人事・労務の注目用語

タレントプール

たれんとぷーる

公開日時:2021.05.31 / 更新日時:2022.03.09

タレントプールとは自社の採用候補となりうる優秀な人材を蓄えるための候補者データベースのことです。内定辞退をした人材やリファラル採用で声をかけたものの、まだリアクションがない優秀層、または新卒採用でエントリーがあった応募者に改めて声をかけられるようにするためタレントプールを活用します。新卒採用と比べ優秀層の獲得方法にも制約がある中途採用では、自社優位の情報発信戦略や費用対効果の高い手法を取り入れることが重要です。採用の質を向上させ、競合企業との差別化を狙う企業にとってタレントプールは重要な採用手法の1つと言えます。

タレントプールが採用にもたらす効果

タレントプールとは、採用候補となる人材のデータベースのことです。将来自社に入社してもらいたい人材の情報を中・長期間にわたって活用することを目的に、導入する企業が増えています。

タレントプールがもたらす代表的な効果について解説します。

1. 採用活動の効率化とコスト削減

タレントプールを行うことで得られる効果として、採用活動の効率化と、採用にかかるコストの削減が挙げられます。

可能となる理由
採用の効率化・タレントプールによって採用候補者の一定の情報を収集できている段階から採用活動が始められる

・新卒採用の時期に限らず、採用したいタイミングに応じて過去に収集した情報を適時活用できる

・採用候補者との過去のメールやSNS、面接やインターンシップを通じたやり取りを採用につなげるデータとして活用できる
採用のコスト削減・タレントプールに採用候補者の情報をためておくことで、人材が不足する度に求人を出す必要がなく、採用にかかる求人広告費を削減できる

・プールしている候補者については能力や人柄をすでに把握しているため、人物像の把握や志望度を見極める手間の削減などで選考にかかる工数を抑えられる

・人材紹介料が割高になりがちな中途採用のコスト削減につながる

2. 自社にマッチした人材を採用できる

タレントプール実施の大きな効果として期待できるのが、採用時に起きてしまいがちなミスマッチを減らし、自社に合ったスキルや特性がある人材を採用できる点です。

これまでの採用方法では通常、企業側で欲しい人材像を定義し、広告求人媒体などを通じで募集を行う必要がありました。新卒採用の場合は、短い期間や限られた時期に応募者の質や自社との相性を見極めなければならず、企業と人材の間にミスマッチが起こりやすいという問題がありました。

厚生労働省が2020年に発表した「新規学卒就職者の離職状況(平成29年3月卒業者の状況)」では、就職後3年以内に離職する大卒の新入社員のうち3年以内に離職するのは32.8%にのぼっています。

タレントプールでは、ストックしている採用候補者とメールやSNSなどを通じた中・長期的なコミュニケーションによって相互理解を深められるため、ミスマッチによって起きる早期離職の防止にもつながります。

3. 欠員補充や事業拡大の際にも役立つ

このほか、タレントプール活用によって得られる効果として、採用辞退や離職によって急な欠員補充が必要となったときや、事業拡大時に必要な人材の確保がしやすくなることが挙げられます。

例えば、新規事業を立ち上げるというとき、あらかじめプールしている人材の中から事業に合ったスキルや特性など条件にあった人に声をかけることができれば、採用の効率化やコスト削減はもちろん、入社後の具体的な活躍も期待できます。

また、特定の資格や専門知識を持つ人材の欠員が出た際も、タレントプールに同様の条件の人材データをためておくことで、採用をスムーズに進めることができます。

タレントプールの運用手順

タレントプールを運用するために行う「採用候補者のデータをためる」「タレントプールをつくる」「採用候補者と定期的にコミュニケーションをとる」という3つの手順について、順を追って解説します。

1. 採用候補者のデータをためる

タレントプールを活用するためには、自社の採用候補者のデータを適時ためていくことが必要となります。
採用候補者のデータは以下の方法で収集することができます。

  • 過去に自社が行った選考情報をもとに採用に至らなかった人の情報を残しておく
  • 転職サービスを活用し、自社に興味を持った人材の情報を残しておく
  • 採用イベントを開催し、イベントを訪れた人の情報を記録しておく
  • SNSを活用し、候補者になりうる人材をリスト化する
  • 資料請求をしただけなど人材から連絡がない段階でも、条件に合う場合は企業側からアプローチする

今まで自社の選考を受けた人だけを対象にするのではなく、自社が求める人材や、自社に合う人材を複数の手段を使って積極的に探し、人材データを収集する仕組みをつくることがタレントプールを充実させるポイントです。

2. タレントプールをつくる

幅広い手段によって採用候補者のデータを収集したら、候補者の情報をタレントプールに入れていきます。

集めたデータをプールする受け皿となる場所は、SNSを主な情報収集の手段としている場合は、「Facebookのファンページ」、または選考を通じた候補者のデータを中心に集めている場合は「採用管理システム」などです。採用候補者を集める手段が多様、あるいは候補者の母数が多い場合は、候補者情報を一元管理しデータベース化できるシステムの活用が有効です。

また、タレントプールの採用候補者のデータには個人情報が含まれています。データの流出や悪用を防ぐため一度構築したタレントプールの取り扱いには注意を払い、煩雑に扱わないようにします。

3. 採用候補者と定期的にコミュニケーションをとる

構築したタレントプールを通じ、採用を行うには、採用候補者と中・長期的なコミュニケーションを取っていく必要があります。このコミュニケーションを通じ、候補者との関係を築き、自社への理解や志望度向上を促していきます。

採用候補者とのコミュニケーションは、主に以下のような手段、機会を活用して行います。

  • Facebookへの投稿、候補者とのメッセージのやり取り
  • 自社のブログ記事の更新
  • 自社のメールマガジンの更新
  • 候補者との交流会の開催
  • 自社情報・イベント情報の発信

また、作成したタレントプールは定期的に情報をアップデートし、採用候補者に対してはコミュニケーションを定期的に取りつつ、時期を見て採用応募を促す、求人案内を送るなどの活動も行います。

タレントプールを行うためのツール

タレントプールを行うためのツールには以下のものがあります。タレントプールのツールとして使用する際の特徴については以下を確認してください。

特徴メリットデメリット
SNS・Facebook、ツイッターなどのソーシャルメディアで人材をフォローし、定期的にコミュニケーションが取れる・状況に応じて特定の人にコンタクトが取れる
・無料でも使用できる
・データの一元管理やSNSを使用していない層へのアプローチはできない
採用管理システム・「タレントプール構築と運用に特化したシステム」と「採用管理機能内にタレントプールに適した機能を持つシステム」などが存在
・月額数万円から利用できるシステムもある
・他の採用管理機能と連携して利用できる点がメリット
・候補者の母数が多い企業には向いている
・多機能のタイプはコストがかかる

まとめ

タレントプールは、採用活動の効率化、コスト削減、自社に合った人材の採用につながるといったメリットが期待される新たな採用手法の1つです。急な欠員が出た際や、事業拡大の際に自社に合った人材を早期に確保しやすい方法としても注目されています。

タレントプールを有効活用するためには、積極的な候補者のデータ収集、候補者との定期的なコミュニケーションを継続的に行っていく方法の確立、タレントプールを構築するためのツールの導入なども必要となります。

新卒採用においてだけでなく、採用にコストが発生しがちな中途採用の場合でも優秀な人材の獲得につながりやすいという効果もあります。

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