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システム統合に必要な手順は?メリットやリスクも知りたいです。

システム統合の目的を理解することが大切です。システム統合は情報処理によるコストの抑制が期待できる単純なデータの入力ミスなどヒューマンエラーのリスクを少なくできる点がメリットの1つです。
公開日時:2022.09.30
詳しく解説

Q. バックオフィス業務におけるシステム統合の手順が分かりません。そもそも、システム統合にはメリットがあるものなのでしょうか?

企業の再編成により、親会社から社内システムの統合を命じられています。私自身は勤怠や給与管理などを担当しており、バックオフィス系のシステムについて担当することになりますが、ITに関する知識が薄く何から着手すべきかがわかりません。そもそも、システム統合をすることのメリットを理解できていません。システム統合に際して何が必要なのか、またどういったメリットが得られるのか、教えていただきたいです。

A. システム統合の目的を理解することが大切です。システム統合は情報処理によるコストの抑制が期待できる単純なデータの入力ミスなどヒューマンエラーのリスクを少なくできる点がメリットの1つです。

システム統合に際しては、統合後の完成図が見えていることが重要です。何を目的としてそのプロジェクトを実施するかを理解できていないと、準備すべきものも必要な知識も分かりません。

システム統合の一般的な目的は、社内に散らばるさまざまな情報を一元化し、管理・活用しやすくすることです。それにより、情報処理のコストを下げたり業務スピードがアップしたりといった現場のメリットはもちろんのこと、社内の情報共有化が進み「戦略が早く立てられる」「経営判断のスピードが上がる」といった大きなメリットを獲得できます。

システム統合のメリットとは

システム統合によって社内の情報を一元化した結果で得られるメリットについて、代表的なものを3つそれぞれ紹介します。

(1)システム一元化により正確な情報共有ができるようになる

企業が取り扱うデータは、担当部署によって異なるシステムやフォーマットによる管理が多数です。また、その内容も担当部署で使用するデータのみを保管し、情報が分散していることが大半です。

そのため、複数の部署に渡る情報共有が必要な場合、表記方法やフォーマットの違いにより正しい情報が行き渡らない恐れがあります。

しかし、システム統合によって各部署で断片的に保管していたデータを一元化することで、正確な情報の共有が可能です。

(2)情報処理のコスト減や精度向上が図れる

各部署で使用している情報システムの統合によって、システムの購入および保守契約を一括し、メンテナンスやシステム更新にかかる管理コストの削減が可能です

また、システムの一元化が未実施の状況では、情報共有時に発生しやすい「データの転記誤り」といったヒューマンエラーや、担当者不在による「必要な情報の保存場所が不明」などの様々なトラブルが発生する可能性があります。

システムの統合はこれらの問題を解消し、情報処理の精度が向上するため、業務効率の改善にも寄与します。

(3)経営や戦略の立案が容易になる

財務分野から製造・流通・顧客情報に至るまでの情報を網羅できるため、定量的な経営戦略の立案が容易となります。このような経営のコアデータや、サプライチェーンにかかわる重要な情報を一元化することで、より精密な分析ができ正確かつスピード感のある戦略の実行も可能です。

また、業務が効率化されることで従来の負担が軽減され、人事領域における内部体制の見直しにもつながります。

システム統合の手法

システム統合は、プロジェクトの目的に合った手法を選択することが重要です。また、親会社から使用システムの指定があればそれに従い、社内インフラを管理している情報システム部署の知識を頼りましょう。

それを踏まえて、システム統合を実施するために有効な手法を3つ解説します。

(1)1つのシステムに統合する

一元化の対象となるデータを管理する複数の情報システムを、1つの既存システムに集約する手法です。情報システムの1つの使用を継続し、その他のシステムはデータ移行後に廃止します。

この手法で得られるメリットは、まとめると以下の3つです。

・データ移行時における不具合の発生が比較的少ない
・システム間のデータ移行にかかる準備期間が短い
・既存システムを利用するため初期費用が低額に抑えられる

一方で、1つのシステムに統合した際には、既存システムの機能内で対応となるため、デメリットとして「業務上必要な仕様と合致しない可能性がある」などの事態も生じる場合があります。

データ移行にかかる準備期間が短く不具合の発生率が低い一方で、集約先システムでの対応が不可能なデータは移行できません。それに伴い機能を新たに追加する場合は、別途開発費用の発生も想定する必要があります。

(2)既存のシステムを残し、データ連携で統合する

複数のシステムからオンラインで業務データを抽出・連携を行い、対象システムのデータを統合管理し、財務情報や経営情報を可視化する手法です。データ連携で統合する場合の主なメリットは「既存システムを廃止しないため、統合期間中の業務への影響が抑えられる」という点です。

一方、次のようなデメリットも考えられますので留意が必要になります。

・複数のシステムに存在するデータを集約するためシステム構造が複雑化する
・システムに新たな機能が必要となった場合、複雑化した構造から開発が困難
・連携時にデータが反映されないといった想定外の不具合が発生する可能性がある

システム間のデータ連携時に不具合が起こりやすい一方で、システム統合における業務への影響が最も少ない手法です。また、既存システムの廃止を予定している場合でも、この手法を採用することで急激な業務の増加を抑えられます。

(3)新たにシステムを開発する

既存システムとは別に、再編成後の業務やサービスに合致するよう、システムを新規開発し導入する手法です。企業の長期的な経営戦略に基づきシステム機能を新たに開発した後、既存のシステムを全て廃止します。この方法は設計から行うため最も初期導入コストが高額となり、開発・導入に長期間を要します。

この手法で得られるメリットとしては以下の2点が挙げられます。

・企業再編成後の経営戦略に即したビジネス展開や業務への対応が可能
・既存システムでは困難な業務の効率化・自動化の推進が可能

一方、システム開発を行った場合には、次のようなデメリットも想定されます。

・統合のための設計から構築にかかる期間や費用負担は3つの方法の中で最も大きい
・現在稼働しているシステムの機能を新システムに移行する際、データの損失や不具合が発生する可能性がある

システム開発を自社で行う場合、企業の新しい経営計画に基づいた柔軟な対応が可能です。しかし、開発準備段階から内部・外部との協議に十分な時間が必要であり、コスト増加や移行時の不具合が発生しやすいのが難点でもあります。

まとめ

システム統合によるメリット・デメリット、統合の手法について解説しました。膨大な情報が氾濫し、受けた情報を管理・活用することが困難な現代において、企業が市場シェアの優位性を確立するためには定量的なデータ分析を基盤とした経営戦略の立案・実行が急務となっています。

既存システムの枠を超えた統合は高額な費用の発生やデータ損失などの危険性がありますが、システム統合することで市場競争を優位に展開可能です。

システム統合による効果を最大限に発揮するために、目的を意識した統合計画を立案しましょう。まずは、各部署で管理している情報の集約、特に業務ファイルを連携し管理および活用することが有効です。社内ですべて行うことが難しい場合には、ベンダーの協力を得て実施するのが望ましいでしょう。

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