様々な課題を抱えるご担当者様に向けて 人事・労務なんでもQ&A

現場責任者が従業員に休憩時間の虚偽申告を指示していた場合、本部としてどう対応すべきでしょうか?

規定の休憩時間を取らせず、嘘の申告をさせるのは法違反であると現場責任者への指導を徹底させ、不審な休憩時間の申告があった場合は本部への説明を義務付けましょう。

2021.08.30

詳しく解説

Q. 現場責任者が従業員に休憩時間の虚偽申告を指示し、サービス残業をさせていた場合、本部としてどう対応すべきでしょうか?

支店を含め従業員500人規模の飲食チェーン店本部の労務担当者です。競合他社では「現場責任者に指示され勤務記録上は休憩だった時間も実は働いていた」「実際より長く休憩時間を取るよう虚偽申告を指示されている」などの理由で訴訟に発展したケースがあると聞きました。本部が把握していない状況でこのような事態が起きた場合、どんな対応や防止対策が必要でしょうか。労働基準法の観点から、本部が事前に把握しておくべき点についても教えていただきたいです。

A.規定の休憩時間を取らせず、嘘の申告をさせるのは法違反であると現場責任者への指導を徹底させ、不審な休憩時間の申告があった場合は本部への説明を義務付けましょう。

法律で規定された休憩時間を取らせない、もしくは休憩時間について嘘の申告をさせて残業時間を少なく見せかけ、実際にはサービス残業させる指示は法違反であることを現場担当者に改めて徹底させる必要があります。

労働基準監督署の調査は原則として各支店などの事業所単位ですが、支店で起きた法違反であっても、改善が見られない、または上層部に問題があると判断された場合、本部・本社の立入調査をすることがあります。また、支店の従業員に正しく休憩時間を取らせず、過重労働が原因で労災に発展した場合、現場責任者だけでなく、企業自体や経営者も安全配慮義務違反の責任を問われる可能性があります。

したがって、本部でも各支店で休憩時間が正しく取れているかどうか実態を把握する必要があり、「休憩時間を取らせてもらえない」という支店の従業員の訴えや不審な休憩時間の記録があった場合は、現場担当者に説明を求め、問題があれば支店ごとに是正指導を行う必要があります。休憩時間をはじめとする労働時間に関する問題を放置していると、その分本部が抱える労務リスクは高くなります。

休憩時間にまつわる労務リスクの種類

企業側が「労働時間が6時間を超えたときは45分、8時間を超えるときは1時間の休憩を与える」という労働基準法第34条で定められた休憩時間を従業員に正しく与えていなかった場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金刑が科されます。この場合、刑罰の対象となるのは各支店の責任者や企業のほか、経営者個人などです。

また、残業代が発生しないようと、現場担当者が休憩時間を多く取ったように従業員に虚偽申告を強要し、法定労働時間を超えて働かせていた場合は、残業代の未払いに該当します。この場合も6か月以下の懲役あるいは30万円以下の罰金刑が科されるほか、残業代の請求や、過重労働による従業員の健康悪化を理由とする民事訴訟に発展するリスクもあります。

この際、休憩時間を規定通り取らせなかったり、虚偽の申告をさせたうえでサービス残業をさせたりしたことが原因で健康悪化や過労死問題に発展した場合、高額な損害賠償請求に発展する可能性もあることを把握しておく必要があります。近年、企業の残業代未払いや過重労働などの法違反が報道された場合、いわゆる「ブラック企業問題」とみなされ、社会的信用を損なう可能性が高くなります。この点もリスクの1つとして押さえておくべきでしょう。

現場責任者への対応方法

法律で規定された休憩時間を取らせない、もしくは休憩時間について嘘の申告をさせて残業時間を少なく見せかけ、実際にはサービス残業させるなどは、法違反であることを現場担当者に改めて徹底させる必要があります。全社的に休憩時間に関する問題についての共有を行い、各支店の勤怠記録を集計する際に、不審な休憩時間の申告記録があった場合、本部の人事・労務担当者から現場責任者に説明を求めましょう。

実際にあった休憩時間の虚偽申告の事例では、従業員の1日の拘束時間が15時間なのに対し、休憩時間は6時間半以上で、残業時間は30分以下として記録されるなど、不自然に長い休憩の勤怠記録が数日間残されていました。特定の従業員の1日の拘束時間が長く、かつ極端に休憩時間が多い状態が連日続く記録があれば、その実態を調査する必要があります。この場合も、現場責任者に従業員の休憩時間に対する具体的な説明を求めましょう。

勤怠管理システムの中には、打刻だけでなく、遅刻や早退の理由を記載できるタイプもあります。休憩時間を規定よりも長めに取る場合は、その理由を勤怠管理システム上に記載するよう、本部主導で勤怠ルールとして定める方法もあります。

また、現場の従業員から「実際には休憩時間が取れていない」という報告が本部に寄せられた場合も早期に対処を行いましょう。働き方改革により労働時間削減が求められながら業務量が減らず休憩時間が確保できていなかったとして、労働基準監督署から指導を受けた企業のケースもあります。この場合、人員配置や各支店の業務フローの見直しによって休憩時間に関する問題を改善できる場合があります。

休憩時間に関する労務リスクを未然に防ぐためには

現場責任者への対応に加え、本部側が休憩時間に関する労務リスクを未然に防ぐためにできる対策を2つ解説します。

本部主導の意識改革

「休憩時間でも店長から仕事を頼まれる従業員がいる」「休憩時間を含めワンオペ状態になっている」などが各支店で常態化している場合、現場責任者個人の考えや、職場の雰囲気が働き方に影響している可能性があります。本部の経営層が適切な労働時間管理の方針を示し、現場担当者への教育を行う必要があります。

また、現場担当者だけでなく各支店の一般従業員に対しても労働基準法の規定に沿った休憩時間の取り方を改めて説明、周知するような対策を取りましょう。

文書やポスターなどで示す休憩時間の取り方の具体例

  • 労働時間が6時間を超えるときに45分、8時間を超えるときに1時間の休憩が必要
  • 休憩中に労働する必要はない(手待時間や仮眠時間は休憩時間に含まない)
  • 労働時間内に業務が終わらない場合でも無打刻で勤務しない

客観的な労働時間把握の方法を採用する

各支店の正確な労働時間把握を行うため、タイムカードからより客観性が高い勤怠管理システムへ切り替えるのも有効です。飲食店の場合、顔認証で勤怠打刻を行う勤怠管理システムや入口でICカードを使って打刻を行う勤怠管理システムの導入によって、不正打刻や打刻後のサービス残業を防ぐ効果が期待できます。

休憩時間を長めに取る、前日の勤務から時間を置かず次の日の勤務を開始するなど、イレギュラーな勤務をする場合は勤怠システム上で理由を申告させるルールを設けることでさらに正確な労働時間把握につながります。

まとめ

各支店で休憩時間が適切に取れていない、または現場責任者が休憩時間を虚偽申告させ従業員の残業を少なく見せかけている、といったケースは法違反に該当するだけでなく重大な労務リスクにつながる可能性があります。訴訟に発展した場合、従業員側のメモや監視カメラの記録などが「休憩時間も労働していた証拠」と認定されるケースもあるため、現場への教育だけでなく、客観的な労働時間把握の仕組みの導入が労務リスク対策として有効です。

虚偽の打刻操作を行わないような各支店や一般従業員への指導に加え、正確な勤務状況把握のために柔軟な設定が可能な勤怠管理システムの導入を検討することをおすすめします。

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