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給与支払報告書

きゅうよしはらいほうこくしょ

公開日時:2022.05.06

給与支払報告書とは、事業所が従業員に対して支払った前年の給与額などを市区町村に報告するための書類です。書類提出後は、住民税と国民健康保険の計算に使用されます。個人別明細書と総括表の2種類の書類で構成されています。個人別明細書に記載する内容は源泉徴収票とほぼ同じで、前年1月1日時点で事業所に在籍している従業員全員分を作成する必要があります。総括表は個人別明細書に添えて提出する表紙で、提出する市区町村分だけ作成します。

給与支払報告書とは

給与支払報告書について、書類の内訳や源泉徴収票との違い、報告書の提出が必要となる従業員の対象範囲を詳しく解説します。

1.従業員の前年の給与を市区町村に報告する書類

給与支払報告書とは、従業員に前年支給した給与について、従業員が居住する市区町村に報告するための書類です。個人別明細書と総括表の2種の書類からなります。

・個人別明細書
給与の支払いを受ける従業員の個人情報を記載した書類。提出の対象となる従業員の人数分作成する。

・総括表
表紙として個人別明細書に添える書類。従業員が住んでいる市区町村の数だけ作成する。

個人別明細書の内容は源泉徴収票と同様で、従業員の氏名、住所、生年月日、個人番号、給与額、保険料の控除額などを記載します。総括表の記載内容は、その市区町村に個人別明細書を提出した人数、退職した人の有無、特別徴収・普通徴収の人数などです。

2.給与支払報告書と源泉徴収票の違い

給与支払報告書と源泉徴収票は記入する内容がほぼ同じであるため違いが分かりにくいですが、2つの書類は提出の目的と提出先が異なります。給与支払報告書は、住民税や国民健康保険の計算のために提出するもので、提出先は市区町村です。一方、源泉徴収票は所得税の納税証明のために税務署に提出する書類です。

3.給与支払報告書の提出対象

給与支払報告書は、前年1月1日~12月31日のうちに給与を支払った全員分を提出しなければなりません。前年の途中で退職した人や、一1度しか給与を支払っていない人も報告の対象となります。ただし、前年中に退職した人のうち給与の支払額が30万円以内の人については、給与支払報告書を提出する必要はありません。

給与支払報告書を提出するには

これから給与支払報告書を作成する方向けに、書類の書き方、提出期限、提出手段について解説します。

1.給与支払報告書の書き方

個人別明細書は基本的に源泉徴収票の内容に準じて書きます。従業員に控除対象となる配偶者や扶養親族などがいる場合は、該当する者の氏名・フリガナ・個人番号もあわせて記載する必要があります。

個人明細書の記入ポイント

・支払いを受ける者:従業員の住所・氏名・受給者番号・役職名・マイナンバーを記載する(住所は1月1日時点のもの)
・種別:賞与・給料・俸給など給与の種別を記載する
・支払金額:前年に支払った給与の総額を記載する
・給与所得控除後の金額:源泉徴収票をもとにして給与所得控除後の金額を記載する
・所得控除の額の合計額:社会保険控除、扶養控除、生命保険控除など控除の合計額を記載する
・源泉徴収税額:年末調整後に確定した源泉徴収税額と復興特別所得税の合計額を記載する
・控除対象配偶者・扶養親族・障害者:該当する者の有無や人数などを記載する
・社会保険料の金額・各種控除額:保険料や控除額とその内訳を記載する
・控除対象配偶者・扶養親族:控除対象である配偶者や扶養親族、16歳未満の扶養親族の名前などを記載する
・配偶者の合計所得:配偶者が控除対象である場合に合計所得を記載する
・国民年金保険料等の金額、旧長期損害保険料の金額:社会保険料控除を受けた国民年金保険料などの金額を記入する
・支払者:会社の法人番号・住所・名称などの情報を記載する

総括表は、原則として市区町村から送付される書類に記入します。統一のフォーマットではなく市区町村によって異なる様式が使用されているため、記載内容や書き方が異なる場合があります。また、やむをえず普通徴収を希望する場合、普通徴収切替理由書の作成も必要になります。

総括表の記入ポイント

・給与の支払期間:前年の1月分から12月分までと記載する
・提出区分:通常は年間分に○をつけ、退職者の場合は退職者分に○をつける
・法人番号:給与を支払った事業所の法人番号を記載する
・給与支払者:事業所の住所や電話番号・名称などを記入する
・事業種目:事業内容を記載する
・提出先市区町村数:提出する地区町村の数を記載する
・受給者総人員:1月1日時点で在職している従業員数を記載する
・報告人員:給与支払報告書の提出対象である従業員数を、在職者と退職者に分けて記載する
・所轄税務署:所得税の源泉徴収を実施する事業所を管轄する税務署を記載する
・給与の支払の方法およびその期日:給与の支払い方法と支払日を記載する
・特別徴収納入書の送付の要・不要:送付が必要か不要か記載する
・指定番号:市区町村から通知された特別徴収義務者指定番号を記載する

2.給与支払報告書の提出期限

給与支払報告書は、従業員が1月1日時点で住んでいる自治体に、1月31日までに提出する必要があります。31日が土日祝日であれば翌平日が期日です。

例えば令和4年分(令和4年1月1日〜12月31日)を提出する場合は、令和5年1月1日時点で従業員が住んでいる自治体へ、令和5年1月31日までに提出します。

なお退職者に関しては、退職日時点で住んでいた自治体に提出します。

3.給与支払報告書の提出手段

給与支払報告書の提出手段は「窓口持参」「郵送」「eLTAX(エルタックス)を利用した電子申請」の3つです。

窓口持参の場合は、以下の書類を各自治体に直接持参しましょう。給与支払報告書は、1人につき1枚でよい自治体と、2枚提出が必要な自治体があるため事前に確認してください。

・総括表
・特別徴収分の給与支払報告書
・普通徴収切替理由書兼仕切書(※1)
・普通徴収分の給与支払報告書(人数分)
・番号確認書類
・身元確認書類(個人事業主の場合のみ)(※2)

※1:特別徴収のみの場合、提出は不要です
※2:給与支払報告者が個人事業主の場合は、個人番号の確認と運転免許証などによる本人確認が必要です

郵送で提出する場合は、窓口持参と同じ書類を各市区町村の市民税課(自治体によって名称は異なります)に送ります。

eLTAXを使用して電子申請で提出する場合は、eLTAX対応のソフトウェアから書類を作成・送信します。手続きの詳細はeLTAXホームページをご確認ください。

まとめ

給与支払報告書は、従業員に対して支払った前年の給与額などを市区町村に報告するための書類です。人数分の個人別明細書と各自治体用の総括表を作成し、従業員が住んでいる市区町村に提出します。 総括表については自治体によって記載内容が異なる場合があるため注意しましょう。

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