届出は従業員の出向でも提出が必要になる可能性がある点です。雇用保険料の負担は、通常雇用関係を結んでいる事業主または労働者に多く給与を支払っている事業主が行います。従業員が出向元よりも出向先から給与を多く受け取っている、出向先で雇用関係を結んでいる場合、出向元での雇用保険の資格を喪失するため雇用保険被保険者資格喪失届を提出しなければなりません。

また、雇用保険被保険者資格喪失届は2020年4月から特定の法人を対象に社会保険関連の一部手続きを義務化する「電子申請義務化」の対象となる手続きです。以下の条件に当てはまる法人の場合、雇用保険被保険者資格喪失届を電子申請で届出なければなりません。

電子申請が義務化されている特定法人

  • 資本金、出資金又は銀行等保有株式取得機構に納付する拠出金の額が1億円を超える法人
  • 相互会社(保険業法)
  • 投資法人(投資信託及び投資法人に関する法律)
  • 特定目的会社(資産の流動化に関する法律)

雇用保険被保険者資格喪失届のほか、雇用保険に関連する以下の手続きも、対象法人では電子申請が義務付けられています。

特定法人で電子申請が義務化されている雇用保険手続き

  • 被保険者資格取得届
  • 被保険者転勤届
  • ⾼年齢雇用継続給付支給申請
  • 育児休業給付支給申請

2.届出をしなかった場合の罰則

従業員が雇用保険の被保険者ではなくなった翌日から10日以内に雇用保険被保険者資格喪失届を提出しなかった場合、離職者側が失業等給付を受けられなくなってしまいます。規定の期日に遅れないよう、必要になった際は記入手続きを済ませ迅速に届け出ましょう。

また、企業側が雇用保険被保険者資格喪失届の提出が必要なケースで届出を行わなかった場合、または虚偽の届出をした場合には、雇用保険法第83条にもとづき、6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科されます。

離職者から離職票を請求されているにもかかわらず、正当な理由なく離職票の交付を拒否した場合も罰則の対象となります。離職票の交付は、雇用保険法第76条3項および労働基準法第22条に規定されています。

雇用保険被保険者資格喪失届の書き方

雇用保険被保険者資格喪失届の書き方について、特に記入時に注意すべき点を中心に説明します。

雇用保険被保険者資格喪失届

雇用保険被保険者資格喪失届には26の項目が設けられています。記入時に特に注意したいのが次の4つの項目です。

1.個人番号
6.喪失原因
7.離職票交付希望
10.新氏名 

「1.個人番号」の欄には、従業員の個人番号(マイナンバー)を記載します。記載の前に、番号の確認と身元確認を行い、雇用保険の資格を喪失した本人か確認する必要があります。雇用保険被保険者資格喪失届はオンライン上で必要事項を記載してからの印刷が可能ですが、個人番号については印刷後に手書きで記入しなければなりません。

「6.喪失原因」の区分の欄には、「1 離職以外の理由」「2 3以外の離職」「3 事業主の都合による離職」の3つからいずれかを選び記入します。区分それぞれの具体的な内容は次のとおりです。

1 離職以外の理由出向、出向からの復帰、死亡など
2 3以外の離職契約期間満了、任意退職、企業に大きな損失をもたらしたことによる解雇、天災などやむを得ない理由の解雇など
3 事業主の都合による離職事業主の都合による解雇、事業主の勧奨による任意退職など

「7.離職票交付希望」の項目には、離職者が離職時に妊娠、出産、育児、疾病等の理由で一定期間就労できない場合、または60歳以上で定年後に就労するつもりがなく、かつ失業等給付を受ける場合は「1」を記入します。

「10.新氏名」は、氏名の変更があった場合のみ新氏名を記載します。この場合、「20.被保険者氏名」に変更前の氏名を、「25.氏名変更年月日」に氏名を変更した年月日を記載する必要があります。

雇用保険被保険者資格喪失届提出時の添付書類

雇用保険被保険者資格喪失届を提出する際には、賃金台帳、出勤簿、労働者名簿など、従業員が離職した事実が明らかになる帳簿等の提出が必要です。

雇用保険被保険者資格喪失届の添付書類

  • 出勤簿
  • 退職辞令発令書類
  • 労働者名簿
  • 賃金台帳
  • 離職理由が確認できる書類
  • 離職証明書(離職票が不要な場合は提出義務なし)

また、使用者は雇用保険被保険者離職証明書を作成し、ハローワークに提出する必要があります。ただし、離職者本人が離職票の交付を希望しない場合など、離職票が不要なケースでは提出する必要はありません。

離職者本人が離職票の交付を希望しない場合でも、59歳以上の退職者に対しては必ず雇用保険被保険者離職証明書を提出する必要があります。

雇用保険被保険者資格喪失届の提出方法

雇用保険被保険者資格喪失届の提出は、ハローワークの窓口に直接提出する他、郵送、電子申請で提出することが可能です。

窓口に直接提出、または郵送する場合は、ハローワークインターネットサービスから様式をダウンロードし、印刷して使用します。印刷時はA4の白色用紙を用意し、等倍(倍率100%)に設定して印刷します。

様式の端にある3つの■マークは、ハローワーク側で読み取る際の基準マークです。このマークに欠損やかすれがあると正しく読み取ることができないため、印刷後は欠損やかすれがないかチェックし、ある場合には再度印刷を行います。また、印刷した際にフォーマットが傾いていた場合も受理ができない場合があるため、印刷機の設定や用紙の入れ方が正しいかも確認しておきましょう。

1.ハローワークの窓口で提出する方法

管轄のハローワークの雇用保険窓口に出向き、雇用保険被保険者資格喪失届と添付書類を持参して窓口で手続きを行います。離職票が必要な場合は、喪失届とあわせて雇用保険被保険者離職証明書の提出も必要です。

各種書類や帳簿を提出し手続きを行ったら、その場で「離職票-1」と「離職票-2」を受取り、2枚とも離職者に速やかに渡します。

2.郵送で提出する方法

郵送で提出する場合、管轄のハローワーク宛に雇用保険被保険者資格喪失届に添付書類を同封して郵送します。この際、雇用保険被保険者資格喪失届にはマイナンバーが記載されているため、簡易書留やレターパックなど、送付履歴がわかる方法で郵送しなければなりません。

離職票が必要な場合は、「離職票-1」「離職票-2」を返送してもらうための返信用封筒に切手を貼って同封する必要があります。ハローワークから離職票が返送されたら、速やかに離職者本人に渡します。

3.電子申請で提出する方法

雇用保険被保険者資格喪失届は、総務省が運営するサイト「e-Gov」からの電子申請が可能です。この際、添付ファイル等はPDFファイルに変換し添付・送信します。

「e-Gov」による電子申請の方法について、詳しくは、業務改善ガイド 「今からでも間に合う! 人事・総務・労務のための電子申請完全ガイド」をご覧ください。

電子申請を選択した場合、「離職票-1」「離職票-2」「資格喪失確認通知書」「離職証明書」の4つが電子公文書として交付されます。「離職票-1」「離職票-2」は交付後、離職者本人に速やかに渡してください。「資格喪失確認通知書」と「離職証明書」は事業主が保管します。

まとめ

雇用保険被保険者資格喪失届は、従業員が被保険者ではなくなったことを届け出るための書類です。雇用保険被保険者資格喪失届は、従業員が雇用保険の被保険者ではなくなったときに提出の義務が発生するため、従業員が離職したときだけでなく、週の所定労働時間が20時間未満に変更になったときなどにも提出が必要です。

この届出は、従業員が雇用保険の被保険者でなくなった翌日から10日以内に提出しなければなりません。提出先は、事業所がある地域の所轄のハローワークです。ハローワークの窓口か、郵送、電子申請にて提出可能です。

雇用保険被保険者資格喪失届けの申請手続きだけでなく、さまざまな行政手続きが電子申請に対応しています。業務効率化につながる電子申請システムの導入を検討しましょう。

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