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ジョブローテーション

じょぶろーてーしょん

公開日時:2022.07.25 / 更新日時:2022.12.19

ジョブローテーションとは人材研修の1つで、職場もしくは職種を異動してさまざまな経験を積んでいく制度のことを指します。幅広い業務を経験しながら従業員の能力開発を行う仕組みとして、広く浸透しています。ジョブローテーションの期間としては、短くて半年、長くて数年というスパンで実施される場合があります。日本の終身雇用制度にあわせて広まったと言われており、一般的には正社員の人数が多く、人員に余裕がある企業ほどジョブローテーションが活発に行われている傾向があります。

ジョブローテーションの目的

ジョブローテーションは、配置転換を行ったり役職を与えたりすることにより、組織の中での社員の役割を変えることを意味します。ここで言う役割とは、地位や職務、勤務地などを示します。

ジョブローテーションと人事異動は、社員の部署や役割などを変えるという意味では同義ですが、実施する目的に違いがあります。一般的に、人事異動の目的は経営戦略に基づく部署強化や欠員補充、組織活性化にあります。ジョブローテーションはそれらに加えて、人材育成を目的とする側面が強い制度です。

人事異動の目的 社員のキャリア開発、適性に合わせた人材配置、欠員の補充、不正の防止 など
ジョブローテーションの目的 社員一人一人の人材育成

ジョブローテーションのメリット・デメリット

人材育成を目的とするジョブローテーションですが、企業としてはメリットだけでなく、デメリットも踏まえて導入を検討する必要があります。

ジョブローテーションのメリット

ここでは、ジョブローテーションを実施することにより得られる企業側のメリットを解説します。

1.適材適所

ジョブローテーションで配置された部署や業務をきっかけに、社員が能力を発揮して適正を見せる可能性があります。社員の能力に気付くことで、これまでに配置できなかった部署や業務に該当する社員を配置することができるようになります。一方で、ジョブローテーションを行わない場合、社員の能力に気付かないまま人員配置をすることになり、人的資源の損失につながりかねません。

2.社内ネットワーク構築

同じ部署だけで仕事をしていると、決まったメンバーとだけ接することになります。その点、ジョブローテーションを実施すると、長期間同じ業務や部署で活動することはなくなり、今まで接してきた人とは別のメンバーとの交流が生まれます。

ジョブローテーションの対象でない社員にとっても、異動した人材を介することで部署間の交流がしやすくなり、他部門との業務上の連携が必要になる場合にも仕事がスムーズに進められる効果があります。ジョブローテーションを取り入れることで、異動者が橋渡し役となり、部署間の連携が生まれる可能性があります。

3.幹部候補育成

幹部候補の育成には時間がかかります。特に、日本の企業では、幹部が現場を知っていることは強みになると考えられています。「将来的に経営を担ってもらいたい」という人材を早くからさまざまな現場に送り込むことで、各部署への理解が深まる効果もあります。現場での経験が豊富であることは、幹部となったときにも役立つと言えるでしょう。

4.モチベーション維持

長く同じ部署や業務に就くことで、人間関係に慣れが生じたり、仕事に飽きたりすることも考えられます。ジョブローテーションを行うことで、対象者本人だけではなく、周囲の従業員も定期的に関わるメンバーが更新されます。人間関係が一からのスタートになり、業務も新しく覚えなくてならない大変な状況でありながらも、常に新鮮な気持ちで働く意欲を維持することができるでしょう。

ジョブローテーションのデメリット

続いて、ジョブローテーションを実施することにより得られる企業側のデメリットを解説します。

1.専門家育成に適さない

ジョブローテーションは一定期間で職場や職種を異動するため、短期間で業務の深層部までを理解することはできません。初めて体験する業務がほとんどのため、習熟度の浅さから比較的難易度の低い業務を割り当てることが多くなるからです。高度な専門性や技術が必要なスペシャリストの養成という観点で見ると、ジョブローテーションは不向きと言えます。

2.離職時のコストが大きい

「1つの職場に定着できない」といったマイナス感情を持つ従業員がいる場合、ジョブローテーションの実施が退職リスクになるでしょう。せっかく育成した従業員を失ったときの教育コストの損失は、予想以上に大きなものとなります。

ジョブローテーションに適さない企業

各部門の専門性が高く、職種によって給与体系が異なる場合にはジョブローテーションには適していません。また、長期的なプロジェクトを扱っている場合にも、人材が定期的に変わってしまうジョブローテーション制度は適さないと言えるでしょう。

まとめ

従業員がさまざまな経験を通じて成長し、自身の能力を生かすチャンスが増えることは、結果的に企業価値の向上に繋がる要素があります。メリット・デメリットを理解した上で、人事戦略に基づいたジョブローテーションを取り入れることは効果的ですが、自社の扱う案件・サービスと照らし合わせて実施を検討する必要がありそうです。

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