既存インフラを活用した新システム導入で、教職員に負担をかけることなく働き方改革を推進!

  • 豊中市教育委員会様
    森山様
  • 業種:
    自治体
  • 拠点数:
    約55箇所(2023年8月現在)
  • 対象規模:
    約2,300人
  • 運用開始:
    2022年10月~

事業内容:
豊中市の学校教育、社会教育、文化、スポーツ等に関する事務を担当

所在地:
〒561-8501 豊中市中桜塚3丁目1番1号 豊中市役所第一庁舎6階

  • 導入の目的

    教職員の労働時間把握をタイムリーに

    教頭への業務集中解消

    データ分析による働き方改革の施策

  • 導入製品

1.課題は「労働時間の迅速・正確な把握」と「業務集中の解消」

Q:導入の背景について教えていただけますか?

まず「教職員の労働時間を適切なタイミングで把握できていない」という課題がありました。教育委員会へ出勤簿が届くのがおおむね翌月下旬、遅いと翌々月にかかることもあるという状況で、教職員自身も「自分は今月どれくらい時間外労働しているか」といった情報をタイムリーに把握できていなかったのです。

なぜそんなことになっていたかというと、TimePro-VG導入前のシステムに原因がありました。以前のシステムは、ICカードで出退勤時間を記録する簡易的なもので、打刻機はパソコン1台だけにつながっていました。校長が打刻データを表計算ソフトに取り込み集計することで、やっと教職員の労働時間がわかるというシステムだったのです。

校長しかできない業務とはいえ、毎日それをやってもらうのは負担が大きいですし、でもこまめにやってもらえないと「この教職員は過労死ラインを超えている」といった差し迫った状況もすぐにはわかりません。ちなみに「教職員本人が、翌月に過去1ヶ月分の勤怠データを確認する」というフローもあるにはあったのですが、徐々に形骸化してしまい、打刻漏れを補うような作業となっていました。

それを経て、教育委員会には翌月下旬にその労働時間を報告してもらうので、やはりタイムリーさに欠け、働き方の意識改革なども取り組みにくくなってしまう。なにせ2ヶ月近くたってから「先々月は働きすぎでしたよ」と言われても、「そういえば忙しかったですね、気をつけます」程度にしか思えず、具体的な話になっていかないのです。

 

もう1つ、「休暇申請がすべて紙の書類で行われ、データ入力や残日数を管理する教頭への業務集中が著しい」という課題もありました。これは学校現場特有の慣例なのですが、夏休みに教職員の自主研修が認められていて、職務専念義務が免除されます。このために教職員がまとめて休暇申請を行うのです。教頭は、終業式の日までに夏休み約40日分のデータを、申請した教職員の人数分すべて入力しなければなりません。これが非常に大変で作業が深夜にまで及んでおり、なんとか解決したかったというのもありました。

2.既存のICカードシステムを活かしつつ労働時間管理を刷新、「働きすぎ」の解消へ

Q:TimePro-VG導入のきっかけを教えていただけますか?

実は当初、他社のシステムを検討していました。しかし、そのシステムではパソコンで出退勤操作を行うことが必須になっており、業務に紛れて打刻を忘れてしまうのではないかと、運用への不安をぬぐい切れませんでした。

そこでアマノ社に相談し、デモを見たところ学校現場の経験があり事情を把握している職員が「TimePro-VGの方が適している」と評価したこともあり、本格的な検討を始めました。

決め手になったのはまず「実績」、そして「操作性」でした。

また、豊中市教育委員会では、市費雇用と府費雇用の教職員が同じ職場に勤務しておりますが、勤怠管理は別々の仕組みで管理しておりました。

アマノ製のカードリーダーを利用する場合、打刻した人を市費職員と府費職員とで判定して別々の仕組みにデータを連携することができ、1台のカードリーダーを共通して利用することができるというのも決め手の一つとなりました。

迅速な労働時間把握で「働きすぎ」を予防

導入後、教頭のみなさんからは「長期休業などに伴う大量の作業がなくなり、負担が軽くなった」と聞いています。実際に2学期からの導入にもかかわらず、豊中市全小学校で平均約15分、教頭の時間外労働時間が縮まりました。

また、部活指導のための出勤など、従来のシステムではおろそかになりがちだった直行・直帰の打刻作業も、TimePro-VG導入にあたり、あらためて管理を徹底し、しっかり打刻されるようになりました。労働時間は導入前に比べて増える格好になりましたが、これまで見えていなかった実態が把握できたわけですから、成果のひとつだと認識しています。

働き方改革という意味では、教職員が自ら労働時間や時間外労働時間、在校時間を把握できるようになり、時間管理の意識も高まったはずですし、教頭も前日までの教職員全員の労働時間が正確に把握できるようになり、マネジメントに役立てていただいているかと思います。

例えば、時間外労働の状況は常に把握できるので、月半ばでも教頭から教職員へ「時間外労働が多すぎますよ」と注意喚起したり、「今日から30分ずつ早めに切り上げて帰っては?」と具体的に声を掛けたりできるようになったことは非常に効果が大きいと考えています。さらに、自身の時間外労働の状況を視覚的に把握できる「カウンター機能」を表示させることで、「赤くなっているから残業はもうあまりできないな」など、教職員本人に残業抑制を意識させることもできるようになりました。

学校と教育委員会両方の意識改革につながった

さらに、教育委員会側もリアルタイムに、それも学校単位、校長単位といったセグメントに分けて労働時間を確認できるようになったため、注意喚起の対象者を絞り込みやすくなりました。例えば学校管理職と初任者は、特に時間外労働が多くなりがちなのです。教頭全員の平均で、年間約700時間は時間外労働をしています。また学校別で見たときに、「3ヶ月連続で時間外労働時間数がトップになっている」といった教職員は、大抵初任者です。

これまではざっくりとした平均でしかデータを見られなかったのですが、こうして個別に見られる環境が整って、具体的に時間外労働が多い役職・属性などの傾向がわかり、対策をとれるようになりました。

例えば、初任者に対しては市費の指導員から指導をしてもらっています。また、時間外労働の多い管理職に対しては昨年から定年退職後の校長経験者を指導員とし、業務指導をしてもらっています。

校長のなかには、教頭を経験することなく校長になった人もいます。そうすると教頭の働き方について、直属の上司である校長であっても的確に判断できないケースが出てきます。こうした課題についても、TimePro-VG導入によって教育委員会側で個別に状況を把握できるようになりましたので、適切に指導できるようになりました。

教育委員会でデータ処理するために各学校から提供される情報は、これまでそれぞれバラバラになっていて、まとめるのに多くの時間がかかっていました。また、集計についてもマクロを組んだExcelを利用しており、属人化されている状態でした。

TimePro-VG導入後はそういった非効率的な作業や属人性がなくなり、例えば私でも必要なデータを必要なタイミングで、よりスピーディーに出力できるようになりました。

これまで、豊中市は市費を投じてさまざまな施策に挑戦しましたが、なかなか効果が発揮されませんでした。今回のTimePro-VG導入によって時間外労働が多い対象者を的確に把握できるようになり、コストパフォーマンスが向上したのを実感しています。制度を見直すきっかけにもなり、現場も含め意識改革にもつながりました。

3.教職員が自ら働き方について分析できるようにしていきたい

Q:TimePro-VGを活用して、今後実現したいことはありますか?

先ほどのような「勤怠データを活用して各教職員へ個別に具体的な説明、指導をしていく」体制をさらに強化したいですね。長時間労働を解消すると言っても、教職員を無尽蔵に増やすことはできませんので、時間外労働が多い教職員と管理職がしっかり向き合って、業務内容を見直していくことを検討しています。

このために、具体的には「どのような業務にどのくらいの時間がかかっているか」を把握していきたいと考えています。例えば中学校の場合、長時間労働といえば部活指導に焦点が当たりがちです。しかし、実際部活にどのくらい時間がかかっているのかを把握しているのは一部のみで、全体を見ると管理・把握できていない学校が大多数なのです。また、17時以降の勤務については教材研究などもあります。こうした業務の時間管理はかなり大雑把になっていますから、これからしっかり把握して、教職員の在校時間の短縮を目指したいですね。

教育委員会では時間外労働の平均データや土日連続出勤等の検索リストを活用していますが、本来は学校現場でも使ってもらいたいのです。ただ、学校側にとっては経験のないことですから、まず今は教育委員会側でデータを確認して、状況が良くない学校には声掛けをしながら、データ活用の文化を浸透させていこうと。その先で、各学校が自分たちでデータを見て、労働時間や働き方について分析してもらうことが終着点だと考えています。

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