人事・労務の注目用語

短時間労働者

たんじかんろうどうしゃ

公開日時:2021.06.28 / 更新日時:2022.03.22

短時間労働者は、同じ事業所に雇用されている通常の労働者よりも1週間の所定労働時間が短い労働者の中でも「1週間の所定労働時間が20時間」「1年以上の雇用見込がある」「月の給料が88,000円」「学生でない」「特定適用事業所、任意特定適用事業所等で働いている」の条件を満たす人のことを指します。この条件に当てはまればパートタイマー、アルバイト、契約社員などと呼び方が異なっても短時間労働者に該当します。事業所内に正規型の労働者がいない場合、フルタイムの基幹的な働き方をしている非正規労働者が「通常の労働者」となり、その労働者より1週間の所定労働時間が短い労働者が短時間労働者となります。2020年5月に成立した年金制度改正法によって短時間労働者の社会保険適用が2022年10月から段階的に拡大されることが決定しました。

法律上の短時間労働者の定義と扱い

短時間労働者の法律上の定義とは何か、似た用語である短時間就労者との違いも併せて具体的に解説します。

1. 短時間労働者の法律上の定義

「短時間労働者」とは、2016年10月に実施された健康保険・厚生年金保険の適用範囲拡大によって定義された雇用形態のことを指します。

以下の①~⑤に全て当てはまる労働者が「短時間労働者」とみなされます。なお、このうち、①~④は「短時間労働者の4要件」と呼ばれています。

短時間労働者の要件

①1週間の所定労働時間が20時間(残業時間は含めず)以上である
②1年以上の雇用見込がある
③月の給料が88,000円以上である(残業手当、通勤手当、ボーナス等は含めない)
④学生(夜間、通信、定時制を除く)でない
⑤特定適用事業所、任意特定適用事業所又は国・地方公共団体に属する事業所に勤めている

2. 短時間就労者との違い

短時間労働者と似た用語に「短時間就労者」がありますが、この2つの定義は異なります。以下の2つの条件を満たす人が短時間就労者となります。

短時間就労者の条件

①1週間の所定労働時間が、一般社員の4分の3以上
②1か月の所定労働日数が、一般社員の4分の3以上

短時間就労者のなかでも、短時間労働者の要件である①~⑤に全て当てはまる労働者が「短時間労働者」と呼ばれます。

短時間労働者の社会保険加入条件

2016年に成立した年金改革法によって、同年10月から、特定適用事業所で働く短時間労働者でも、要件を満たすと社会保険(健康保険・厚生年金保険)の適用対象となりました。この特定適用事業所とは、被保険者の総数が常時500人を超える事業所を指します。

また、被保険者の総数が500人以下の事業所でも、労使の合意があれば所定労働時間または月の労働日数の4分の3未満の短時間労働者を社会保険の適用対象とすることが可能です。

短時間労働者の社会保険加入条件

2016年に成立した年金改革法によって、同年10月から、特定適用事業所で働く短時間労働者でも、要件を満たすと社会保険(健康保険・厚生年金保険)の適用対象となりました。この特定適用事業所とは、被保険者の総数が常時500人を超える事業所を指します。

また、被保険者の総数が500人以下の事業所でも、労使の合意があれば所定労働時間または月の労働日数の4分の3未満の短時間労働者を社会保険の適用対象とすることが可能です。

1. 短時間労働者の加入要件

短時間労働者の社会保険加入要件は、短時間労働者の定義とも共通する以下の4つです。

1. 週の所定労働時間が20時間以上であること

週の所定労働時間は、就業規則や雇用契約書などによって定められた通常の週に勤務すべき時間のことです。この時間が20時間以上であることが条件です。

所定労働時間が週単位で決まっていない場合は以下の方法で算出してください。

労働時間が1か月単位で定められている場合 1か月の所定労働時間を12分の52で割って算定する (1か月の所定労働時間×12は年間の労働時間、1年を週に直すと52週。年間の労働時間を52週で割ると週の平均所定時間が算出できる)
労働時間が1年単位で定められている場合 1年の所定労働時間を年間の週数である52で割って算定する (1年を週に直すと52週。年間の労働時間を52週で割ると週の平均所定時間が算出できる)
1週間の所定労働時間が短期的で週によって変動する場合 平均値を出して算定する

2. 雇用期間が1年以上見込まれること

雇用契約時に、雇用期間が1年以上見込まれる場合、または雇用期間が1年未満だったものの契約更新などにより「雇用期間が1年以上見込まれることになった」時点で条件を満たします。具体的には、以下の雇用期間が該当します。

  • 期間の定めのない雇用
  • 雇用期間が1年以上の雇用
  • 雇用契約期間が1年未満であるものの、契約更新される旨が記載されている雇用もしくは更新によって1年以上雇用された事例がある場合

3. 週給、日給、時給を月額換算したものに、諸手当を含めた賃金額が88,000円以上であること

臨時に支払われる結婚手当やボーナス、時間外労働や休日労働に対する割増賃金、皆勤手当や通勤手当は賃金には含まれません。

4. 大学、高等学校、専修学校などに在学する生徒、学生でないこと

卒業見込み証明書があり、卒業前に就職して、卒業後も同じ事業所で勤務する場合や休学中の場合、大学の夜間学部もしくは高等学校の定時制の課程の場合は対象となります。

2. 2022年10月から短時間労働者の社会保険適用が拡大される

2022年10月からは、今まで被保険者の総数が常時500人だった特定適用事業所の要件が、短時間労働者を除く被保険者の総数が常時100人を超える事業所に変更となります。さらに、短時間労働者の勤務期間に関する適用要件も「雇用期間が継続して2か月以上使用される、または使用される見込みであること」へと変更されます。

従業員数の数え方はフルタイムの労働者と週の所定労働時間がフルタイムの4分の3以上の労働者の合計です。例えば、ある月の被保険者数が101人(もしくは51人)以上にとなったとしても、すぐに特定適用事業所にはなりません。直近12か月のうち6か月で基準を上回る場合に適用になります。

また、2024年10月からは被保険者の総数が常時50人を超える事業所に変更されることも決定しています。

対象 要件 現行 2022年10月~ 2024年10月~
事業所 事業所の規模 雇用する被保険者(短時間労働者を除く)が常時500人超 雇用する被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時100人超 雇用する被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時50人超
短時間労働者 労働時間 週の所定労働時間が20時間以上であること 変更なし 変更なし
賃金 賃金の月額が88,000円以上である 変更なし 変更なし
勤務期間 雇用期間が1年以上見込まれる 雇用期間が継続して2か月以上使用される、または使用される見込みである 雇用期間が継続して2か月以上使用される、または使用される見込みである
適用除外 学生でない 変更なし 変更なし

なお、2022年10月から対象となる事業所は次の手続きが必要になります。

  • 新たに被保険者となる短時間労働者の把握
  • 従業員への説明
  • 書類の作成・届出

まとめ

短時間労働者とは、アルバイトやパートタイマーなど、フルタイムで働く従業員よりも所定労働時間が短い労働者を指します。

2016年10月から、特定適用事業所(被保険者の総数が常時500人を超える事業所)で働く短時間労働者でも要件を満たすと社会保険(健康保険・厚生年金保険)の適用対象となりました。さらに、2022年10月以降、短時間労働者の社会保険適用が段階的に拡大されることが決定しています。対象となる事業所は短時間労働者の把握や従業員への説明などの準備が必要です。

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