業務改善ガイド

外国人雇用状況届出書とは? 外国人雇用の際に必須の申請方法を解説

公開日時:2023.03.27

外国人雇用状況届出書とは、企業が外国人の雇用や離職時に提出する書類です。国が外国人労働者の雇用状況を把握し、雇用管理や雇用安定につなげることを目的として企業に提出を義務付けています。

届出の対象となる外国人が雇用保険被保険者かそうでないかで提出する書類が異なったり、オフラインとオンラインの2つの提出方法があったりするなど、いくつかの提出のケースが想定されるため、提出方法に迷われる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、外国人雇用状況届出書のルールや、雇用保険被保険者かそうでないかのケース別記入例、注意点について解説します。自社の対象となる外国人労働者に該当する提出方法を把握し、期日通りに提出できるようにしましょう。

外国人雇用状況届出書のルール

事業主には、外国人の雇用状況の届出が義務づけられており、外国人を雇用する際には、届出のルールを守らなければ30万円以下の罰金の対象となってしまいます。この章では、外国人雇用状況届出書の基本的なルールについて解説します。

届出の対象となる外国人を雇用する際は提出しなければならない

事業主は雇用する外国人について、厚生労働省令で定める内容を確認し、厚生労働大臣に届出を提出しなければならないとされています(労働施策総合推進法第28条)。以下の3点すべてに該当する労働者を雇用する場合は、外国人雇用状況届出書を提出する必要があります。

外国人雇用状況届出書が必要な外国人労働者

 ・日本の国籍をもっていない

 ・在留資格が「外交」「公用」「特別永住者」以外の人

 ・雇用保険被保険者でない

「特別永住者」の他に、「永住者」という在留資格もあり、混同しやすいですが、「永住者」に該当する労働者を雇うのであれば外国人雇用状況届出書を提出しなければなりません。雇い入れる際に、在留資格を確認し、必要であれば届出書を提出しましょう。

ただし、対象となる外国人が雇用保険被保険者である場合は、外国人雇用状況届出書の代わりに雇用保険被保険者資格取得届に必要事項を記載して提出することになります。それぞれの提出方法については2章で詳しく解説します。

届出の未提出や虚偽の報告をしてはならない

届出の提出対象である外国人を雇っているのに、提出を怠ったり、虚偽の報告を行ったりした場合、30万円以下の罰金の対象となります。提出期限を守れず、期限が過ぎてしまったり、雇入れ年月日や在留資格などを間違えて記入してしまったりすることのないよう注意しましょう。

提出を忘れた場合、放置してしまうことや、帳尻を合わせるために雇入れ年月日や離職年月日に関して虚偽の報告をしてしまうのは厳禁です。速やかに事業所を管轄するハローワークの窓口に今後の対応を仰ぎましょう。

届出の提出期限は雇用保険の被保険者かそうでない場合かでそれぞれ異なるため、混同しないように気をつけてください。提出期限については、次章で詳しく解説します。

外国人雇用状況届出書のケース別記入例

対象となる外国人が雇用保険被保険者かそうでないかによって、申請する届出の種類が異なります。オンライン申請かオフライン申請のどちらも選ぶことが可能です。オンラインの場合には、届出を窓口に提出しに行く必要はなく、24時間365日、インターネット上での申請が可能です。自社の外国人労働者がどの申請方法に該当するかは以下のフローチャートをご覧ください。次の2つの要件に当てはまる場合は雇用保険の対象です。

・1週間の所定労働時間が20時間以上であること

・31日以上の雇用見込みがあること(継続しないことが明確である場合以外は該当する)

外国人雇用状況届出書のケース別申請方法

タヨロウ作成

雇用保険被保険者とならないケース

該当する従業員が雇用保険被保険者でないのであれば、雇用・離職の際に「外国人雇用状況届出書」を提出しましょう。提出期限は雇用・離職のどちらも翌月の末日までです。こちらの届出書も「雇用保険被保険者資格取得・喪失届」と同様にオフライン、オンラインを問わず提出可能です。まずはオフラインの場合の申請方法を解説します。オンラインの申請方法を知りたい方はこちらをご覧ください。オフラインの申請方法は以下です。

 

【オフラインでの申請方法】

オフラインでの申請方法は以下の表の通りです。

 

提出するもの

申請方法

提出期限

オフラインの申請方法

「外国人雇用状況届出書」

書類をハローワークの窓口に直接出すか、窓口に郵送する

雇用・離職のどちらも翌月の末日まで

まずは外国人雇用状況届出書をサイトからダウンロードします。2ページ分ありますが印刷する際は、別々にせずに表裏で1枚にまとめて提出する必要があります。以下の画像を参考に外国人雇用状況届出書を記入しましょう。

外国人雇用状況届出書の見本

1~8の欄は対象となる外国人の在留カードを参照しながら記入してください。在留カードを見て記載する内容は以下の表の通りです。

在留カードを参照して記入する内容(資格外活動許可以外、在留カードの表面に記載有)

1欄:氏名

2欄:在留資格

3欄:在留期間

4欄:生年月日

5欄:①の者の性別

6欄:①の者の国籍・地域

7欄:資格外活動許可の有無(これのみ在留カード裏面)

8欄:在留カードの番号

オフライン申請からオンライン申請に切り替える際には、「外国人雇用状況届出に係る電子届出切替・変更申請書」を提出しなければなりません。そのため、今回がはじめての申請で、今後オンラインに切り替える予定があるのであれば、オンラインで提出したほうが余計な申請の手間がかからないでしょう。

 

【オンラインでの申請方法】

オンラインの場合の申請方法は以下の表の通りです。

 

提出するもの

申請方法

提出期限

オンラインの申請方法

「外国人雇用状況届出書」

外国人雇用状況届出書システムで提出する

雇用・離職のどちらも翌月の末日まで

オンラインでの「外国人雇用状況届出書」の提出は、厚生労働省が管理する「外国人雇用状況届出システム」での提出となります。そのため、まず「外国人雇用状況届出システム」のユーザー情報を登録してログインしましょう。

外国人雇用状況届出システム

ユーザー登録をしてログイン後、雇用情報メニューから「外国人雇用情報新規登録」を選択し、以下の画像を参考に必要事項を入力していきましょう。

 

外国人雇用状況届出システム

外国人雇用状況届出書においては、以下の表の項目の入力が必要です。雇用する外国人の在留カードを参考に入力してください。その後は、雇入れ年月日や離職年月日、事業主側の情報を記載して申請します。

このとき、雇用した際の届出期限中に、すでに離職している場合には雇入れ年月日と離職年月日を、届出期限内だけで雇用や離職を何度も繰り返している場合はその分の雇入れ年月日や離職年月日をまとめて入力してください。

在留カードを参照して記入する内容(資格外活動許可以外、在留カードの表面に記載有)

1:氏名

2:在留資格

3:在留期間

4:生年月日

5:①の者の性別

6:①の者の国籍・地域

7:出身地域

8:資格外活動許可の有無(これのみ在留カード裏面)

9:在留カードの番号(在留カード表面)

雇用保険被保険者となるケース

該当する従業員が雇用保険被保険者ならば、雇用時には「雇用保険被保険者資格取得届」を、離職時には「雇用保険者資格喪失届」を提出しましょう。「雇用保険被保険者資格取得届」は雇用した翌月10日まで、「雇用保険者資格喪失届」は離職の翌日から起算して10日以内に提出しなければ罰則の対象になってしまいます。

「雇用保険被保険者資格取得届」と「雇用保険者資格喪失届」はオンライン・オフラインのどちらでも提出が可能です。まずはオフラインの場合の申請方法を解説します。オンラインの申請方法を知りたい方はこちらをご覧ください。

 

【オフラインでの申請方法】

オフラインでの申請方法は以下の表の通りです。

 

提出するもの

申請方法

提出期限

オフラインの申請方法

「雇用保険被保険者資格取得届」

書類をハローワークの窓口に直接出すか、窓口に郵送する

雇用した翌月10日以内

「雇用保険者資格喪失届」

書類をハローワークの窓口に直接出すか、窓口に郵送する

離職の翌日から起算して10日以内

■雇用保険被保険者資格取得届の記入内容

雇用保険被保険者資格取得届をハローワークインターネットサービスの該当箇所からダウンロードします。なお、雇用保険被保険者資格取得届は日本人を雇用する際と同じ届出を用います。

雇用保険被保険者資格取得届の様式(様式第2号)

その後、雇用保険被保険者資格取得届を1の欄から埋めていきます。上の画像の青線で囲まれた箇所が、外国人労働者の場合のみ記載する箇所です。令和2年3月1日以降、外国人雇用状況の届出において、在留カード番号の記載が必要となった影響で、青線で囲まれた項目に加えて在留カード番号の記入欄が増える形に様式が変更されました。そのため、上の画像は前の様式の画像になっています。

しかし、項目の内容自体に変更はないため、基本的に上の画像の指示に従って各項目を記載しましょう。外国人労働者に関する情報を記入する際、在留カードの確認する箇所は下で図示していますので、参照してください。記載した後、雇用した翌月の10日までに雇用する事業所を管轄するハローワークに提出しましょう。

 

在留カードの主な記載内容

■資格喪失届の記入内容

資格喪失届も同様に、ハローワークインターネットサービスの該当箇所からダウンロードします。なお。雇用保険被保険者資格喪失届も日本人を雇用する際と同じ届出を用います。

雇用保険被保険者 資格喪失届

その後、雇用保険被保険者資格喪失届を1の欄から記入していきます。画像の14~18の欄は外国人労働者のみ記入が求められる箇所です。こちらも「資格取得届」と同様に、14~18の欄に加えて在留カード番号の記載が必要となりました。上の画像は前の様式となっていますが、記載する項目は在留カードの番号以外は変わりません。そのため、さきほどの在留カードの確認する箇所を見ながら、「資格取得届」とほぼ同じ項目を記入しましょう。記入した後、離職の翌日から起算して10日以内までに、管轄のハローワークに提出するのを忘れないようにしてください。

 

【オンラインでの申請方法】

続いて、オンラインでの申請方法は以下の表の通りです。

 

提出するもの

申請方法

提出期限

オンラインの申請方法

「雇用保険被保険者資格取得届」

e-GOVで提出する

雇用した翌月10日以内

「雇用保険者資格喪失届」

e-GOVで提出する

離職の翌日から起算して10日以内

オンラインで「雇用保険被保険者資格取得届」「雇用保険者資格喪失届」を提出する際には、政府が運営するe-GOV電子申請で提出します。また、電子申請には電子証明書が必要です。そのため、電子証明書がないのであれば、こちらの認証局(電子証明書を発行している機関)が載っているサイトを参考に発行してください。

e-GOVにログインして、「手続検索」で「雇用保険被保険者資格取得届」「雇用保険被保険者資格喪失届」と必要なほうを下の画像で青く囲まれた欄に入力して、手続き画面を開きます。

 

「手続検索画面」

e-GOV電子申請

次は、「雇用保険被保険者資格取得届」「雇用保険被保険者資格喪失届」に内容を入力していきましょう。申請画面はそれぞれ以下の画像のようになっています。

「雇用保険被保険者資格取得届」申請画面

「雇用保険被保険者資格取得届」申請画面

「雇用保険被保険者資格喪失届」申請画面

「雇用保険被保険者資格喪失届」申請画面

「雇用保険被保険者資格取得届」は1~23の欄を、「雇用保険被保険者資格喪失届」は1~19の欄を入力します。「雇用保険被保険者資格取得届」の17~23(21は除く)の欄と、「雇用保険被保険者資格喪失届」の14~19(17は除く)の欄は対象となる外国人の在留カードを見て記載しましょう。以下の表をご覧ください。

▼「雇用保険被保険者資格取得届」において、在留カードを参照して記入する内容(「資格外活動許可」以外、在留カードの表面に記載有)

17欄:被保険者氏名

18欄:在留カードの番号

19欄:在留期間

20欄:資格外活動の有無

22欄:国籍・地域

23欄:資格外活動許可の有無(これのみ在留カード裏面)

 

▼「雇用保険被保険者資格喪失届」において、在留カードを参照して記入する内容(全て在留カードの表面に記載有)

14欄:被保険者氏名

15欄:在留カードの番号

16欄:在留期間

18欄:国籍・地域

19欄:在留資格

その後、それぞれ事業主側の情報も入力し、必要事項を全て埋めたら、提出先を選択します。提出先は事業所を管轄しているハローワークを選んでください。申請方法についてもう少し詳細に知りたい場合は、厚生労働省が丁寧に申請方法を解説したマニュアルがあるので下記URLからご覧ください。

外国人雇用状況届出書に関する注意点

外国人雇用状況届出書に関する注意点は2つあります。これらの確認を怠ると、不法就労活動をさせたとして事業主に「3年以下の懲役、もしくは300万円以下、あるいはその両方」が科される可能性があるので注意が必要です。

外国人雇用状況届出書に関する2つの注意点

 ・在留資格を必ず確認する

 ・留学生雇用をする場合、資格や許可を得ているかを確認する

在留資格を必ず確認する

外国人求職者が持つ在留カードを見て、自社の業務内容に合った在留資格を持っているか、申請時に改めて確認しましょう。

ただし、在留資格を持っていたとしても、自社の業務内容にマッチしていなければ、不法就労になってしまう可能性があります。外国人求職者が持つ在留カードと、出入国在留管理庁が公開している情報と照らし合わせて、自社の業務を行うことに問題がないかを調べましょう。

具体的には、出入国在留管理庁のサイトで、外国人求職者に該当する在留資格の「本邦において行うことができる活動」と「該当例」を参照し、自社の業務が行えるかを確認する方法があります。例えば、在留資格が「技術」だとしたら、機械工学等の技術技術者職であるコンピュータ技師や自動車設計技師などが該当します。

雇用形態にかかわらず届出を提出する

雇用形態にかかわらず、外国人雇用の届出は行う必要があります。アルバイトであっても、在留資格が「外交」「公用」「特別永住者」以外であれば、届出を出さなければ罰則の対象になります。

加えて、留学生が「資格外許可」を得ているか確認しましょう。「資格外許可」とは、在留資格に属さない収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動を行う場合に必要な許可です。「資格外許可」は、在留カードの裏面にある資格外活動許可欄に「許可」と記載されていれば得ていると確認でき、就労させることが可能です。

在留カード

ただし、許可があっても留学生の労働時間の上限である1週間に28時間を超えて勤務をさせれば罰則の対象となるため、労働時間には気を配りましょう。

資格外活動許可を得ていないのであれば、原則として就業させてはいけません。働かせるのであれば、留学生本人に「資格外活動許可」を申請してもらう必要があります。

まとめ

外国人を雇用する際に必須の申請方法を、雇用保険者とそうでない場合に必要な書類、それぞれのオンライン、オフラインの提出方法について説明しました。

雇用保険被保険者かそうでないかで労働時間に差があるため、労働時間の管理をそれぞれ正確に行う必要があります。同じ職場に雇用保険被保険者とそうでない人がいるならば、さらに管理が煩雑になります。その際、勤怠管理システムを利用すると業務の効率化に役立ちます。また、勤怠システムと連携した人事届出サービスを利用することで、e-Govを直接操作することなく、システムから電子申請ができ、[処理待ち][到達]等の申請のステイタスも確認できます。

他にも、外国人留学生を働かせる際には、働いた時間を正確に管理しなければ不法就労助長罪に該当してしまう可能性があるため、勤務時間の正確な計測も大切です。外国人労働者を雇用する際に便利な勤怠管理システムや人事届出サービスの導入を検討してみてください。

関連記事

多様な人材・働き方を支援する勤怠管理システム

行政への電子申請にも対応! 労務管理をもっとカンタンに

GUIDE

勤怠管理のパイオニア「AMANO」のノウハウをぎゅっと凝縮してお届けします!

01基礎知識

勤怠管理の意義と
重要性

02選び方

勤怠管理システム
選び方の基本

03実践編

勤怠管理システム
導入のポイント

全てを1つの資料にまとめた総集編「勤怠管理の選び方完全ガイド」無料配布中!

「高いシステムと安いシステムでは何が違うのか」を徹底解説