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2022年1月以降の、雇用調整助成金・休業支援金の特例措置について解説

公開日時:2021.12.23 / 更新日時:2022.03.09

厚生労働省は新型コロナウイルスの影響で経営悪化を余儀なくされた企業への支援策として実施している雇用調整助成金・休業支援金等の特例措置を2022年の3月まで延長することを決定しました。今回の延長では2022年1月以降、雇用調整助成金、休業支援金の1日あたりの助成金が減額されます。日本全国で新型コロナウイルスの緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が解除された後も特例措置が継続される背景をはじめ、12月以降の特例措置の内容、12月以降に雇用調整助成金や休業支援金を申請する場合の注意点を解説します。

雇用調整助成金・休業支援金の特例措置が2022年3月まで延期される背景

2021年9月30日、政府は新型コロナウイルスの緊急事態宣言、まん延防止等重点措置を解除しましたが、企業にとって倒産の危機・経営危機が即解消されるというわけではありません。段階を踏まずに助成金などによる支援が打ち切られると、企業はただちに厳しい状況に陥ることが予想されます。2021年12月時点で雇用調整助成金の累計申請件数は約530万件、休業支援金・給付金の累計申請件数は約362万件となっており、厚生労働省が期間の延長を決めた時点で、支援を必要とする企業は依然として減少していない状況が伺えます。

雇用調整助成金・休業支援金の特例措置の制度の仕組みについては以下の記事もご覧ください。

用語集「雇用調整助成金」

今後の助成内容

雇用調整助成金・休業支援金の特例措置の期間延長に伴い、厚生労働省は1日当たりの助成金の上限額を2022年1月から段階的に引き下げると発表しています。一方で、売上が大幅に減少した企業には現在の特例措置を2022年3月末まで継続します。現在の特例措置が延長になるのは「直近3か月の平均売り上げがコロナ禍の前までと比べて30%以上減少した」という条件に当てはまる企業です。

また、厚生労働省は2022年4月以降の助成内容については、2月末までに公表する予定であるとしています。

今後の雇用調整助成金、休業支援金の助成内容については、以下の表と補足をご覧ください。

雇用調整助成金の助成内容

雇用調整助成金の特例については、現在1万3,500円である1人当たり上限額を、1月と2月は1万1,000円、3月は9,000円に引き下げる予定です。

(※1)
緊急事態措置を実施すべき区域、まん延防止等重点措置を実施すべき区域(以下「重点措置区域」という)において、知事による、新型インフルエンザ等対策特別措置法第18条に規定する基本的対処方針に沿った要請を受けて同法施行令第11条に定める施設における営業時間の短縮等に協力する事業主。

(※2)
2021年12月までは、生産指標が最近3か月の月平均で前年又は前々年同期比30%以上減少の全国の事業主。2022年1月~3月は、生産指標が最近3か月の月平均で前年、前々年又は3年前同期比30%以上減少の全国の事業主。
なお、2021年12月までに業況の確認を行っている事業主は、2022年1月1日以降に判定基礎期間の初日を迎えるものについては、その段階で業況を再確認する。

(※3)
【2021年12月まで】原則的な措置では、2020年1月24日以降の解雇等の有無で適用する助成率を判断。地域・業況特例では、2021年1月8日以降の解雇等の有無で適用する助成率を判断。
【2022年1月から】原則的な措置、地域・業況特例のいずれについても、2021年1月8日以降の解雇等の有無で適用する助成率を判断。

休業支援金の助成内容

原則として1人日額9,900円を上限に、休業前賃金の8割を支給します。1月以降は、助成割合を維持したまま上限を8,265円に引き下げる予定です。

(※4)
大企業はシフト制労働者等のみ対象。
(※5)
休業支援金の地域特例の対象は、基本的に雇用調整助成金と同じ。なお、上限額については月単位での適用とする。
(例:5月10日から5月24日までまん延防止等重点措置→5月1日から6月30日(解除月の翌月末)までの休業が地域特例の対象)

雇用調整助成金・休業支援金・給付金の申請期限

現在厚生労働省の情報から分かっている休業支援金・給付金の期間と申請期限は次の通りです。

中小企業の申請対象期間および申請期限

休業した期間申請期限
2020年10月~2021年9月2021年12月31日(金)
2021年10月~11月2022年2月28日(月)
2021年12月2022年3月31日(木)

大企業の申請対象期間および申請期限

休業した期間申請期限
2020年4月~6月2021年12月31日(金)
2021年1月8日~9月(※)2021年12月31日(金)
2021年10月~11月2022年2月28日(月)
2021年12月2022年3月31日(木)

(※)2020年11月7日以降に時短要請等を発令した都道府県は、それぞれの要請の始期以降の休業も含みます。

雇用調整助成金特例措置の延長にかかわる申請期限は2021年12月現在ではまだ正式に決定していません。これまでの雇用調整助成金の特例措置においては「支給対象期間」の末日の翌日から2か月以内に申請をする必要がありました。

※支給対象期間について
休業を行う場合、原則として対象期間内の実績を1か月単位で判定し、それにもとづいて支給がなされます。この休業の実績を判定する1か月単位の期間を「判定基礎期間」といいます。

「判定基礎期間」は原則として、毎月の賃金の締め切り日の翌日から、その次の締め切り日までの期間です。

例:
賃金の締め切り日:毎月末日
→ 判定基礎期間(休業実績を判定する1か月間):〇月1日~〇月30日

雇用調整助成金は、通常は毎月の「判定基礎期間」ごとに支給申請をします。このとき支給申請する判定基礎期間のことを「支給対象期間」といいます。支給の申請書は、毎月の判定基礎期間(支給対象期間)ごとに作成・提出します。

雇用調整助成金等・休業給付金の特例措置延期に関する注意点

雇用調整助成金や休業支援金等の特例措置期間延長に伴い、申請時のチェックが強化されます。厚生労働省は雇用調整助成金を利用する企業に対し、2022年1月以降の休業については特例措置の対象として申請する場合、再度業績の悪化を証明する書類の提出を求めます。

このチェック強化は、特例措置の要件を満たさなくなった企業が助成金をそのまま受け取る可能性があるためです。今後の各企業の経営状況の改善や、雇用調整助成金の不正受給の増加も踏まえての対応となります。このほかにも、支給申請を行う場合は、その都度、厚生労働省のホームページから最新様式の申請書をダウンロードする必要があります。

まとめ

雇用調整助成金・休業支援金の特例措置は2022年3月まで延長されますが、新型コロナウイルスの影響による経営悪化の状況が改善してきたことを鑑み、1日当たりの支給額が2022年1月から一定額減額されます。ただし、いまだ経営状況が厳しい企業に対しては2021年12月の水準の助成金を維持するなどの柔軟な対応を行います。一方で申請時のチェックの厳格化も予定されており、今後の申請時には経営状況の悪化を証明する書類の提出が必要になります。

2022年1月以降の申請締め切りをはじめとした詳細情報は決定次第、随時発表される見込みです。

※本記事は2021年12月時点の厚生労働省発表の情報に基づき作成しています。2022年1月以降の雇用調整助成金については施行にあたって厚生労働省令の改正等が必要であり、現時点での予定を記載しています。

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