業務改善ガイド

【課題別】入退室管理システムの選び方、監査対策から衛生管理まで

公開日時:2021.08.31 / 更新日時:2021.10.27

オフィスや工場など建物の入退室を管理する「入退室管理システム」は防犯対策や入退室の効率化をはじめ、幅広い用途で活用されています。業種や企業規模別に重視したい入退室管理システムの機能や設備、活用の目的は異なるため、この記事では企業が抱える個別課題ごとに必要な入退室管理システムについて解説しています。どのようなケースでどんな機能や活用方法が有効なのかを比較検討し、入退室管理システムの選び方として参考にしてください。

入退室管理システムとは?

「入退室管理システム」について、具体的な選び方の解説の前に、そもそも入退室管理とはなにかという疑問の答えや、システム導入でできることの基本を分かりやすく解説します。

1.入退室管理とは?

入退室管理とは、オフィスや工場、倉庫などの建物の出入口や各エリアの人の出入りを管理することで、防犯・セキュリティ対策である「物理的対策」のうちの1つです。具体的にはオフィスや作業場などに部外者が勝手に入室することを防いだり、 特定の部屋へ「誰が・いつ」出入りしたかの記録を厳密に取ったりします。入退室管理は出入り口にノートや管理表を置いて記録するアナログな方法から、物理的な鍵を使用せずICカードや暗証番号などを利用して入退室を行い、入退室記録や出退勤記録をシステムで一元管理する方法などがあります。

2.入退室管理システムができることと選び方

入退室管理システムの主な用途として、入退室管理の効率化、防犯対策とセキュリティの強化があります。

入退室管理システムを導入することで、鍵の当番や特定の人が行う鍵管理が不要になり、暗証番号やICカード、生体認証による入退室と入退室管理の効率化が可能になります。

また、「誰が・いつ・どの場所に」入ったか入退室の詳細を記録したり、特定の部屋やエリアに入れる人を制限したりするなどのセキュリティ対策、防犯強化も可能になります。厳密な衛生管理が必要な医療現場や食品工場、特に企業のセキュリティ対策が重要なサーバエリアにおける人の出入りを確実に管理するために、入退室管理システムが欠かせません。

このほか、災害発生時の安全確認・在室確認や、勤怠管理システムとの連動も可能でタイムカードより客観的な記録を残すなど、さまざまな用途に合わせた入退室管理システムの利用が進んでいます。

活用範囲が広い入退室管理システムの導入を検討する際は、自社が抱える課題やシステムによって解決したいシーンを想定し、それに対応できる機能を備えた入退室管理システムを選択します。

【課題①】:監査対策や取引先の要望のため入退室管理を強化したい

社内のセキュリティ対策や個人情報保護の観点から、企業で行っているアナログな入退室管理が監査や取引先との契約更新のネックとなる場合があります。特に製造業では取引先から多岐にわたるセキュリティ改善の要求を受けているため、自社内で保護すべき原料や製品の保管の在り方、保管場所へのアクセス履歴の管理方法をはじめとする体制強化が必須となります。

以下では監査対策や、取引先の要望に応える場合に必要な入退室管理システムの機能について解説します。

1.監査対策のために入退室管理の強化をしたい

入退室管理システムでは基本の機能として「誰が、いつ部屋を出入りしたか」のログを取得する機能や、エリアへの立ち入りを制限する入室制限の機能があります。これまでは手書きの入退室管理の記録しかなく、厳密な入室制限ができていなかった現場ではこれら物理的なセキュリティの不備を入退室管理システムによりカバーすることが可能です。入退室管理システムで実現できる物理的な対策を含む以下の4つの対策強化をバランスよく実施することで、監査の合格条件を満たすことができます。

監査のために強化が必要なセキュリティ対策

技術的対策・ウイルス対策や不正アクセスなどのセキュリティリスクに備えた対策
・ウイルスソフト導入、アクセス制御できるツール・システムの導入や、
アクセス権限管理、二段階認証などの活用によって対策する
物理的対策・外部からの不法侵入、ドアの破壊、災害などの物理的なセキュリティリスクに備えた対策
・監視カメラの設置やセキュリティレベルの高い入退室管理システムの導入、
警備員の配備などの対策を行う
組織的対策・組織内で定めているマニュアルや管理体制が正しく運用されていない場合に起こりうる
セキュリティリスクに備えた対策
・組織の一人ひとりの行動を律する社内規定や不正発覚時の懲戒規定の整備、
従業員教育の徹底、マニュアルの作成と周知などの対策を行う
人的対策・自社の従業員のミスや不正に起因するセキュリティリスクに備えた対策
・従業員の規則遵守、情報取り扱い時のルールの設定、
セキュリティポリシーの策定などの対個人向けの対策を行う

セキュリティの対策ができている証明として取得する企業が多いPマーク(プライバシーマーク)を新規に取得する、または継続する場合、個人情報保護、セキュリティ対策の一環として入退室ルールも内部監査の対象となります。

安全な食品の生産や流通、販売をするための規格「ISO22000」や大手食品メーカーが小売りとの取引条件としていることが多い食品安全規格「FSSC22000」の要求事項を満たす場合でも、適切な入退室ルールの設定や管理体制が築けているかどうかが重視されます。

2.入退室管理に対する取引先からの改善要求に対応したい

中小企業が大企業と提携や取引きをする場合、事業所や製造現場のセキュリティ対策実施や個人情報の保護体制の確立が取引の条件になる場合が多く、その一環として自社の入退室管理の体制を見直す必要があります。

具体的には、部外者が特定エリアに入れないよう入室制限を行い、不正防止のためリアルタイムで入退室ログを取れるよう入退室管理システムを重要エリアを中心に導入します。製造現場の異物混入をはじめ自社や取引先に損害を与える事態を未然に防ぐことができます。この体制整備が企業同士の信頼につながり、取引先との関係強化や、取引先の増加に直結します。

詳しくは【業務改善ガイド】「【シーン別】入退室管理システムの選び方。情報漏えい対策から災害時の安全確保まで」を参考にしてください。

【課題②】:複数ある出入口を適切に管理したい

企業の規模に関係なく、自社、顧客の情報や資産保護のため、職場への出入りは従業員、外部の関係者を問わず「誰が、いつ、何の目的で」出入りしたのかを正確に記録・管理することが必須となっています。

そのうえで管理強化のため入退室管理システムをいざ導入するとなった場合、各エリアをセキュリティレベルごとにゾーニングし、エリアをつなぐ各ドアをレベル別に分類する必要があります。

この分類がどの場所に入退室管理システムを設置し、どのように出入り管理すればいいのかを決める指標になります。以下では、企業のエリアごとに適切な入退室管理システムと管理方法について解説します。

1.セキュリティやプライバシー上の管理が必要な場所向け

まずは、以下のように自社の敷地内のセキュリティレベルの分類に加え、プライバシー上入室制限が必須となる場所を洗い出し、エリアの扉ごとに必要な入退室管理システムを検討します。

セキュリティレベルでゾーニングした例

セキュリティレベル0ロビー、通用口、駐車場など誰でも入れるゾーン
セキュリティレベル1応接室や会議室、トイレなど出入りの業者や来訪者が利用するゾーン
セキュリティレベル2従業員が業務を行う部屋、商談ルームなどでレベル0、1よりセキュリティ対策が必要なゾーン
セキュリティレベル3サーバー室や機密資料の保管庫、薬品や危険物の保管室、工場の製造現場など、従業員でも入室制限が必要。建物の中で最もセキュリティを高める必要があるエリア
プライバシー上入室制限が必要なゾーンロッカーや更衣室など、男女別の入室制限がいる

サーバー室や製造現場など、セキュリティレベルが高い場所は、通用口や一般オフィスなどよりも厳密な入退室管理を行うため、入り口のドアに入退室管理システムを設置、入室にはICカード、暗証番号などを用います。特にセキュリティ上重要な部屋のドアは生体認証や特定の役職が持つICカードでしか入室ができない設定にした入室制限を設けるとよいでしょう。

2.不特定多数の人が出入りする場所向け

不特定多数の人が出入りするロビーや通用口、廊下、駐車場の出入り口については、ドアに入退室管理システムを設置するのではなく、ICカードで入室するセキュリティゲートを設けるとよいでしょう。

指定のICカードがあれば特別な認証をせずとも入室できる形式ですが、セキュリティゲートにより1人しか通過できないよう物理的な入室の制限が可能なため共連れ防止に一定の効果があります。ゲートを通過することで入退室ログが残るため、社内で盗難や物品の持ち出しなどがあった場合でも、検証が可能です。

【課題③】: HACCPの考え方を取り入れた入退室管理をしたい

食品衛生法の改正で2021年6月から全ての食品製造業を対象に、食品管理の工程ごとに確認・記録を行い食品衛生上のリスクを減らす取り組みである「HACCP」の導入が義務化されました。HACCP遵守のためには、食品製造現場に異物や汚れを持ち込まないような入退室管理の体制づくりが必須となります。

食品製造業者は外部から微生物や異物の混入を防ぐため、「衛生管理計画の策定」から「計画の実施」「実施した内容の確認・記録」までを継続して行います。HACCPが適切に導入されているかは全国の保健所がチェックし、実施できていなければ事業者に罰則が科されます。食品製造業者がHACCPの考えを取り入れるために必要な入退室管理はどのようなものか、課題別に解説します。

1.衛生管理のため非接触での入退室管理を行う

HACCPにもとづき、より衛生管理を徹底するには顔認証で入室できる入退室管理システムやICタグで自動検知して入室管理するタイプのシステムの利用が有効です。

食品製造現場では異物混入防止のため、外部の人間の入退室は厳密に管理するのはもちろん、入退室管理システムで入口ごとのセキュリティレベルを管理し、入室ログを取る必要があります。この工程を、非接触で行うシステムに切り替えることで、手や作業服に付着した細菌がICカードの接触や暗証番号入力を介して製造現場に持ち込まれ食中毒被害が広がる、といった事態を防ぎます。

2.入退室管理で新型コロナウイルスのクラスター化を防止

非接触の入室のほか、サーマルカメラと連動した入退室管理でシームレスに自動検温を行うことで、体調不良者を把握できます。また、従業員が行う検温と衛生管理の問診表確認を自動化し、入室の条件を満たした従業員のみが製造エリアに出入りできる、入退室管理システムと各種システムの連携を実現するソリューションも存在しています。

検温や、問診表確認、入退室の機能がバラバラだと管理も煩雑になり、チェック漏れが原因の新型コロナウイルスの感染、クラスター化に発展する可能性もあります。システム運用側もそれぞれのチェック項目を一元管理できるため、衛生管理の向上や、なりすましなどの不正入室の防止に役立ちます。

このほか、高性能のカメラを搭載した入退室管理システムの場合、マスクのままでも顔認証が可能で、ゲート付近での飛沫感染対策にもつながります。

まとめ

入退室管理とは、オフィスや工場、倉庫など、建物の出入り口や各エリアの人の出入りを管理することです。入退室管理システムによって部外者が勝手に入室することを防止する、特定の部屋への出入りの記録を厳密に取る、入退室の効率化などが可能になります。入退室の方法は、一般的なICカード利用や暗証番号式、生体認証などです。

セキュリティゾーンごとの効率的な入退室管理、企業が抱える各種課題に対応した入退室管理システムが存在しています。どのような機能連携が可能か、自社の課題に対応できる製品はどれか、比較検討のうえでシステムを導入しましょう。状況に応じた入退室管理システム活用で、企業に降りかかるさまざまな問題に対応でき、衛生管理やセキュリティ対策などのリスク管理が促進できます。

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