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人事・労務なんでもQ&A

現在先払いで支払っている交通費を後払い制に変更したいのですが、違法にはならないでしょうか。

通勤手当として支払っている交通費を後払いにすることは違法ではありません。従業員数が数十人以上の企業なら後払いが一般的です。
公開日時:2022.06.27 / 更新日時:2022.06.29
詳しく解説

Q. 現在先払いで支払っている交通費を後払い制に変更したいのですが、違法にはならないでしょうか。

従業員数が50人以上の中小企業で労務担当をしています。コロナ禍以降、一部ですが月のうち何度かテレワークで働く従業員もおり、先払いで定期代を支払うと余分に交通手当を支払うことになります。オフィス勤務・テレワークの従業員も含め、全社的に通勤手当を後払いに変更したいと考えています。法的に問題はありませんでしょうか。

A.通勤手当として支払っている交通費を後払いにすることは違法ではありません。従業員数が数十人以上の企業であれば、後払いの方が効率的で、手続き上のミスも減ります。

定期代や出張費など、通勤にかかった費用を給与と一緒に支払う後払いは一般的な方法であり、違法ではありません。先払いから後払いに変更することも可能です。通勤手当については、法律上は企業に支払い義務がなく、どのような支払い方をするかは任意で決めることができます。

先払いと後払いにはそれぞれ交通費を従業員に支払うまでの手続きや、費用の管理における効率面で違いがあります。先払い制の効率面でのデメリットは、従業員が月のはじめで退職したり、休職したりした場合の費用回収が難しいという点です。従業員が一度立て替えたものを給与と一緒に支払う後払いの方が管理は容易で、手続き上のミスも減ります。都度発生する出張費の管理についても同様です。

交通費の後払いは違法ではない

まず、通勤手当に代表される交通費の後払いは多くの企業が採用している一般的な方法であり違法ではありません。通勤手当の支払いはそもそも法律上の義務はなく、どのような形式や時季に支給されるかは労働基準法上における賃金支払の五原則に反しない限り企業の自由だからです。

ただし、どのような形式で支払いをするか企業が決められるとしても、例えば何年間にもわたって従業員に立て替えさせるなど、社会通念を逸するような期間を設定した場合、その設定は無効とされます。後払いとして適切な支払いまでの期間の設定は具体的には、1か月〜半年程度でしょう。1か月〜半年分の定期代を従業員に立て替えてもらい、指定の給与支払い時に後払いをするのが一般的です。出張の交通費についても出張旅費精算書の提出があった後、常識的な期間の内に従業員にかかった費用を支払う必要があります。

先払いと後払いの違い

先払いは、例えば6か月分の定期代を、6月と12月までの6か月分を先払いするというルールの支払い方法です。先払い制のメリットは従業員が自分で立て替える分の負担が減る点です。デメリットとして、従業員が短期間に退職した時、先払いで支払った定期代の回収が難しくなる場合があります。既に現金で支給していた残りの月の定期代を実費で回収するにしても、退職した従業員に何度も連絡をしたり、返してもらう分の定期代を出勤した日数と照らし合わせて計算したりしなければなりません。

この他にも、テレワークで出勤日数に応じて通勤手当を支払う、となった場合は先払いでは実際の出勤日数は予想しにくく、その分計算が複雑で通勤手当の支払いミスも起きやすいなどのデメリットもあります。前もって「1月は6日テレワークをする」と従業員が申請した場合でも、急な用事で出社した日が増えると、都度経理が出勤時にかかった交通費を支払うなど手間がかかるからです。

後払いは、例えば6か月分の定期代を、12月の給与で後払いするなどのルールを定めて従業員が定期代を立て替える方法です。この場合、支払い月は12月でなくとも6~12月のいずれかの給与支払いのタイミングで支払っても構いません。出張費も、例えば海外出張など立て替えが難しい高額な費用がかかる場合を除き、多くの企業では後払いを採用しています。

後払いのデメリットとして、通勤にかかる定期代や出張費が高額な場合、従業員の立て替え負担が多く敬遠される点があります。メリットは、従業員の申請に応じてその分の通勤手当を計算して支払えばよく、従業員が辞めたりテレワークで出勤日が減ったりした場合でも、清算に混乱が生じにくい点です。また、定期代だけでなく出張費も出張旅費精算書の提出で確定した費用を期日までにまとめて振込みをすればよいので、イレギュラー対応が起きにくく、管理の手間は先払いより全体的に少なくなります。

テレワークを導入している企業が交通費を実費払する場合の対応について詳しくは、次の記事をご覧ください。

従業員が数十人以上なら後払いの方が手間が少ない

先払いと後払い、どちらを採用すればいいか迷っている場合、「数十人以上の従業員がいる企業では、後払いの方が労務や経理の負担がかからず管理が容易」と考えましょう。従業員が数十人以上いる場合、人数が多い分、イレギュラー対応が起きた場合の手間も増え、支払いミスも起きやすくなります。出張する機会が多い企業でも後払いの方が清算時にかかる労務や経理担当者の手間が少ないと言えます。

従業員が10人以下の企業であれば、先払いにしても個別にかかる手間は少なく済みます。

まとめ

通勤手当や出張費など交通費の支払い方法を定めた法律上の規定はないため、後払いにするか先払いにするかは企業が任意で決められます。先払いは従業員が少ない企業であればそこまで手間はかかりません。数十人以上の従業員を抱えており、一部テレワークを許可している企業や出張が多い企業では、後払いの方法を採用すると管理も楽で、実費払いにも対応できます。

通勤手当を指定の月に給与として支払うには、効率的かつ簡単に給与計算できる専用のシステムを導入すると便利です。給与計算をさらにスムーズに進めたい場合はシステムの導入を検討しましょう。

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