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サバティカル休暇

さばてぃかるきゅうか

公開日時:2021.06.28 / 更新日時:2022.03.22

サバティカル休暇とは、一定期間勤続した従業員に対しておおよそ数か月から1年程度の長期休暇を与える制度です。企業によっては数年単位の休暇取得を認めているケースもあります。休暇の使い方や目的は一般的に自由で、従業員のリフレッシュやスキルアップなどに活用されています。サバティカル休暇はこれまでは主にヨーロッパ諸国で活用され、伝統的には大学教員の研修休暇とされてきました。近年、日本でも働き方改革の推進やワークライフバランスを重視する流れがあり、従業員の離職防止や健康を守る目的から導入する企業が増えてきました。

サバティカル休暇とは

サバティカル休暇とは、一定期間勤続した従業員に対して数か月~1年程度の長期休暇を与える制度です。休暇の使い方は自由となっています。サバティカル休暇のメリット・デメリットについて解説します。

1. サバティカル休暇のメリット

サバティカル休暇制度の代表的なメリットは「離職の防止になる」「従業員の成長につながる」という点です。

離職防止になる理由としては、長期休暇を取れることがモチベーション維持につながる、サバティカル休暇取得がライフイベントによってキャリアが中断される従業員の救済措置になるなどです。成長につながる理由としては、休暇中に普段と違う環境に身を置くことで新しい技術やスキルを取得できる、休暇中に業務とは別の経験を積んだり、視野を広げる機会となるなどです。

2. サバティカル休暇のデメリット

サバティカル休暇を導入した場合、「現場が混乱する」「休暇から復帰した後の受け入れ体制が必要」といったデメリットが生じる可能性もあります。

現場が混乱する理由としては数か月の休暇中に他の従業員の業務量が増える、長期勤続者が現場からいなくなり業務が滞ることが予想される、などです。復帰後の受け入れ体制については、数か月以上休暇を取った後職場の人間関係や働き方が変化し、スムーズに受け入れが進まない可能性があるためです。

3. サバティカル休暇中の給与

サバティカル休暇は育児休暇や介護休暇、年次有給休暇などと違い法律で保障された制度ではありません。そのため、有給とするか無給とするかの判断は企業に任されています。

現在、日本国内の多くの企業はサバティカル休暇に対し、無給で対応していますが、支援金を支給する企業や有給休暇と組み合わせることで従業員が休暇中に一定の給与を得ることを可能としている企業もあります。

サバティカル休暇の導入企業

実際にサバティカル休暇を導入している日本企業の例と制度の特徴を紹介します。

ヤフー

ヤフーでは勤続10年以上の正規雇用の従業員に対してサバティカル休暇を導入しています。サバティカル休暇の期間は最短2か月からで、最長3か月です。

その他のヤフーのサバティカル休暇には以下の特徴があります。

  • 「休暇支援金」として基準給与1か月分が「サバティカル休暇」の支援金として取得者に支給
  • 制度をより使いやすくするため、取得者個人の有給休暇と併せた「サバティカル制度」の利用も可能

ソニー

ソニーでは勤続2年以上の従業員に対して「フレキシブルキャリア休暇制度」としてサバティカル休暇を導入しています。サバティカル休暇が取得できる期間は以下の通りです。

年数休暇の内容
最長5年キャリアの継続を図る休職
最長2年自身の専門性を深化・拡大させる私費留学のための休職

ソニーのサバティカル休暇を利用する期間は基本的に無給です。ただし、社会保険などは本人負担相当分を会社が支給しています。また、私費就学の初期費用についても、入学金や初年度教材費等について最大50万円が支給されます。

ANA(全日本空輸株式会社)

ANAでは勤続1年以上の正規雇用の従業員に対してサバティカル休暇を導入しています。サバティカル休暇の期間は「1か月~5か月」「1年や1年半」「2年」から選択可能です。1年以上の留学の場合は補助金として20万円が支給されます。

まとめ

「サバティカル休暇」とは、一定期間勤続した従業員に対して、長期間の休暇を与える制度です。サバティカル休暇には「離職防止」「従業員の成長」などのメリットがあります。

ただし、「現場が混乱する可能性がある」「対象者が休暇から復帰した後の受け入れ体制が必要」といったデメリットも生じる可能性があります。制度導入時にはデメリットを見据えた配慮や、各企業の実情に合わせた制度設計を行うことが重要です。

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