人事・労務の注目用語

1on1

ワンオンワン

公開日時:2021.09.22

1on1(ワンオンワン)とは、上司と部下との間で行われる一対一の面談のことです。1on1ミーティングとも呼ばれていて、部下の成長・モチベーション向上を目的として実施されます。上司と部下が評価する側とされる側になる人事評価面談と異なり、部下の悩みや価値観を知るコミュニケーションの場として活用できる点が注目されています。しかしミーティングの目的が曖昧であると参加する従業員のモチベーションは下がってしまいますので、実施する際は何のために1on1を行うのか明確にすることが重要です。

1on1ミーティングとは

1on1ミーティングとは、上司と部下が一対一で定期的に面談を行う人材育成手法です。社内コミュニケーションの活性化、部下の成長促進・離職防止につながると考えられており、アメリカサンフランシスコのシリコンバレーで広く導入されたことからミーティングの手法として定着しました。近年では日本でも導入する企業が増えています。

1on1ミーティングと人事評価面談の違い

1on1ミーティングと人事評価面談は、目的、話す内容、実施頻度などさまざまな点で異なります。従来の人事面談は、上司が部下を評価することを目的としています。また、実施時期も四半期ごと、1年ごとなど、期初期末に行われるのが一般的です。

一方、1on1ミーティングでは、部下の成長促進を目的として、話題も公私問わずさまざまなテーマについて話をします。頻度も週1~月1回程度と、人事評価面談よりも高頻度に実施します。

1on1ミーティングと人事評価面談の違いまとめ

1on1ミーティング人事評価面談
目的部下の成長・モチベーション向上部下を評価する
内容仕事・プライベート問わない
(上司が聞きたいことがテーマになる)
目標・評価が主
(基本は部下の話を上司が傾聴する)
頻度週1〜月1程度で頻繁に行う四半期に1回〜年に1回程度で頻繁には行わない

1on1ミーティングが必要とされている理由

1on1ミーティングが近年注目を集めているのは、現代が「VUCA の時代」であることが挙げられます。VUCAとは、不透明な社会世相を表す4つの単語の頭文字をとった造語で、具体的には以下を意味します。

VUCA(ブーカ )とは

先行きが不透明で、未来の予測が困難な状態のこと。変化が激しく正解が分からない不透明な社会情勢を指す言葉として、2010年代からビジネスで使用されるようになった。

「VUCA」は以下の4つの頭文字から作られた言葉。

V(Volatility:変動性)
U(Uncertainty:不確実性)
C(Complexity:複雑性)
A(Ambiguity:曖昧性)

近年、社会の複雑により、これまでの企業慣行や仕事のやり方が必ずしも通用しなくなっています。そのため、上司から一方的にコミュニケーションを取るのではなく、部下からもアイデアを教えてもらうような双方向の対話型コミュニケーションが必要になってきています。

また、1on1ミーティングが注目浴びるもう1つの理由として、労働観の変化も挙げられます。年功序列に代表される固定的な雇用制度が崩れつつあるなか、キャリアの積み方も多様化しています。さらには、人口減少局面に入った日本では、労働人口減少・人材の流動化も進んでいます。

将来有望な人材を自社に引き留めるための工夫が重要になっており、1on1ミーティングをはじめとした従業員の働きやすさの改善、モチベーションの向上、離職率の低下防止のために行う施策の重要度が増しています。

1on1ミーティングは部下の成長スピードを上げる効果がある

1on1の主な目的は「部下を成長させる」「目標達成度を上げる」の2つです。1on1ミーティングを実施することは、PDCAを回すことに他なりません。設定した目標を達成するための行動の実施、結果の確認、改善のサイクルができ、自然と目標の達成度が上がっていきます。また、振り返りの習慣を身に着けられるので、部下自身が課題を明確化し、解決できるような自走できる人材育成につながります。

1on1ミーティングのメリット・デメリット

1on1ミーティングにはさまざまなメリットがある一方、デメリットも存在します。それぞれどのようなものがあるのか説明していきます。

メリット

1on1の実施によって得られるメリットには以下のようなものがあります。

・上司と部下の信頼関係の醸成:
 部下は定期的に悩みの相談や業務の相談ができる

・職場のコミュニケーション活性化
 1on1を通じ複数人に対して定期的にコミュニケーションを取れる

・部下が自走できるようになり、成長による業績向上につながる:
 PDCAのスパンが早まるため、部下の成長も促され、全体的な業績も向上する

・優秀な人材の離職防止:
 部下のメンタルや健康状態を定期的に把握でき、部下のチャレンジしたい分野や現在の仕事の実感を聞き出しやすい。離職に至る前に配置転換や仕事の割り振りを検討できる

デメリット

・目的が曖昧であると上司・部下ともに実施するモチベーションが湧かない :
 実施目的を双方がしっかり把握しないとミーティングをするモチベーションが下がる

・上司にも部下にも心理的な負担になる場合がある :
 頻度や1回のミーティング時間が多すぎると、1on1自体が負担になりやすい

1on1ミーティングを継続して効果を上げていくためにも、「定期的な目的の確認」「無理のない回数や時間の設定」「繁忙期にはあえて実施しない」など、臨機応変な対応が求められます。

1on1ミーティングの実施方法

1on1ミーティングの導入、運用は以下のようなフローを参考に行います。

1on1ミーティングのセッティング手順

STEP1:目的の共有ポイント:頻度が多いため実施背景を共有しないと部下に積極的に参加してもらえない。部下の成長のための時間であることを伝える
STEP2:スケジュール調整継続できるように固定の日時を決める
STEP3:アジェンダ決めポイント:目的に沿った話ができるよう、話すテーマ・質問項目を決めておく
STEP4::実施ポイント:成長度合いを測るためにも内容の記録を取る、フィードバックするために過去の1on1で話した内容を振り返る

1on1ミーティングで話すテーマ

話すテーマは、1on1をどのような場にしたいかによっても変わってきます。部下の成長や課題把握のためであれば、仕事の進捗報告、仕事上で困っていること、中長期的なキャリアプラン、自身の強み・弱みなどをテーマに設定します。

また、コミュニケーション自体を重視するのであれば、趣味やプライベートの悩みなどをテーマに据え置いても効果的です。

1on1ミーティング実施時に気を付けること

1on1ミーティングは、あくまで相手の本音を引き出す場です。そのため、上司は「傾聴」と「自己開示」を行うことが重要となります。また、部下の話に耳を傾ける際は、部下の悩みに対して思ったことをただ答えるだけでは不十分です。

じっくりと相手の考えを聞き、「今の状況についてどう思っているのか」「今後どうしていきたいのか」という考えを引き出すよう意識しましょう。また、自己開示のために上司がある程度話をすることは問題ありませんが、あまり自分の話をしすぎるのもよくありません。あくまでミーティングの主役は1on1を行う部下であるため、いかに相手の話を引き出せるかという視点を大切にしましょう。

まとめ

1on1ミーティングの効果を上げるには目的を明確にしたり、ミーティング実施の背景を伝えたり、話すテーマを適切に選んだりするなどの工夫が必要です。

また、1on1ミーティングでそれぞれの従業員がどのような働き方をしているのかを正確に把握することは、モチベーション向上の効果も期待できます。従業員のモチベーションは残業の有無、有給の取得しやすさなどの働きやすさにも大きく左右されるため、現在の働き方がリアルタイムで把握できる勤怠管理システムも役立ちます。

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