• ホーム
  • なんでもQ&A
  • 改定した人事制度を従業員に浸透させるにはどうすればよいでしょうか?

人事・労務なんでもQ&A

改定した人事制度を従業員に浸透させるにはどうすればよいでしょうか?

まずは各企業の理念や課題に合った人事制度を設計できているのかの見直しを行いましょう。その上で人事制度の内容や、導入の目的、導入の時期、どのような形で運用するか、評価は誰が行うのかなどの情報を、定期的に従業員に周知していく必要があります。
公開日時:2023.01.30
詳しく解説

Q. 改定した人事制度を従業員に浸透させるにはどうすればよいでしょうか?

500人規模の企業の人事として働いております。政府の推進によって、ワークライフバランスや人的資本のような新たな価値観が普及している昨今、人事制度を現代の価値観に合わせるために改定しました。しかし、新しい人事制度が従業員の間に浸透せず、いまいち理解されていないようです。制度を周知させ、従業員の理解度を高めるためにはどうすればよいでしょうか?

A. まずは自社の理念や課題に合った人事制度が設計できているかを見直しましょう。

その上で従業員に対して人事制度の内容や、導入の目的や時期、どのような形で運用するか、評価は誰が行うのかなどの情報を、定期的に周知していく必要があります。

人事制度を浸透させるには、「自社に合った制度設計」と「従業員への周知」の2方向から対応することが大切です。

自社に合った制度設計を行うには、まず現場で働いている従業員から意見を収集することが大切です。次に現場の意見と経営層が感じている課題を照らし合わせて、企業の成長に必要なポイントを明らかにしましょう。このように自社の状態を認識した状態で、理念・課題・現状に合った人事制度を設計することが重要です。

設計後は従業員への周知を徹底しましょう。具体的には、人事制度の内容・目的・導入時期、運営方法、評価者などを網羅的に繰り返し周知してください。

なお、説明は明確でわかりやすい内容にして、新制度の従業員へのメリットを提示すると、従業員の理解度や納得感が高まり、浸透しやすくなるでしょう。

人事制度が浸透しない原因

人事制度が浸透しない主な原因には、以下の3点が挙げられます。

  • 従業員が人事制度を変える必要性を感じていない
  • 人事制度が現場の従業員にフィットしていない
  • 従業員への周知不足

時間をかけて人事制度を設計しても、これらの原因によって制度が浸透せず、形骸化につながる可能性があります。人事制度があまり浸透していない場合には、原因のどれに当てはまるのかを検討してみましょう。

ここから、それぞれ詳しく解説します。

従業員が人事制度を変える必要性を感じていない

従業員が人事制度を変える必要性を感じていない場合は、人事や経営陣側と、従業員側で課題感の共有ができていないことが想定されます。この場合は、従業員が現状に危機感を持っていないことが主な理由です。経営陣から見て自社にどのような課題があり、人事制度によって課題をどう解決したいのか、説明を行いましょう。併せて、制度変更による従業員へのメリットを提示し、人事制度変更に期待を持ってもらうことも有効です。

人事制度が現場の従業員にフィットしていない

ワークライフバランスやジョブ型雇用など、社会変化に対応した人事制度に固執するあまり、従業員の現状や自社に合っていない人事制度を導入してしまうケースがあります。その予防策としては、人事制度の設計段階から従業員にヒアリングして意見を取り入れるなど、現場を巻き込みながら自社に合った人事制度の設計を行うことが有効です。

現場を無視した一方的な制度は従業員に負担を感じさせるため、次第に機能しなくなります。そうなると正当な評価が行えなくなり、従業員のモチベーションや生産性が低下します。人材の流出なども招くため注意しましょう。

従業員への周知不足

そもそも十分に周知をしていないことも、従業員に浸透しない原因の一つだと考えられます。この場合は、経営側が制度の周知の重要性を意識しましょう。周知の方法には以下のような例があります。

  • 従業員への説明会や研修実施
  • 制度改定の冊子配布
  • 人事制度を説明したPDFや動画を社内で共有する

これらを参考に、自社の状況に合った方法を採用してください。この他のさまざまな周知手段については詳しく後述します。

人事制度は設計がゴールではない

人事制度は設計の完了がゴールではなく、その後の運用までを検討することが大切です。運用する中で適宜改善しながら定着させ、従業員の成長につなげられるようにしましょう。

経営陣側が設計を重視するあまり定着を考慮しなければ、人事制度が機能しなくなり形骸化してしまう可能性があります。

形骸化の原因は、主に人事制度の目的への理解不足と、評価者の不適切なフィードバックです。評価者が適切なフィードバックをできないと、従業員の不平不満の蓄積につながります。

このような状態を回避するためには、人事制度導入後も従業員への意見聴取やアンケートを定期的に行いうことが大切です。併せて、問題点が判明した場合に改善できる仕組みを構築しておく必要があります。

浸透させられる人事制度にするための設計のポイント

労力をかけて制度設計しても、社内全体に浸透しなければ、効果は得られません。従業員に対して人事制度を浸透させるために必要な設計ポイントは、主に以下の2点です。

  • 自社の課題に合った人事制度にする
  • 評価基準を明確にする

それぞれについて詳しく解説します。

自社の課題に合った人事制度にする

自社の課題に合った人事制度を設計するために、多くの社員を巻き込みながら自社の課題を把握し、解決につながるような人事制度を策定しましょう。自社の課題に合わない人事制度を設計してしまうと、従業員が人事制度に意義を見いだせず、運用に非協力的となることで社内への浸透が進まない可能性もあります。

例として、「人材育成が進まない」という課題を持つ企業が、個人の成果主義を中心とした人事制度を設計すると、さらに人材成長を妨げるといった悪循環を招く事態に陥りかねません。

実際にある企業では、成果主義を人事制度に導入したところ失敗し、制度を戻した事例があります。具体的には、人材育成と各自の目標達成を並列してしまったことで、ベテラン従業員が若手育成よりも自分の成果を優先してしまい、結果として制度導入以前よりも人材が育たなくなったのです。

このような事態を防ぐために、自社の現状を経営層・人事部で検討することが重要です。また、トップ層だけで策定するのではなく、多くの従業員を巻き込みながらアンケートやヒアリングで現場の課題を洗い出し、人事制度へ反映することが求められます。

評価基準を明確にする

評価基準を明確化し、評価者による評価のばらつきをなくすこと、従業員側が評価基準を理解できることが重要です。

基準が曖昧な場合、評価者の主観が入ってしまうリスクが伴います。その場合、不適切な評価やフィードバックに対する不満を抱かれる恐れがあるため、公平性を考慮した評価基準にしなければなりません。加えて、評価者には研修やトレーニングなどの機会を設け、評価者同士の足並みを揃える工夫をしましょう。

また、「誰が評価しても同じ評価になる」と納得できる、具体的かつ客観的な評価項目や基準を定めることが必要です。そのためには、従業員一人ひとりが設定する目標と達成基準を明確にすることが有効となります。

浸透させられる人事制度にするための導入・運用のポイント

従業員に対し浸透させられる人事制度に必要な導入・運用のポイントも、設計と同じく大きく以下の2点に分けられます。

  • 従業員に人事制度を理解してもらう取り組みを実施する
  • 制度を利用している従業員の声を聞いて、改善する

ここから、それぞれのポイントについて解説します。

従業員に人事制度を理解してもらう取り組みを実施する

人事制度への理解を促す取り組みとして、従業員に対するマニュアルや説明動画を共有することなどにより、制度が浸透・定着していくと考えられます。

また、人事評価の方法や基準についてまとめ、社内全体で共有することも、人事制度の理解に効果的です。

その他にも従業員に理解してもらうための取り組みは数多く存在するため、自社に適した方法を検討・選択してください。

制度を利用している従業員の声を聞いて、改善する

人事制度を運用する中では、実際に利用する従業員の声を反映して改善につなげることも、制度浸透に役立ちます。現場と乖離した一方的な人事制度にしないために、現場の従業員が感じている意見を積極的に取り入れましょう。多面的な意見を収集するために、制度に対する不満や疑問、評価の声をアンケートやヒアリングによって現場から拾い上げ、現状把握を行ってください。

まとめ

改定した人事制度を従業員に浸透させるために取り組むべきポイントを解説しました。

人事制度が浸透しない原因としては、従業員が改定に必要性を見出していないことや、現場に合わない制度であることが考えられます。人事制度に限らず、社内制度を従業員に浸透させることは、企業の持続可能な成長のために重要な取り組みです。

制度設計・運用には認識と実情の乖離が生まれないよう、経営層だけでなく現場の従業員からも意見を聴取し、改善を繰り返しましょう。

なお、新しい人事制度導入や制度改定の際は、従業員の勤怠や給与管理が複雑化することが予想されます。人事評価をスムーズに行う環境整備のためにも、最適な勤怠管理システム導入の検討が必要といえるでしょう。

関連記事

人事情報管理も備えるアマノの勤怠管理システム

GUIDE

勤怠管理のパイオニア「AMANO」のノウハウをぎゅっと凝縮してお届けします!

01基礎知識

勤怠管理の意義と
重要性

02選び方

勤怠管理システム
選び方の基本

03実践編

勤怠管理システム
導入のポイント

全てを1つの資料にまとめた総集編「勤怠管理の選び方完全ガイド」無料配布中!

「高いシステムと安いシステムでは何が違うのか」を徹底解説