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人事・労務なんでもQ&A

業績悪化のため、社員の賞与(ボーナス)の減額およびカットを考えていますが、法的に可能なものでしょうか?

労働契約や就業規則、賃金規程などで賞与支給額を明確に定めていない限り法的には可能ですが、従業員の立場から考えた説明などの対応も必要です。
公開日時:2022.11.29
詳しく解説

Q. 業績悪化のため、社員の賞与(ボーナス)の減額およびカットを考えていますが、法的に可能なものでしょうか?

50人規模の中小企業で人事をしています。大幅な業績悪化のため、従業員の賞与の減額またはカットを検討しています。会社都合でこれまで支払っていた賞与を減らすことは法的に可能でしょうか?

A. 労働契約や就業規則、賃金規程などで賞与支給額を明確に定めていない限り法的には可能ですが、従業員の立場から考えた説明などの対応も必要です。

労働契約や就業規則、賃金規程などで賞与支給額を明確に定めていない限り、賞与(ボーナス)を減額およびカットすることは法的には可能です。ただし十分な説明がないまま減額を決定すると従業員の不信を招き、離職につながる恐れがあります。業績悪化と減額に至る説明を尽くし、業績が戻ったあとは賞与支払いを再開する旨なども合わせて経営層から伝えるのが良いでしょう。

1.賞与の減額は可能か?

会社都合の賞与減額や不支給は特別なルールを設けていない限り法違反にならないため、原則可能です。

 

賞与を支給する場合でも、算定基準や金額などの規定は会社側の裁量で決定します。そのため、業績不振だけでなく、就業規則や人事評価項目に賞与減額についての規定があれば、遅刻欠勤などを考慮した勤怠考課や成績不振の結果による措置も可能です。

 

ただし、雇用契約や就業規則、賞与規定などにおいて賞与の支払いを定め、金額も明確に提示している場合は支給義務が発生し、減額や支給停止はできません。

 

また、産休・育休取得を申請した休業前の従業員に対する賞与減額は、不利益な取り扱いと認定される可能性があります。なお、実際の産休取得を理由とした減額は禁止されておらず就業規定などを基に休業期間を除いた日数を支給算定基準とし、賞与を減額することは妥当とされています。

2.賞与の法律的扱い

労働基準法や社会保険に関する法律(厚生年金保険法や健康保険法)では、賞与は労働の対価という位置付けであり、法律によって必ず従業員に支給しなければいけないという義務付けはありません。

 

労働基準法第11条では、「賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」と定められています。

 

従業員に賞与を支払う目的は労働意欲の向上や企業成長に寄与してもらうため、貢献度に応じた評価による報奨です。したがって、企業が明確に規定した規則や雇用契約によって支給するものであり、法律上は支給義務が発生する位置付けではありません。

3. 減額をする際に企業側が留意すべき点

業績不振を理由に減額する際には、「就業規則で業績悪化の場合は賞与の減額または不支給の可能性がある」といった減額の可能性を明示する内容を定めておくことが望ましいでしょう。

 

賞与の減額決定にあたっては、万が一措置が違法だと指摘された際に裁判所など第三者に説明するための合理的な理由を要します。賞与額や支払い日を明確に規定している場合、例え業績不振により支給が困難であっても支払い義務が生じるため、ルールを制定する際は注意が必要です。

 

また、全従業員が減額対象の場合は不当査定には該当しませんが、規定に準拠せず恣意的に特定の従業員を減額措置する場合は不当な扱いとして問題となる可能性もあります。懲戒などで減額する場合も、該当規定や対象従業員についての記録を根拠に客観的な説明を行いましょう。

 

なお、実際に規則に基づき賞与減額やカット措置を実施する場合でも、従業員への事前説明を怠ると信頼やモチベーションの低下を招くため、事前告知や十分な説明を行うことで対応します。

 

企業としてルールの制定・改定をすると同時に、減額を行う際は従業員へのフォローにも留意してください。

まとめ

 

賞与の減額やカットが法的に可能か、減額の条件・違法だと認定されるケースなどについて解説しました。法律上は必ず支給しなければならない義務がないため、業績悪化の際は就業規則など合理的根拠に基づき減額が可能です。ただし、業績悪化の場合は賞与減額・カットの可能性がある旨を定める必要があります。

 

賞与減額などを実行する際は、不利益な取り扱いとして問題に発展した場合でも第三者に説明できるような合理的理由を基に行いましょう。また、従業員の不信やモチベーション低下を招かないように経営層からの十分な事前説明や、業績が改善された際には支給を再開する旨を伝えるなど適切なフォローが必要です。

 

給与制度や賞与の支給条件を見直す際には、柔軟な支払いにも対応可能な人事・給与システムを導入することで、より低リスクな運用が可能となります。

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