業務改善ガイド

5Sとは?活動と導入で期待できる効果や実施のポイントを解説

公開日時:2021.08.27 / 更新日時:2022.12.23

職場環境の改善や維持のために必要とされる活動が「5S」です。今回は企業のマネジメント全体に関わる5Sとは何か、その意義について解説します。5S活動実践のためのルール作り、チェックシート作りのコツについてもご紹介します。

5Sとは? 5S活動の概要を解説

5Sとは、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」のSから始まる5つの言葉の総称で、製造業やサービス業をはじめとする職場環境の改善や維持のために用いられます。

整理(Seiri)必要なものと不要なものを分離し、不要なものを処分したりしまったりすること
整頓(Seiton)必要なものを所定の場所に置くこと
清掃(Seisou)掃除してごみや汚れがない状態にすること
清潔(Seiketsu)「整理」「整頓」「清掃」をして常に汚れのない状態にしておくこと
しつけ(Shitsuke)従業員が職場を常にきれいに使うよう習慣付けるための指導や教育をしたり、ルールづくりをしたりすること

5Sは職場環境を整えるための活動で、主に製造業やサービス業で使われています。大手企業をはじめ日本の多くの企業で導入されています。特に多数の従業員が働く職場で作業のミスや無駄を減らし、業務効率化を図るために効果的な取り組みです。

5Sを構成する要素について1つずつ解説します。

整理

5Sにおいては、整理とは「必要なものと不要なものを分類した上で、不要なものを処分したりしまったりすること」です。

職場から普段使わない不要なものを減らすと、必要なときに必要なものが見つけやすくなるというメリットがあります。例えば、職場に置いてある古い文房具や普段使わない什器は捨て、性能が良く新しい製品を利用すると作業効率が上がります。また、不要な古い資料やデータを整理することで必要な情報が探しやすくなります。

また、整理のためには不用意に職場にものを増やさず、利用の用途や保存場所、廃棄の方法を想定してから購入するような取り決めも重要です。

整頓

整頓とは、必要なものをあらかじめ決めておいた場所に配置することです。置き場所を決める際に考慮しておきたいのは以下の2点です。

  • 利用頻度: よく使うものを近くに、それほど使わないものは遠くに保管する、など
  • 業務の流れ: 使う順番を考え、一番目に使うものを手前に、最後に使うものを奥へ保管する、など

ものの置き場所をどのように定めるかは、各職場で話し合ってから決め、周知します。職場にいる人が運びやすく片付けもしやすい配置の方法を検討して決めておきましょう。

この他、職場の備品については以下の点を徹底します。

  • ひと目で何が置いてあるかを分かるように名前を付けておく
  • 置き方を工夫して、探さずともすぐに見つけることができるようにしておく

職場のものが整理整頓されていると、業務で必要になった時に必要なものをすぐ探し出すことができます。探す手間なくすぐに作業に取り掛かれるため、作業効率も上がるというメリットがあります。

清掃

「整理」「整頓」の次に留意すべきは「清掃」です。清掃とは、掃除をして職場内にゴミや汚れがない状態にすることを指しますが漠然と「職場をきれいにしよう」と指示するだけでは不十分です。「どこまで清掃すればいいのか分からない」と言うことがないよう、社内で「きれいな状態」とはどんな状態かの共通認識を持つため、あらかじめ基準を決めておくことが必要です。誰が行っても同じレベルの清潔さを保てる作業を、清掃活動の目標に定めます。

また、清掃を確実に行うために、「いつ」「誰が」「どこを」「どのように」職場を清掃するかも定めておきます。そのうえで清掃の当番を決めることと、当番の周知を行い習慣化します。加えて、清掃と同時に「職場内の機械や設備に不具合がないかの点検」もチェックリストを用いて行い、問題があれば修理や手入れをすることもルーティン化させましょう。

清潔

清潔とは、「整理」「整頓」「清掃」を行い、汚れのない状態を保つことです。職場の人員の配置換えがあっても清潔な状態が保てるように、整理・整頓・清掃のルールを明確化し、従業員に徹底させなければなりません。清潔も清掃同様に、誰が行っても同じレベルを保てるように基準を策定することが重要です。

しつけ

しつけとは、従業員が常にきれいに職場を使うように習慣付けるための指導や教育のことです。上記で解説した「整理」「整頓」「清掃」「清潔」を確実に実施するには「しつけ」の段階で実行のためのルール策定を行う必要があります。

決められたルールを守り、職場改善を行うことは従業員のモラルの向上にもつながります。また、事故防止の観点からもルール策定とその遵守が重要となります。

5S活動に取り組むことで期待できる効果

5Sに取り組むことで、職場を常に清潔な状態に保つ行動が徹底されます。整理整頓をしておくことで、必要な備品や資料を探し出す時間や手間を省けるため、業務にかかる無駄の削減も可能です。

5Sを習慣付けておくことで、業務に集中できる時間が増えるため、生産性の向上や業務の効率化も期待できます。余分な業務の手間が減ることで、残業時間の削減にもつながり、従業員のワークライフバランス向上にも役立ちます。

また、5Sを実施することは職場の安全性の確保にもつながります。職場を清潔に保つことで、床に転がっているものにつまずいて転倒する、何かを踏んで怪我をする、といった事故の危険も減らせます。

5S活動実施のポイント

5S活動には押さえておきたいポイントがいくつかあります。こちらでは以下の3つのポイントについて解説します。

・実施の目的を明確にする
・ルールは従業員全員が参加して決める
・チェックシートを作成し活用する

実施の目的を明確にする

5Sに取り組む理由を従業員に明確にしておかないと、単なる「職場をきれいにする活動」で終わってしまいます。目的がはっきりしない活動は途中で頓挫してしまう可能性もあります。

「毎月の残業時間を〇時間削減」「ミス発生件数を半分に減らす」など、5S活動の目的をはっきりさせ、従業員に周知徹底させることが重要です。これにより従業員全員が目的に向かって5Sに取り組めます。

また、設定していた目標が達成されたら、そのまま継続するだけでなく効果検証をしたうえで、新たな目標を設定します。これにより、さらに良い職場環境の整備を目指すことができます。

ルールは従業員全員が参加して決める

5Sを意味あるものにするためにも、従業員全員が役職や部署を超えてルール作りについて話し合うことが必要です。 5Sを実践する際、「経営者やリーダーがルールを決めて、従業員全員に守らせる」という「トップダウン形式」だと、なぜ5S活動を行うのか、何を目指しているのかを従業員に十分理解してもらえない可能性があります。上層部から一方的に指示された5S活動に不満を抱える従業員が発生することがないよう、現場の従業員も協議に参加し話し合って決めたルールにもとづいて周知徹底をしましょう。

現場で働く従業員が参加してルール作りをするのが理想ですが、従業員が多い企業、シフト制等で従業員の働く時間が異なる企業では全員参加で会議をするのは現実的ではありません。そのためなるべく多くの従業員の意見を反映できるよう、アンケートやメールでの意見表明など、参加の方法を工夫します。

ルール作りに参加することで「やらされている」という受け身の取り組みではなく、当事者意識を持ち各職場で5S活動を実践できる可能性が高まります。

チェックシートを作成する

5S活動について職場でルールを定めても、各従業員の認識レベルが違うと、適切に運用できなくなる恐れがあります。そこで活用したいのが、「5Sチェックシート」です。業種や作業の内容によって項目は各企業・各部署で異なりますが、どこから手を付けていいのか分からない企業向けに、5Sチェックシートの雛形となる項目例を記載します。

5S活動のためのチェックシートテンプレート

整理・整頓・清掃について (改善活動)
☐ 職場で使うもの、使わないものの明確な判断基準が確立されているか?
☐ 不用品を所定の場所に置いているか?また、不用品である旨がはっきり表示されているか?
☐ 職場の整理を日常的に行っているか?
☐ 棚・キャビネットに品名・管理担当者をきちんと表示しているか?
☐ 使用頻度ごとに「身近に置くもの」「遠ざけておくもの」を分け、配置しているか?
☐ 作業台・デスク回りの清掃を行い、作業空間が確保されているか?
☐ 使用頻度が高いものは誰でもすぐに使えるようにしているか?また、元の位置にすぐに戻せるか?
☐ 使用している機械や設備は点検・清掃ができているか?
☐ 使用している資材、劣化や故障している機械・設備などは廃棄もしくは整理しているか?
清潔・しつけについて (維持活動)
☐ 作業服は清潔なものを着用しているか?
☐ 機械や設備に油汚れがないか?粉塵などが付着していないか?
☐ 作業に応じて保護具を正しく着用しているか?
☐ トイレや洗面所はきれいに保たれているか?
☐ 床や通路にゴミや汚れはないか?
☐ 定期的に清掃活動を行っているか?

上記でチェックシートを例に挙げましたが、具体的には以下のような改善活動があります。

  • 白線で床に歩行者専用通路を表示
  • 荷物や運搬用の台車がばらけないように、「平行に並べる」「奥から詰める」など、置き方を工夫する
  • 荷物を置く場所をきちんと定め、歩行者が通る通路にはみ出さないようにする
  • 動かしてはいけない機械に誤操作防止のカバーを付ける
  • 危険物である旨を大きく、見やすく表示する
  • 危険物は許容量以上保管しない。量も正しく管理する
  • 非常口・消火設備周辺にものを置かないようにする

この他にも、従業員同士で意見を出し合い、各職場に合った5Sのポイントを洗い出してみることをおすすめします。

まとめ

5S活動とは「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」の5つのSから始まる言葉の総称です。5Sは製造業やサービス業でよく活用されています。5S活動を行うと、職場環境が整うだけでなく、無駄もなくなります。結果として、作業の効率化、生産性の向上が実現できます。

なお、5S活動を行う際は、目的を明確にすることが必要です。また、一方的なトップダウン形式にならないよう、現場の従業員も議論に参加してルールを定め、実施目的を周知徹底させる「チェックシート」の活用も有効です。
5Sで労働環境を整えるとともに、自社の労務管理の整備に取り組むことで、勤怠管理や給与計算などのバックオフィス業務もスムーズに進みます。現場の5Sルールと並行して従業員の勤怠状況を把握する仕組みを採用しましょう。

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