人事・労務の注目用語

ノーレイティング

のーれいてぃんぐ

公開日時:2022.01.05 / 更新日時:2022.03.09

ノーレイティングとは、従業員の業績に対するランク付けをしない新しい人事評価制度のことを指します。従来は四半期ごとに従業員の業績を「S・A・B・C」の数値などで評価することが一般的でしたが、ノーレイティングはリアルタイムで目標設定やフィードバックをしながら評価する仕組みです。ノーレイティングが生まれた背景には、急速に変化するビジネス環境の中、上司と部下が定期的に1on1面談を行うフィードバック方法が広まっていることが関係しています。ノーレイティングは、アクセンチュアやカルビーといった大手企業が年次評価を行わなくなった動きを受けて日本企業の間で注目を集め始めており、導入には面談の時間や管理者側の高いマネジメント力などが求められます。

ノーレイティングとは

ノーレイティングの制度概要と、注目されている背景について解説していきます。

従業員のランク付けをしない人事評価制度

ノーレイティングとは、従業員に「S」「A」「B」「C」などのランク付け、いわゆる「レイティング」を行わずに評価する人事制度のことです。

しかし、従業員の評価をしないということではありません。ランク付けを行わない代わりに定期的に1on1面談を実施して、評価を行います。

※1on1面談については【用語集】「1on1」をご覧ください。

ノーレイティングの特徴は「評価の頻度」です。従来は年度単位で評価していましたが、ノーレイティングでは「月に数回」など、リアルアイムでの評価が行われます。

ノーレイティングが注目されている背景

ノーレイティングが注目される背景には次のようなものがあります。

・グローバル競争の激化
・ビジネスサイクルの短期化

もし従来のように年度ペースの人事評価のままであれば、日々変化するビジネス環境に対応できなくなる恐れがあります。

また、従来の人事評価制度「レイティング」の問題点は他にもあります。それは個性的な能力がある従業員を評価できない点です。レイティングでは画一的な評価基準で相対的に評価します。ゆえに、一つ突出したスキルがある従業員の場合、高評価に繋がりにくいといった問題が生じます。

さらに、レイティングは従業員のモチベーションが上がりにくいといった問題点もあります。上司から一方的に評価されることに加え、相対評価では多くの従業員が中間的な評価になることがその理由です。また、年に1回もしくは四半期ごとの評価は過去の評価であり、リアルタイムでの評価ではない点も注意しなければなりません。

加えて、従業員が年1回(四半期ごと)の評価を気にしすぎるようになる、といった弊害もあります。例えば以下のような弊害が考えられます。

・上司からの評価を気にして失敗を恐れてしまう
・「努力が評価されない」と捉え、新しいチャレンジをしなくなる

ノーレイティングの導入に向けて

ノーレイティングを導入する前に、メリット・デメリットを把握しておく必要があります。また、導入後の報酬などについても定めなければなりません。

ノーレイティングのメリット

ノーレイティングでは月に数回、リアルタイムで1on1面談を行います。そのため、外部環境の急激な変化にも対応可能です。経済環境や社会環境の変化に合わせて目標を微調整できる点は大きなメリットといえます。

また、リアルタイムでの人事評価は従業員のモチベーション維持やパフォーマンスの向上にも繋がりやすいといった効果も期待できます。定期的に上司と面談するため、評価に納得を得られやすい点は見逃せない利点です。

ノーレイティングのデメリット

ノーレイティングのデメリットの一つに「従業員の能力や成果を見極めるのが難しい」という点が挙げられます。従来の人事評価のように明確な評価基準がなく、評価の結果説明を根拠を挙げて行うことができないためです。

1on1の面談を担当する上司の負担が増えるという部分もデメリットといえます。ノーレイティングの1on1の面談は年に1度の評価とは異なり、月に数回など頻繁に行う必要があるため、プレイングマネージャーである上司の場合は時間の確保も難しいといえます。さらに、上司には評価結果を部下に納得してもらうよう説明する能力、公平に昇給・昇格の判断を下すといった能力も求められ、高いマネジメント力が必要となります。

ノーレイティング導入後の給与・報酬

ノーレイティングでは、1on1面談を行い、部下の働きぶりをよく知る上司に人件費予算の配分を一任します。この場合は、部下の仕事への貢献度をもとに給与や報酬を決定するケースが多くなっています。

しかしこの方法では、人件費予算を配分する上司の負担が非常に大きくなるというデメリットがあります。この点を理由にノーレイティング導入を躊躇する日本企業が多いのが現状です。

まとめ

ノーレイティングとは従業員のランク付け「レイティング」を行わずに評価する人事制度のことです。ノーレイティングでは、月に数回、頻繁に従業員と面談を行い、リアルタイムで評価をするため、現状の人事制度に比べて面談の時間や上司のマネジメント力が求められます。さらに、部下の給与・報酬についても上司が裁量権を持つため、上司の負担は大きくなるといった特徴があります。

導入を検討する場合は、管理職のみに負担がかからないように「業務内容の見直し」や「ノーレイティング制度でもマネジメントができる管理職の育成」などの事前準備が必要です。

関連記事

「就業・給与・人事・セキュリティ」をこれ1つで

GUIDE

勤怠管理のパイオニア「AMANO」のノウハウをぎゅっと凝縮してお届けします!

01基礎知識

勤怠管理の意義と
重要性

02選び方

勤怠管理システム
選び方の基本

03実践編

勤怠管理システム
導入のポイント

全てを1つの資料にまとめた総集編「勤怠管理の選び方完全ガイド」無料配布中!

「高いシステムと安いシステムでは何が違うのか」を徹底解説