人事・労務の注目用語
インターンシップ
いんたーんしっぷ
公開日時:2021.05.31 / 更新日時:2022.03.09
インターンシップとは、企業や官公庁が学生に職業体験の機会を提供する制度です。インターンシップが果たす役割は、学生が職場で実際に仕事を体験することで、働き方や適性を理解し、将来の職業選択に生かす機会を得ることです。アルバイトとは異なり、インターンシップ参加時に学生が行う労働は無償であることが一般的ですが、プログラムの成績によってインセンティブや給与を支払う企業も出てきています。企業側にとって優秀な学生と就職活動解禁前に接触できる機会の確保として、積極的にインターンシップを実施する企業は増加傾向にあり、コロナ禍以降はオンラインでインターンシップを実施する企業も一定数あります。
インターンシップの概要
インターンシップとは、学生が企業等で仕事を体験する「就業体験制度」のことです。以前から海外で普及していた制度ですが、日本でも2000年代以降、多くの企業が採用するようになりました。
1. インターンシップが行われる背景
本来は学生のキャリア教育、職業意識や自主性育成のために推進されてきた日本のインターンシップ制度ですが、幅広く普及したのには以下の理由があります。
- 企業側が優秀な学生との早期接触を図りたいため
- 企業と学生側のミスマッチを防ぎ、早期離職に至らないようにするため
政府の指針では2022年3月卒業予定の学生の就職活動解禁は3月1日以降です。しかし、その前の時期から外資系企業や経団連に属していない企業が早期採用活動を行っていました。そのため、他企業でも早い段階で学生と接触する機会を持つ必要があり、その手段としてインターンシップ制度が利用されるようになったのです。
2021年4月には経団連、そして大学側が採用目的でのインターンシップを認める報告書を政府に提出しており、今後ますます採用に直結するインターンシップが増える可能性があります。
また、採用活動だけでなく、企業と学生がお互いをよく理解し、入社後のミスマッチを減らすという目的でもインターンシップが利用されています。
- 参照:就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議|2022 年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程に関する考え方
- 参照:文部科学省・厚生労働省・経済産業省|インターンシップの推進に当たっての基本的考え方
- 参照:採用と大学教育の未来に関する産学協議会|採用と大学教育の未来に関する産学協議会 2020 年度報告書
2. インターンシップのメリット
インターンシップを活用するメリットは以下の3点です。
優秀な人材の発掘につながる
選考期間より早い時期に学生と接点を持つことができます。インターンシップのプログラムでの学生の様子を観察して、ポテンシャルや性格を確認することも可能です。
企業の知名度アップにつながる
BtoB企業など、エンドユーザーが個人消費者ではない企業は学生に知ってもらう機会が多くありません。インターンシップを使って知名度アップを図ることができます。
ミスマッチ防止につながる
選考を受ける前に学生に企業を理解してもらうことで、入社後の早期離職防止につながります。
インターンシップの種類・期間・内容
インターンシップは期間や種類が決まっているものではありませんが、大きく分けると「短期インターンシップ」「長期インターンシップ」があります。それぞれの特徴を解説します。
1. 短期インターンシップ
夏休み等の学生の長期休みを利用して1日~1か月程度実施されます。特徴は以下の通りです。
短期インターンシップ | 特徴 |
目的 | 学生との早期接触 |
内容 | 企業説明 セミナー 会社見学 グループワーク |
メリット | 社内の担当者や日程の調整がしやすい 長期インターンシップに比べ、比較的実施が容易 |
デメリット | 企業の情報発信のみになりがち 企業と学生のコミュニケーションが浅くなる可能性も |
その他 | インターンシップが選考につながる場合も (試験の一部免除、グループワークの様子で採用決定など) |
短期インターンシップは開催日程が短いため、実施しやすいというメリットがあります。ただし、大学と経団連側は1日だけのインターンシップを指す「ワンデーインターンシップ」について「会社説明のみとなりがちであり、採用活動の隠れ蓑にされている」という声明を発表しました。その上でインターンシップは長期期間に渡って実施し、1日のみの会社説明会やワークショップの場合「インターンシップ」の名称を使わないよう各企業に求めています。
2. 長期インターンシップ
1か月~半年程度行なわれるインターンシップを「長期インターンシップ」と呼んでいます。特徴は以下の通りです。
長期インターンシップ | 特徴 |
目的 | 学生との早期接触 企業・学生の相互理解 入社後の即戦力育成 |
内容 | 就業体験 |
メリット | 入社後のミスマッチ防止 即戦力として活躍できる可能性が高まる |
デメリット | 社員の労力や時間を割いても人材獲得につながるとは限らない |
その他 | 採用後、すぐに戦力化を図りたい中小企業・ベンチャー企業で実施されることが多い |
長期インターンシップは、短期インターンシップに比べ実施までの手間がかかります。しかし就業体験を通じて企業と学生の相互理解が深まり、入社後のイメージがつかみやすくなるという大きなメリットもあります。
まとめ
インターンシップは就職活動の早期化に合わせて、優秀な人材を獲得するために実施されています。インターンシップを行うことで、学生側は企業の事業や雰囲気を理解できるため、入社後のミスマッチによる早期離職の防止にもつながります。
インターンシップには1か月程度の短期インターンシップと1か月以上行う長期インターンシップがあります。それぞれ目的や実施内容が異なるため、自社の目的に合わせてプログラムを作ることが必要です。