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従業員が副業先で過重労働による精神疾患にかかりました。当社は責任を負う必要があるのでしょうか?

「業務と疾患との相当因果関係」と「企業の安全配慮義務違反」が争点になります。

2021.04.23

詳しく解説

Q.従業員が副業先で過重労働による精神疾患にかかりました。当社は責任を負う必要があるのでしょうか?

副業を許可している従業員について、過重労働が原因で精神疾患にかかってしまうという問題が発生してしまった場合、副業が原因で過重労働になっているにかかわらず本業である当社が損害賠償責任を負う必要があるのでしょうか?

A.「業務と疾患との相当因果関係」「企業の安全配慮義務違反」が争点になります。

従業員の過重労働を原因とする損害賠償請求訴訟においては、①業務と疾患との相当因果関係、②企業の安全配慮義務違反の2点が争点となります。

この点、長時間労働が健康被害をもたらすことは医学的にも裏付けられており、長時間労働は相当因果関係の考慮要素として重要な位置付けを占めます(①)。

また、企業は従業員の労働時間について管理把握義務を負っているため(労働安全衛生法66条の8の3)、安全配慮義務の判断にあたっては、労働時間の管理把握義務が果たされているかが重要な要素となってきます(②)。

すなわち、安全配慮義務の違反は、結果の予見可能性(このままでは悪い結果(疾患等)が発生してしまうかもしれないな、という予見)と結果の回避可能性(企業として当該結果の回避が可能であること)の有無によって判断されます。

そして、労働時間の管理把握義務を負っている結果、企業として従業員の労働時間を知らなかったとはいえない状況にあるため、過重労働があったこと自体で労災の結果について予見可能性があるとされてしまうケースが多いといえます。また、企業は業務負荷を軽減する(労働時間を削減する)ことが可能ですから、当該従業員の疾患という結果回避可能性も認められます。

以上から、企業として従業員の過重労働を放置・看過した場合には安全配慮義務違反が認められ、結果として損害賠償責任が認められる可能性が高いといえます。

そして、使用者として副業を許可・容認しているということは、自社での労働時間以外にも労働している時間があることの認識があるということになります。そのため、副業についての認識があることで「副業先の労働時間まで合わせると過重労働だな」という予見が成り立ち得ます。

したがって、理論的には副業先の過重労働が原因で本業であるはずの自社も労災の損害賠償責任を負う可能性がある、ということになります。

まとめ

労基法上労働時間を管理把握しなくてもよい管理監督者も、労働安全衛生法上の労働時間の管理把握義務は免れない点に注意が必要です。

2021年1月13日時点の情報に基づき作成しております。

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