人事・労務なんでもQ&A
「14日以上の連勤禁止」のカウントはどうすればよいでしょうか? 出張中の移動日や振替休日の取り扱いは変わりますか?
大友 大 氏
社会保険労務士
大手資格予備校にて、制作課チーフとして社労士試験必修テキストの執筆、全国模試の監修を行う。
平成20年より都内の社会保険労務士事務所に勤務ののち、平成26年に開業。
給与計算業務を中心に行いつつ、労務にまつわるさまざまな問題に取り組む。
大友労務管理事務所 代表
Q.「14日以上の連勤禁止」のカウントはどうすればよいでしょうか? 出張中の移動日や振替休日の取り扱いは変わりますか?
人事部で勤怠管理を担当しています。現在審議中の労働基準法の改正案では「14日以上の連勤禁止」が検討されていると聞きました。現行の「4週4休制」でシフトを組んでいる部署があり、運用ルールの見直しを急いでいます。
特に悩んでいるのが、出張中の移動日が休日にあたる場合や、振替休日を取得した場合の連勤日数のカウント方法です。法改正に備えて、どのようなシステム対応や社内ルールの変更を検討しておくべきでしょうか。
A. 連続勤務は最大13日までに制限され、実態に即した休日管理が求められます
「14日以上の連勤禁止」とは、労働基準法の改正により連続勤務の日数を最大13日までに制限しようとする新たな規制です。現行の「4週4休制」の枠組みであっても、14日以上の連続勤務は法律違反となる見通しです。
出張中の移動日は、指揮命令下になければ労働日としてカウントされません。しかし、振替休日や代休(代替休暇)の運用では、結果的に14連勤にならないよう事前のシフト調整が必須となります。勤怠管理システムのアラート機能を活用し、違反を未然に防ぐ仕組みづくりが急務です。
現行の連勤については、以下の記事で詳しく解説しています。
「14日以上の連勤禁止」が導入される背景と概要
現在の労働基準法では、4週間を通じて4日以上の休日を与える「変形休日制」が認められています。しかし、この制度を極端に運用すると、理論上は最大48日間の連続勤務が可能です。
このような過酷な労働環境を防ぐため、連続して労働させる日数を最大13日までに制限する方針が示されました。これにより、いかなる休日制度を採用していても、最低でも14日に1日は必ず休日を取得させる義務が生じます。
変形休日制については、以下の記事で詳しく解説しています。
「14日」の数字が示す根拠とは?
実は「14日間」という数字には明確な根拠があります。それは精神障害の労災認定基準において、心理的負荷を評価する重要な要素のひとつに「2週間(14日間)以上の連続勤務」が掲げられているためです。
14日以上の連勤禁止を法律で明文化することで、現場の「隠れた過重労働」を未然に防ぎ、実効性のあるワークライフバランスの改善につなげることが改正の目的です。企業には、従来の画一的なシフト管理を脱し、労災リスクを最小化する「きめ細やかな休日管理」への移行が強く求められています。
今回の法改正により、従業員の心身の健康を保護し、過労死リスクを低減することも考えられています。
過労死ラインについては、以下の記事で詳しく解説しています。
出張中の移動日は連勤日数にカウントされるか
出張の際、移動日が休日にあたる場合は、原則として労働時間には含まれず、連勤日数にもカウントされません。移動中は物品の監視などの特別な指示がない限り、労働から解放されているとみなされるためです。
ただし、上司から移動中に資料作成などの業務を明確に命じられていた場合は異なります。この場合は指揮命令下に置かれていると判断され、労働日として連勤日数にカウントされます。
出張移動日の労働時間該当性の判定
以下のいずれかのケースに該当する場合は、移動中であっても「使用者の指揮命令下」にあると判断され、労働時間としてカウントされます。
- 物品・書類の監視や運搬を伴う場合 :現金や貴金属、機密書類などの運搬・監視を命じられ、移動中も管理責任を負っている
- 特定の任務を帯びている場合 :移動中に要人の護衛や病人の看護、あるいは特殊車両の回送など、移動そのものが業務に付随する任務となっている
- 具体的な業務遂行を指示されている場合:移動中の車内や機内で、パソコンを用いた資料作成やメール対応、Web会議への参加などを上司から明確に指示されている
振替休日と代休による連勤カウントの違い
振替休日と代休は、連勤日数のカウントにおいて明確に区別して運用しなければなりません。両者の違いを正しく理解することが、法律違反を防ぐ第一歩です。
あらかじめ休日と労働日を交換する「振替休日」は、事前に行うシフト調整です。振り替えた結果、勤務が14日以上連続するようなシフトを組むことは、改正後の労働基準法では違法となります。
一方、休日労働をした後に休みを与える「代休」は、すでに休日労働が確定しています。代休を取得しても出勤した事実は解消されません。改正後の労働基準法では、これまでの特例や例外規定にかかわらず、連続勤務が14日に達した時点で法律違反となります。
| 振替休日 | 代休 | |
| 定義・要件 | 事前に休日と労働日を交換する | 休日労働をした事後に休みを与える |
| 法律上の扱い | 振り替えた日は最初から労働日 | 休日労働の事実は消えない |
| 割増賃金 | 原則として不要(週40時間超は必要) | 休日労働分の割増賃金が必要 |
| 連勤カウントへの影響 | (連勤14日目に達する前に設定すれば)リセットされる | (休日労働後に取得する休みなので)リセットされない |
連勤カウントのパターン例
勤怠管理システムで設定すべきアラート基準
14日以上の連勤を防止するには、人事担当者の目視チェックだけでは限界があります。勤怠管理システムを活用し、自動化と事前検知の仕組みを構築することが、実効性のある管理を行ううえで非常に有効です。
例えば、連続勤務が「12日」または「13日」に達する見込みの段階で、本人と管理職に警告を出すアラート設定が推奨されます。事後ではなく、事前にシフトを修正できるタイミングで通知を出す体制を整えることが重要です。
就業規則とシフト運用の見直しポイント
法改正に向けて、まずは自社の就業規則や36協定の記載内容を点検しましょう。変形休日制に関する規定がある場合は、連続勤務上限の条項を追加するなどの改定が必要です。
現場の管理職に対しては、新しい休日付与のルールを徹底するための研修を実施します。特に、突発的なトラブル対応などで休日出勤を命じる際の、代替要員の確保フローを整備することが重要です。
単にシステムを導入するだけでなく、特定の人材に業務が偏らないよう、チーム全体で業務を標準化・共有化する根本的な働き方改革が望ましいでしょう。
まとめ:正確な休日管理で労務リスクを回避しましょう
「14日以上の連勤禁止」は、企業の勤怠管理運用に大きな影響を与える法改正です。出張移動日の取り扱いや、振替休日・代休の正しい運用ルールを社内に浸透させる必要があります。
複雑化する休日管理を適正に行うには、目視による管理からシステムによる自動管理への移行が欠かせません。アラート機能を最大限に活用し、現場の負担を減らしながら確実な法令遵守を実現しましょう。
早期にルールの見直しとシステムの要件定義を進めることが、法改正へのスムーズな対応と従業員の健康確保につながります。
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参考:

