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人事・労務なんでもQ&A

最低賃金の改定により給与制度を見直したいと考えています。見直しの適切なタイミングや手順についても教えてください。
最低賃金といった「法改正」、会社の合併などによる「大きな組織改編」があるときに、給与制度を見直す必要があります。
公開日時:2022.03.01 / 更新日時:2022.03.09

Q.最低賃金が改定されるごとに各従業員の賃金が最低賃金を下回っていないかの確認に手間がかかっており、給与制度を見直したいと考えています。見直しの適切なタイミングや手順についても教えてください。

従業員100人ほどの中小企業の人事担当です。アルバイトやパートの方も多いため、最低賃金が改定されるごとに賃金が最低賃金を下回っていないかの確認に手間がかかっており、一定数給与を引き上げる給与制度の見直しを行いたいと考えています。見直しの適切なタイミングや手順についても教えてください。

A.最低賃金といった「法改正」、会社の合併などによる「大きな組織改編」があるときに、給与制度を見直す必要があります。現在の給与制度の問題点を洗い出し、自社に合った制度になるよう慎重に見直しを進めましょう。

給与制度は、「法改正」や「大きな組織改編」などのタイミングで見直しが必要になります。

【法改正】
毎年10月の最低賃金の改定や「同一労働同一賃金」などの大規模な法改正があると、従来の給与制度では対応できなくなる可能性があります。支払うべき給与額が未払いのままだと、従業員から未払い賃金の請求、さらには損害賠償を請求される恐れもありますので、このタイミングでの見直しが必要です。

最低賃金を考慮して給与制度を見直す場合、現在の指標に合わせるのではなく、今後の動向をも見据えて給与制度を改定することがポイントです。例えば、今後も最低賃金が上がると予想されるのであれば、それを見越して一定水準給与を上げることが可能な制度に改定するといった対応が挙げられます。

【大きな組織改編】
合併や社内事業の整理など、組織に大きな変化がある場合、同じ職務でも給与に格差が生まれ、社内で混乱や不満が発生する可能性があります。そのため、組織改編のタイミングでも給与制度の見直しが必要です。見直しのステップについては次項で解説します。

1.給与制度設計の4ステップ

給与制度の設計は以下の4つのステップを踏むことが一般的です。

(1)自社の給与制度の問題点の把握

(2)自社に合った給与体系の選定

(3)移行シミュレーションの実施

(4)従業員への説明

1.自社の給与制度の問題点の把握

自社の給与制度の問題点がどこなのかを把握するために、業界の給与水準の調査および従業員へ「給与に関するアンケート」を実施します。

具体的には、自社の給与水準が妥当なのかを把握するために、厚生労働省が毎年発表する「賃金構造基本統計調査」で同業の一般的な給与水準を確認する、従業員に対して給与満足度調査を匿名で行い、従業員の本音を確認するなどの方法があります。

2.自社に合った給与体系の選定

給与制度は主に以下の5つに分類ができます。

給与体系概要 メリットデメリット
年齢・勤続給年齢や勤続年数によって、支給額を決定する・安定して昇給する仕組みなので管理しやすい・生産性向上につながりにくい
・人件費が高騰しやすい
能力給能力評価の結果によって、支給額を決定する・役職や勤続年数が軸になるため、評価の手間が少ない・実績が評価されにくく、若手従業員の不満が溜まりやすい
役割給定義した役割に沿って格付けし、支給額を決定する・合理的に評価しやすい
・従業員の目標設定
・管理がしやすい
・降格・降給によって不満が出る可能性がある
職務給職務の難易度や責任の範囲に応じて、支給額を決定する・合理的に評価しやすい
・従業員から賃金への不満が出にくい
・従業員一人ずつ評価しなければならず手間がかかる
成果給個人の業績に応じて、支給額を決定する・合理的に評価しやすい
・生産性の向上が期待できる
・業務の成果を数字で出しにくい職種は評価が難しい
・従業員が短期的志向になりやすい

近年、日本では「職務給」や「役割給」「成果給」など、個人の能力や業績に応じて適切に評価する給与制度がトレンドです。ただ、自社に合った給与体系でない場合、従業員の不満が募り、人材の流出につながる恐れもあります。トレンドに惑わされず、自社に本当に必要な制度かどうかを見極めてください。

3.移行シミュレーションの実施

新たな給与制度が決まったら、スムーズに導入できるように移行シミュレーションを実施します。既存社員の情報を新給与制度に当てはめてシミュレーションし、現在の給与額とシミュレーションの金額を比較して、問題点がある場合は再度協議が必要です。

4.従業員への説明

給与制度を変更する場合、従業員との双方の合意が必要です。従業員に新たな給与制度への変更を了承してもらうために、資料配布や説明会を実施し、変更の意図や今後の運用方法を説明します。特に、減給になる従業員に対しては、丁寧な理由の説明が必要です。説明を怠り、同意を得ていないと「労働条件の不利益変更」を行ったとして労使トラブルに発展する可能性があります。

2. 給与制度を見直すメリット

給与制度を見直すと、「人件費の予測が立てやすくなる」「従業員のモチベーション向上につながる」といったメリットがあります。

給与制度を見直し、明確になると、年齢や部署、成果、勤務年数などによって、どのくらいの給与を支払うべきかの計算が容易になります。また、給与制度の見直しで、従業員がどのように努力すれば評価されるかが明確になり、モチベーションが高い状態で業務に取り組むようになります。生産性の向上や従業員の定着率の向上も期待できます。

3. 給与制度を見直した事例

給与制度を見直した事例を2つ紹介します。

【社会福祉法人 A会】
A会では、今まで非常勤職員の賃金の明確な仕組みがありませんでした。そこで給与制度を見直し、常勤・非常勤共通の賃金制度を導入し、給与項目を以下に定めました。

給与項目備考
年功給・世間相場や勤続年数を考慮して支給
・人事評価結果を反映させた定期昇給を実施
・世間相場を参考にして賃金テーブルの開始値を設定
職種給・職務(役割)評価結果を踏まえ算出
・職務ポイント×ポイント単価により算出
・職種別、等級別にシングルレートを設定
資格手当・公的資格の取得者に対して支給
役職手当・主任以上の役職者に対して支給

この改定により、職員の賃金に対する納得感が高まり、モチベーションアップにつながりました。また、非常勤職員が昇給・昇格のためにどのような取り組みをすればいいのかが明確になり、スキルアップにもつながっています。

【電気機器製造業B社】
B社では、年齢や勤続年数の長い従業員が高い賃金となる給与制度を採用しており、新しい経営戦略で重要な従業員を適切に評価することが困難な状況でした。そこで、職種や役割ごとに仕事の大きさを数値化した上で給与水準を決定する制度に変更しました。

従業員に対して、他社の業務についても数値化した上で説明したため、スムーズに同意を得られています。また、同社では、数値化したポイントが少ない仕事に従事する従業員のモチベーションを維持するために、キャリアアップや職種転換の仕組みも整備しています。

まとめ

給与制度の見直しは、法改正や大きな組織改編などのタイミングでの実施が一般的です。給与制度を見直す際は、現状を把握した上で、自社の社風や従業員に合った給与制度を選択する必要があります。また、導入時は従業員への説明が必要です。給与制度を見直すと、人件費の予測が立てやすくなる上に、モチベーション向上による業務効率の改善や従業員の定着も期待できます。

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