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昨今のハラスメント紛争事例の特徴を教えてください。

スマートフォンの普及により、立証の困難さのみを理由として訴えが排斥される場合は少なくなってきています。
公開日時:2021.04.23 / 更新日時:2022.03.09
詳しく解説

Q.昨今のハラスメント紛争事例の特徴を教えてください。

パワハラ防止法の施行を受け、企業として最低限おさえておくべきポイントと、昨今のハラスメント訴訟における傾向と対策を教えてください。

A.スマートフォンの普及により、立証の困難さのみを理由として訴えが排斥される場合は少なくなってきています。

スマートフォンの普及により、多くのハラスメント訴訟において従業員は被害状況を録音・録画して証拠化していることが一般化しています。そのため「言った、言わない」となることは少なく、上司等の発言の評価・文脈が争点となるケースが増えており、立証の困難さのみを理由として訴えが排斥される場合は少なくなっているといえます。

次に、労働施策総合推進法の改正により、使用者としてパワハラを防止するために雇用管理上の様々な措置義務を負うこととされたため、パワハラの行為者に対する使用者責任のみならず、直接的に措置義務違反を理由として責任追及される可能性が出て来たといえます。

また、昨今は従来から問題となっていたセクシャルハラスメントに加え、LGBTに対するSOGI(sexual orientation and Gender Identity)ハラスメントが社会問題化しており、近時経済産業省における戸籍上は男性ながらも女性として就労する原告に対するトイレ使用の制限を違法とし、132万円の損害賠償を認容する裁判例が出ました。

人口の5%~7%はLGBTに該当するという民間の調査結果も出ており、LGBTは特殊な人々ではなく、一定規模以上の企業においては構成員であることが当然といえます。

今後、上記訴訟に象徴されるようにSOGIハラが違法であるという認識が一般化しているにもかかわらず、LGBTに対する差別意識を払拭できない企業においては慢性的・制度的に訴訟リスクを抱え続けるといえます。

LGBTに対する差別意識の解消も、企業の喫緊の課題といえます。

まとめ

スマートフォンの普及により、昨今のハラスメント訴訟における証拠収集は容易になっています。また、パワハラ防止法やLGBT訴訟等、ハラスメントに対する社会の関心は高く、一度ハラスメント紛争が生じれば「ブラック企業」としての風評が生じるリスクがあります。

2021年1月13日時点の情報に基づき作成しております。

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