人事・労務の注目用語

給与台帳

きゅうよだいちょう

公開日時:2022.07.25

給与台帳とは、給与計算に関する情報を記載した帳簿を指します。企業が任意で作成する書類であり、法律で作成が規定されているものではありません。給与台帳は労働者別に作成し、8つの項目を記載しますが、どのような書式・用紙で作るべきか特に決められていないため、企業ごとの事情に合わせて作成することになります。

給与台帳に似ている帳簿として賃金台帳が挙げられますが、こちらは労働基準法によって、事業ごとに作成と保存が義務付けられています。この他にも、労働基準法によって作成が義務付けられている帳簿には「労働者名簿」と「出勤簿」があります。

給与台帳の特徴

まずは、給与台帳の特徴を押さえましょう。

給与台帳に記載する8つの項目

給与台帳は従業員ごとに作成し、以下の8つの項目を記載します。

・氏名

・性別

・賃金、賞与、各手当の計算期間

・労働日数

・労働時間

・時間外労働の時間数

・基本給や各手当の種類と金額

・控除の種類とその金額

給与台帳の書式・用紙に決まりはない

給与台帳には決まった書式(テンプレート)がないため、先述した項目8つが記載されていれば、企業側で独自に作成して問題ありません。給与台帳の用紙はA4・B4など取り扱いしやすい任意のサイズで良く、横長・縦長のどちらにするかも自由です。またExcel・Word形式などのファイル形式も、自社の事情に合わせて選定して問題ありません。

給与台帳の保存期間

給与台帳の保存期間も法律で定められているわけではないため、企業ごとに保存期間の方針を決める形で問題ありません。3年間保管する企業があれば、10年間保管するという企業もあるでしょう。

「給与台帳」と「賃金台帳」の違い

賃金台帳とは、従業員に支払う賃金(給与)の支払状況を記載する書類のことです。

給与台帳は企業が任意で作成すればいいのに対し、賃金台帳は労働基準法で作成や保存が義務付けられている「法定三帳簿」の1つです。したがって、法律で決められた項目を余すことなく記載し、定められた期間は社内で保存しなくてはなりません。なお法定三帳簿には、賃金台帳のほか、労働者の個人的な情報が記載された「労働者名簿」、労働者の勤怠情報が記載された「出勤簿」があります。

賃金台帳に記載する10の項目

労働基準法施行規則第54条により、賃金台帳には以下の10項目を記載することと定められています。

1.氏名

2.性別

3.賃金計算期間

4.労働日数

5.労働時間数

6.時間外労働時間数

7.深夜労働時間数

8.休日労働時間数

9.基本給・手当の種類とその額

10.控除項目とその額

賃金台帳の書式

賃金台帳の作成自体や記載項目は法律で義務付けられているものの、書式に特定の決まりはありません。よって自社の事情に合わせて、レイアウトや用紙のサイズ、ファイル形式を決めることができます。ただし、労働基準監督官による立入り調査(臨検監督)があり、賃金台帳の閲覧や提出などを求められた場合などに、即座に必要事項を明らかにし、写しを提出できる状態にしておく必要があります。

一から書式を作成するのが面倒な場合や、記載漏れが心配な場合は、厚生労働省が公開している賃金台帳のテンプレートをDLして使用するのもおすすめです。詳しくは厚生労働省のホームページをご覧ください。

賃金台帳の保存期間

労働基準法の第109条では賃金台帳の保管について定められており、従業員の賃金について最後に記載した日から起算して5年間(※)は帳簿を保存しなくてはなりません。

※ただし、改正労働基準法等経過措置として、当分の間は3年間でも良いとされています。

帳簿台帳には最終更新日を記録しておき、規定の期間は保存するよう管理しましょう。

まとめ

給与台帳に作成の義務はないものの、賃金台帳は労働基準法によって作成・保管が義務付けられており、もし作成・保管を怠れば罰則として30万円以下の罰金が科されてしまいます。給与台帳と賃金台帳をそれぞれ作成するのが望ましいですが、賃金台帳は給与台帳の項目をカバーしており、また給与台帳は労働基準法で作成が定められていないために、賃金台帳のみを作成している事業所も少なくありません。給与台帳は作成や保管の手間を踏まえて、作成する・しないの方針を定めましょう。

関連記事

GUIDE

勤怠管理のパイオニア「AMANO」のノウハウをぎゅっと凝縮してお届けします!

01基礎知識

勤怠管理の意義と
重要性

02選び方

勤怠管理システム
選び方の基本

03実践編

勤怠管理システム
導入のポイント

全てを1つの資料にまとめた総集編「勤怠管理の選び方完全ガイド」無料配布中!

「高いシステムと安いシステムでは何が違うのか」を徹底解説