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新型コロナウイルスのワクチン接種に必要とされる「新型コロナワクチン休暇」とはどんな制度ですか?

従業員がスムーズにワクチン接種を行うための特別休暇の制度で、現状は統一されたルールはありません。

2021.07.02

詳しく解説

Q. 新型コロナウイルスのワクチン接種に必要とされる「新型コロナワクチン休暇」とはどんな制度ですか?

従業員300人程度の中小企業の人事担当者です。新型コロナワクチン接種を希望する従業員に対して、ワクチン接種日を欠勤扱いにするか休暇扱いにすべきか検討していますが、「新型コロナワクチン休暇」を採用している企業もあると聞いています。「新型コロナワクチン休暇」とは具体的にどんな制度でしょうか。中小企業でも実施できるのか、政府の方針や他社の取り組み事例もあわせて知りたいです。

A. 従業員がスムーズにワクチン接種を行うための特別休暇の制度で、現状は統一されたルールはありません。

「新型コロナワクチン休暇」とは、従業員がスムーズにワクチン接種を行うため、接種日や接種後、副反応で体調不良になったときに取得できる特別休暇の制度です。政府は、国家公務員と地方公務員はワクチン接種のための事実上の特別休暇を取得できると発表しましたが、一般企業に対してはワクチン接種のために特別休暇を取得できる法的な仕組みはありません。現状統一的なワクチン休暇の制度はないため、各企業が独自に制度を設けて対応しています。大企業を中心にワクチン休暇導入の取り組みが進んでいますが、中小企業であっても就業規則の変更なしで既存の休暇制度の利用で対応できる場合があります。

1. 新型コロナワクチン休暇が必要とされる理由

「新型コロナワクチン休暇」の導入が企業に必要とされる理由として、「混雑する日、時間帯を避けるため」「副反応で体調不良になる可能性があるため」という理由が挙げられます。各企業の従業員がワクチン接種をする際、祝祭日や就業後の時間帯に接種希望者が殺到し、接種会場や病院が混雑する可能性があります。ワクチン接種のための休暇があれば混雑する日・時間帯を避けて日中に接種が済むため、各会場のワクチン接種がスムーズに混乱なく進みます。政府は、ワクチン接種の混雑を避けるため職場や健康診断でワクチン接種を行う案も検討しています。

ワクチン接種後は、人によっては副反応で疲労、頭痛、筋肉や関節の痛みなどが現れ体調不良となる可能性があります。1日発熱で寝込んだり、筋肉痛で起き上がれなかったりと重い症状が出たり、まれな頻度でアナフィラキシー(急性のアレルギー反応)が発生したりする場合もあります。副反応が出た場合でも安心して休みが取れるよう、予め企業側で休暇をとれる仕組みを整えておくことが望ましいです。

2. 欠勤扱いや年休でなく、有給の特別休暇であることが望ましい

ワクチン接種日や翌日以降に副反応が出て休んだ日は、欠勤扱いや年次有給休暇を消化させる対応ではなく、有給の特別休暇であることが望ましいとされています。有給の特別休暇が必要な理由として、入社したての従業員、パートタイマーなど出勤している日数が少ない従業員は年次有給休暇を取得できずワクチン接種を受けづらくなってしまうことがあります。また、有給が取りづらい従業員が、副反応が出ていても無理を押して勤務するようなことがあれば労災事故を引き起こす危険も高まり、安全衛生の観点からも問題が生じやすくなります。

このほかにもワクチン接種日が欠勤扱いになると給与が減るため、ワクチン接種をしなかったり先延ばしにしたりする従業員も現れると考えられます。気兼ねなく安心してワクチン接種ができる制度を整えておけば、従業員のワクチン接種もスムーズに進み、新型コロナウイルスの感染リスクも削減できます。

有給の特別休暇は大企業だけでなく中小企業でも導入可能です。具体的には就業規則に「接種日または副反応で就業が難しい場合は接種日翌日を休暇とする」といった「ワクチン休暇」の規定を明記する方法です。就業規則の変更には労使の合意をはじめとする手続きが必要なため、病気休暇や、やむを得ない場合に特別休暇を与える規定がすでに就業規則にあれば「ワクチン休暇」にも使える規定として利用する臨時の対応方法もあります。

3. すでに新型コロナワクチン休暇を設けている企業の例

ワクチン休暇制度を導入すると表明した企業は大企業を中心に複数あります。パートタイマーや契約社員含む全従業員対象のワクチン休暇を設けた三菱電機、ワクチン休暇取得に加え就業時間中に接種が受けられる制度を取り入れたソフトバンク、有給休暇とは別に最大12日の休暇を認めるアフラック生命保険の例などです。

三菱電機は契約社員、パートタイマーを含む直接雇用の従業員全員4万3000人対象の有給の特別休暇を導入しました。混雑を避けて平日に接種できるよう、自社従業員を支援するのが目的です。2回目のワクチン接種時にも休暇が取得でき、副反応が出た場合は既存の休暇制度を利用して休めるような配慮もあります。

ソフトバンクは2021年6月から就業時間中のワクチン接種を認め、その際の交通費を支給することを決定しました。ワクチンの副反応により従業員本人に休養が必要な場合や、家族のワクチン接種の付き添いや副反応で看病が必要な場合に必要な最大2日間の有給の特別休暇も付与します。ワクチン休暇をはじめとする支援制度は、安心してワクチン接種ができる環境づくり、感染時の重症化や職場でのクラスターの発生を予防することを目的に設けられています。

アフラック生命保険は、全従業員約5000人を対象に最大で12営業日の休暇を認め、時間単位での休暇取得も可能な「ワクチン・リーブ」の制度を導入しました。「ワクチン・リーブ」は有給休暇とは別に接種当日や副反応が出た際の療養期間の休暇を想定した休暇制度です。
従業員は、ワクチン接種時、

①特別休暇「ワクチン・リーブ」の取得
②通常勤務時間の社用外出扱い
③有給休暇の取得
の3つの選択肢から勤怠の扱いを選ぶことができます。

接種後に副反応が出た際は ①特別休暇「ワクチン・リーブ」の取得、②有給休暇の取得、から勤怠の取り扱いを選べます。この特別休暇やワクチン接種に際しての勤怠の扱いは、接種を希望する従業員がスムーズにワクチン接種ができる環境を整えることを目的としています。

まとめ

ワクチン休暇は、従業員のワクチンの接種をスムーズに行い、副反応が出たときにも安心して休めるようにするための制度であり、大企業を中心に導入する企業が増えています。公務員を除き国が定めるワクチン休暇の制度はないため、現在は企業が独自に休暇の内容を規定しており統一的なルールや法的な定めはありません。

接種を円滑に進めるためワクチン接種時は欠勤扱いや年次有給休暇の消化ではなく有給の特別休暇にするのが望ましいとされています。企業によってはワクチン接種時に特別休暇を取得するか、就業中に接種をするかを選べる制度を設けています。ワクチン休暇制度をつくるにあたっては、就業規則にワクチン休暇を明記する形で就業規則変更の手続きを取るか、別の特別休暇を臨時的にワクチン休暇として利用する方法があります。

ワクチン休暇制度を採用したり就業中のワクチン接種を認める措置を取ったりした場合、以後の従業員の勤怠の取り扱いが複雑化する可能性があります。ワクチン休暇をはじめとする施策の導入と運用には柔軟かつ正確な勤怠管理の仕組みを整理する必要があります。

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