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補助金申請に役立つjGrants(Jグランツ)とは?活用メリットも合わせて紹介
公開日時:2021.08.30 / 更新日時:2024.06.24
jGrants(Jグランツ)とは
補助金申請をスムーズに行うために必要なjGrants(Jグランツ)について、その概要やjGrants経由で申請する補助金の定義、電子申請について解説します。
1.概要
jGrantsとは、書類記入や郵送手続きなどで煩雑だった補助金申請業務を簡素化するため、2020年4月に経済産業省がリリースした電子申請システムのことです。jGrantsのサイトにアクセスすれば、インターネット経由で場所や時間を問わず補助金の申請手続きが可能になります。
jGrantsは法人、個人事業主、地方公共団体等が補助金の申請のために無料利用できますが、その際には行政手続きをシステム上で行うためのアカウント「GビズID」の取得が必要です。
jGrantsではGビズIDを利用することで、二要素認証による強固な本人確認手段を可能にしています。二要素認証とはシステムにログインする際に、2通りの方法でログインする認証手段のことで、この認証を行うことで、これまで本人確認のために行っていた書類への押印も不要となります。
2.補助金とは?
事業者の取り組みをサポートするために国や地方自治体などが資金の一部を給付するのが補助金です。
ITの導入や生産性向上、テレワーク促進など、国や自治体の政策目標に合わせて、さまざまな分野で補助金が募集されており、企業は募集されている補助金の趣旨や目的を確認した上で、事業や募集条件に合ったものを選択し申し込むことができます。補助金によって補助対象となる経費・補助の割合・上限額がそれぞれ設定されており、必要経費の全てが支給される訳ではありません。また、申請すれば必ず支給されるとは限らず、補助金の有無や金額は申請後の「事前の審査」と「事後の検査」によって決まります。
中小企業の事業に役立つ補助金や助成金との違いについては次の記事を参考にしてください。
3.電子申請とは?
「電子申請」とは、インターネットを利用して申請・届出をする方法で、いつでも・どこでも申請手続きができるのが特徴です。jGrantsも行政手続きを行う電子申請システムの1つです。
特定の法人事業者が「社会保険・労働保険に関する一部の手続き」を行う場合に電子申請を義務化する法律が2020年4月から施行され、行政手続きで電子申請できる範囲が広がっています。電子申請義務化は行政手続きのデジタル化と手続きコストの削減を目的としており、この流れからjGrantsで申請できる補助金の数も増加しています。
企業が各種の電子申請を行う方法として、e-Gov(イーガブ「電子政府の総合窓口」)のサイトを利用する、外部連携API対応の専用ソフトを利用するなどの方法があります。
電子申請義務化の詳細や、人事・労務が知っておきたい電子申請方法については以下の記事を参考にしてください。
jGrantsで可能な申請の種類
jGrantsで申請できる主な補助金を紹介します。
中小企業が活用できる主な補助金(2021年8月時点)
補助金名 | 補助金上限額 | 対象地域 | 従業員数 |
小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠> | 100万円 | 全国 | 20人以下 |
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 | 1000万円 | 全国 | 従業員の制約なし |
事業承継・引継ぎ等補助金 (2021年の公募は9月17日まで) | 800万円 (申請するタイプによって異なる、2021年8月時点で公募中なのは上限350万円のタイプのみ) | 全国 | 300人~900以下(申請するタイプによって異なる) |
IT導入補助金 | 450万円 | 全国 | 従業員の制約なし |
JAPANブランド育成支援事業 (2021年の公募は7月15日まで) | 1社500万円 4社の連携で最大2000万円 | 全国 | 300人以下 |
事業再構築補助金 | 1億円 (申請する補助金の枠によって異なる) | 全国 | 従業員の制約なし |
テレワーク促進助成金 | 250万円 | 東京都 | 従業員の制約なし |
jGrantsで取り扱っている補助金の総数は2021年8月時点で約800以上にも上ります。利用したい補助金が現在募集中かどうか確認するためにはjGrants公式サイトの「補助金を探す」から補助金を検索し、一覧から募集期間を確認する必要があります。
jGrantsの利用にはGビズIDとの連携が必要
jGrantsで補助金申請を行うには、GビズIDが必要です。補助金申請前に取得、登録を済ませておく必要があるGビズIDの種類や、GビズIDを使った補助金申請の流れを解説します。
1.「GビズID」とは
GビズIDとは、1つのID・パスワードで複数の行政サービスにアクセスできる、法人・個人事業主向け認証システムのことです。jGrantsを利用する際にはGビズIDのアカウントを取得したうえで連携が必要になります。GビズIDとして利用できるアカウントは3種類ありますが、このうちjGrantsと連携できるのは会社代表者または個人事業主が使うgBizIDプライムか、従業員用アカウントであるgBizIDメンバーのみです。
gBizIDプライムの取得には、書類での申請やGビズIDのサイトへの個人情報の入力など各種の手続きが必要です。gBizIDメンバーのアカウントは、gBizIDプライムの利用者が従業員用アカウントとして特定の利用者に付与することで利用できます。gBizIDプライムの取得、登録までには2~3週間はかかるため、GビズIDアカウントを未取得の段階でjGrantsを利用したいと考えている場合、補助金の申請に間に合うよう、余裕を持った準備が必要です。
GビズIDの種類
アカウントの種類 | 概要 | jGrantsの利用可否 |
gBizIDプライム | 会社代表者または個人事業主のアカウント | 〇 |
gBizIDメンバー | 組織の従業員用アカウントとしてプライムが許可したアカウント | 〇 |
gBizIDエントリー | 即日発行できる個人用のアカウント | × |
GビズIDの取得方法や、利用範囲について詳しく知りたい場合は次の記事を参考にしてください。
2.補助金申請の流れ
jGrantsを利用した補助金手続きには主に3つの申請ステップがあります。jGrantsの申請画面をもとに、それぞれ解説します。
1.補助金検索
jGrantsのサイトを開き、申請したい補助金を「補助金を探す」画面から検索します。補助金の具体的な名称以外にも、キーワードや業種、対象地域、従業員数で条件を絞って検索することが可能です。「募集中の補助金のみ」をマークして検索することで、現在募集を受け付けている補助金だけを検索することもできます。
2.GビズID取得・ログイン
申請したい補助金を見つけたら、該当の補助金が表示されたページからGビズIDアカウントを使ってログインします。jGrantsと連携できるgBizIDプライムか、従業員用アカウントであるgBizIDメンバーを取得していない場合は、GビズIDの公式サイトから取得手続きを行う必要があります。gBizIDプライムを取得している場合は、GビズIDのマイページから簡単にgBizIDメンバーを従業員に付与することができます。
3.申請内容を入力し、資料のアップロードをしたうえで申請を行う。
GビズIDを使ってjGrantsにログインできたら、補助金申請のために必要な各種情報をサイト上から入力し、必要資料データのアップロードを行います。GビズIDのアカウントを使ってログインをすることで、すでに本人確認の認証が終わっていますので、アップロードする書類への押印は必要ありません。
このほか、jGrantsを利用すれば申請後の審査結果の確認・補助金受け取りの申請まで、全ての手続きをオンライン上で行うことが可能です。
jGrantsを活用するメリット
jGrantsは無料で利用でき、GビズIDのgBizIDプライムか、gBizIDメンバー取得後であれば、場所や時間を問わず申請が可能です。利用によってこれまでかかっていた窓口での申請を行うための移動時間や交通費、郵送費などのコストが削減できる点が大きなメリットと言えます。
コスト削減を含めた、具体的なメリットまとめは以下の通りです。
jGrantsを活用するメリット
コスト削減 | ・移動時間や交通費、郵送費などのコスト削減が期待できる |
情報収集がしやすい | ・jGrantsのサイトに国/自治体の補助事業が掲載され、ワンストップで使いたい補助金の情報を収集できる ・jGrantsのサイト上でリアルタイムに申請状況や処理状況が把握できるため、手続きを迅速に行うことができる。 |
利便性の向上 | ・24時間・365日、自宅や職場など、いつでも・どこでも申請が可能 ・GビズIDにより申請事業者の基本情報が自動入力されるなど、何度も同じ入力をすることがなくなる(ワンスオンリー)、入力負担が軽減 |
ペーパーレス化 | ・GビズIDにより、書類の押印が不要となり、紙でのやり取りがなくなる |
まとめ
jGrantsとは、補助金の申請業務を簡素化するために、2020年4月に経済産業省がリリースした電子申請システムのことで、インターネット経由で簡単に補助金の申請手続きが可能です。企業のITシステムを整備するために利用できるIT導入補助金をはじめ、jGrantsのサイト上で補助金検索によって自社にマッチした補助金を簡単に探し、効率的に申請作業を行うことができます。
jGrantsをはじめとする電子申請システムを利用し、補助金をうまく活用することで、勤怠管理システムや給与システムをはじめ社内設備を効率的に整備することが可能になります。
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