人事・労務の注目用語

ジョブ型雇用

じょぶがたこよう

公開日時:2021.09.27 / 更新日時:2022.03.09

ジョブ型雇用とは、職務の内容や雇用形態などが記載された職務記述書(ジョブディスクリプション)をもとに従業員と雇用契約を結ぶ制度です。欧米諸国では長く採用されている雇用制度でもあります。ジョブ型雇用では、年齢や将来性は関係なく、職務記述書に記載している業務内容を遂行できる専門的なスキルや知識を持った人材を即戦力として採用できます。日本では職務を限定せずに新卒を一括採用するメンバーシップ型雇用が主流ですが、近年、経団連の提言やテレワークの普及などによって注目が集まっています。

ジョブ型雇用のメリット・デメリット

ジョブ型雇用とは、採用の際に職務記述書によって職務や勤務地などを明確に定めて雇用契約を結ぶ制度です。経団連からジョブ型雇用導入の呼びかけがあったことで注目が集まっています。まずは、ジョブ型雇用のメリット・デメリットを解説します。

ジョブ型雇用のメリット

ジョブ型雇用の大きなメリットとして「即戦力人材の採用」や「従業員の満足度向上」などが挙げられます。

ジョブ型雇用では職務記述書に記載している業務を滞りなく行える即戦力の人材を募集・獲得します。即戦力の人材を獲得できると、育成にかかる費用や時間を軽減することも可能です。また、ジョブ型雇用で採用した人材は総合職人材よりも労働時間や労働内容に対する満足度が高くなる傾向があります。ジョブ型雇用では、職務記述書に記載している業務に専念させることが可能です。総合職人材よりも仕事の量が安定し、従業員のワークライフバランスを整えられると、従業員の定着にも効果的です。

さらに、入社前から業務内容が明確になっているため、従業員が入社後にミスマッチを感じ早期離職する可能性を軽減できる点も見逃せないメリットです。

ジョブ型雇用のデメリット

ジョブ型雇用のデメリットとして、「会社都合での異動や転勤をさせられない」「昇格できない社員から不満が出る可能性がある」ことが挙げられます。

職務記述書には勤務地についても記載されており、職務記述書の範囲内で働く条件で入社する従業員を異動・転勤させる人事権が企業側にありません。職種を限定せず採用する「メンバーシップ型雇用」では、異動・転勤を繰り返して社内の活性化や長期的な人材育成が可能です。しかし、ジョブ型雇用では異動・転勤をさせられないため長期的な育成が困難になります。

また、ジョブ型雇用ではポストの数が決まっています。ポストが空かない限り従業員は昇格ができません。実力のある従業員は昇格できないことに不満を募らせ、転職してしまう可能性があります。

メンバーシップ型雇用とは?ジョブ型雇用との違い

ジョブ型雇用に対し、従来から日本で広く利用されてきた採用方式が「メンバーシップ型雇用」です。採用業務に携わる際は、メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用との違いを詳しく知っておくと自社に合った採用方法を考えやすくなります。

メンバーシップ型雇用とは

メンバーシップ型雇用とは、職種を限定せずに新卒を一括採用し、様々な職種・業種を経験させ、適性を見極めて育成する制度です。メンバーシップ型雇用のメリットは「終身雇用」を前提としているため、従業員を会社都合で異動・転勤させながら長期的に育成できることや会社への忠誠心が高い人材を育成できることが挙げられます。

メンバーシップ型雇用は長く日本で取り入れられてきた雇用制度ですが、転職が当たり前となってきている現代では終身雇用を前提とした育成方針は機能しなくなりつつあります。

ジョブ型雇用との違い

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の大きな違いは、職務を決めてから人を雇うか、人を雇ってから職務を決めるかという点です。

ジョブ型雇用は、事前に職務記述書を作成して、必要なスキルや経験を持った人材を採用します。それに対してメンバーシップ型雇用は、ポテンシャルや人柄を重視して採用し、入社後に異動・転勤などを繰り返してさまざまな経験を積ませながら、従業員の適性を見極めて職務を決定します。

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用には、他にも以下の表に挙げる違いがあります。

ジョブ型雇用メンバーシップ型雇用
採用方法職務記述書に記載のある業務を遂行できる人材を採用新卒を総合職として一括採用
仕事の範囲職務記述書に記載されている範囲会社都合で変動する
評価基準ポストにより決定年齢や勤続年数などにより決定
異動・転勤なしあり

ジョブ型雇用を導入する際は職務記述書の作成や社内制度の改革など、さまざまなハードルがあります。自社に合った形を検討し、メンバーシップ型雇用と組み合わせる、一部の職種に限定してジョブ型雇用を取り入れるなどの工夫をすると社会の変化に対応できる体制を整えられます。

まとめ

ジョブ型雇用とは、職務記述書に記載している業務を遂行できる人材を採用する制度のことです。即戦力となる人材を採用できるメリットがある一方、長期的な人材育成が難しいというデメリットがあります。

メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に移行するには、社内体制の改革や職務記述書の作成など、さまざまなハードルがあります。完全にジョブ型雇用に移行するのではなく、メンバーシップ型雇用と組み合わせる、一部の職種からジョブ型雇用を取り入れてみるなど、自社に合った雇用形態の模索が必要です。

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