勤怠管理ガイド

残業管理は重要課題!勤怠管理システムで長時間労働の是正を

公開日時:2023.09.27 / 更新日時:2024.03.07

2019年4月1日から働き方改革関連法が順次施行されています。そのなかに、「時間外労働の上限規制」があります。残業時間の上限は、休日労働を含まず、原則月45時間・年360時間を超えてはならないという規則です。臨時的な特別の事情による措置も設けられていますが、残業管理や長時間労働の是正は、企業にとって喫緊の課題ではないでしょうか。 今回は、働き方改革関連法に準拠した、残業時間管理をするための取り組みや仕組みづくりについて解説します。

残業管理はなぜ必要?適切に行わなければならない理由

残業管理を適切に行わなければならない理由には、社員の身体面・精神面の健康の維持から、法令遵守に至るまで、さまざまなものが挙げられます。残業管理が適切にされていないと、思わぬ労務トラブルに遭遇する可能性もあるため、けっしておろそかにはできません。

働き方改革関連法「時間外労働の上限規制」への対応

冒頭で述べたとおり、働き方改革関連法の「時間外労働の上限規制」で、時間外労働は「原則として月45時間・年360時間」を上限とし、「臨時的な特別の事情がなければ、これを超えることができない」とされています。また、臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも「時間外労働は年720時間、時間外労働+休日労働が月100時間未満、2~6か月平均80時間以内とする」という規定があります。さらに、原則である月45時間を超えることができるのは「年6か月」までです。

なお、この規制については「36協定」を締結した場合においても、守る必要があります。

このように、長時間労働については厳密に法律で定められているので、企業の責任として残業管理は適切に行わなければならないのです。

長時間労働に潜む健康リスク

残業時間が適切に管理されていないと野放図に残業時間が増加し、長時間労働の温床になりかねません。また長時間労働には、さまざまな健康リスクも潜んでいます。独立行政法人労働安全衛生総合研究所の資料によると、長時間労働による健康リスクのうち、もっとも致命的なものは脳・心筋梗塞とされています。週の労働時間が61時間以上になると、通常(週40時間以下)に比べ1.9倍心筋梗塞のリスクが高まるという報告があるからです。

ほかにも、長時間労働には次のような健康リスクの懸念があります。

  1. 精神障害・自殺
  2. そのほかの過労性健康障害
  3. 事故・ケガ

残業代の適切な支給

残業管理を適切に行わなければならない理由は、残業代を適切に支給するためでもあります。時間外労働に対する割増賃金の料率は、その種類や条件により労働基準法で定められています。働き方改革関連法の施行により、月60時間を超える残業については、従来の25%から50%へと割増率が引き上げられました。

ほかにも、「みなし残業」「固定残業」といった制度で、残業代の設定金額と業務量が見合っていないなどのトラブルも散見します。

残業管理は、このような料率や制度をしっかり把握し、適切に残業代を支給するためにも重要なのです。

社員のモチベーション向上

残業管理が適切に行われ、残業の削減を達成すれば、社員のプライベートな時間が増え、ワークライフバランスの改善につながります。

社員が自分の時間を謳歌し、気持ちに余裕が生まれることで、仕事へのモチベーションも向上し、前向きに仕事に臨む社員も増えるでしょう。社内の雰囲気にも良い変化があらわれ、結果として生産性の向上や離職率の低下などにつながります。

残業管理を適切に行えば、数値では測れない人の内面にも良い効果が生み出されるのです。

残業時間の発生原因は?残業管理は自社の分析から

適切な残業管理を行うためには、残業が発生する原因を把握することが大切です。ここで、一般的な残業の原因について見てみましょう。

個人の能力と業務のレベルや量が釣り合っていない

個人の能力と業務のレベルや量がミスマッチとなっているために残業が発生するケースです。能力以上に就業時間内に業務をこなせないと、時間外であっても対応せざるをえません。また能力が高い人に仕事が集中し、業務量がオーバーしてしまうケースもあります。業務レベルと業務量は、上長がその社員の能力を把握し、適切に調整する必要があります。

評価を下げたくない

会社が定時退社を推奨していても、実態として上長や周りの同僚が残業をしているならば、そのなかをひとりだけ退社するのは気が引けることでしょう。上長からの評価が下がるのではないかという不安から、不要な残業をしてしまうケースも考えられます。

生活費を少しでも多く得たい

固定給に満足できず、残業代で給与を上乗せしようとする人もいます。これを「生活残業」といいます。なかには、残業代を見込んで住宅ローンの計画を立てるケースもあるようです。この生活残業は、かなり根深い問題であるため、会社の風土や制度などを抜本的に見直す必要があるでしょう。

クライアントの都合に翻弄される

仕事をしている以上、必ず相手がいます。その相手がクライアントである場合、仕様変更に対応する、確認がとれるまで帰れないなど、先方の都合に左右されることもあります。このようなケースも想定して、あらかじめ対処法を考えておくことも大切です。

タイムマネジメントができない

自身の仕事に対し、時間の使い方を管理できない人がいます。「集中できない環境や時間帯で仕事をしている」「優先順位の設定が適切でない」など、自己管理に問題があるケースです。

また、自社ではあたりまえだと思っていることが、実は不要な残業の原因だったという場合もあります。原因はその企業によりさまざまなため、業務工程や社員の能力などを今一度点検する必要があるでしょう。

制度とシステム導入が適切な残業管理のカギ

残業管理を適切に行わずに長時間労働を放置していると、社員の健康が損なわれたり、使用者の法令違反が発生したりするおそれがあります。残業が発生する原因を把握し、総合的な見地で複合的に取り組まなければなりません。

それでは、実際に企業としてどのような取り組みをすれば、適切な残業管理が実現できるのでしょうか? 最後にこの点について考えてみましょう。

残業申請制の導入

適正な残業管理のためには、残業の実施状況や残業時間を常に把握することが重要となります。そこで、必須で導入したい制度が「残業申請制」です。残業を行う当事者は、事前に上長へその旨を申請します。上長は、あらかじめ残業を把握できるため、無駄な残業を排除しやすく、結果として残業の削減につながります。いまや多くの企業で採用している残業申請制は、勤怠管理システムでも容易に導入が可能です。

ノー残業デーの検討

1週間のうち、指定した曜日を「ノー残業デー」とし、その日は必ず全員定時で退社するという制度です。厚生労働省が公表している「時間外労働削減の好事例集」では、ノー残業デーを実施した企業と未実施の企業では、1か月160時間以上の超過勤務が12.3%減少したというデータがあります。残業削減に有効な施策といえるでしょう。自社の状況を鑑みて、採用を検討してみてはいかがでしょうか。

評価や報酬制度の再検討

人事評価の評価軸に、決められた時間のなかでどれだけの業務量が達成できたかというように、コストを意識した項目を追加します。そうすることで時間への意識が高まり、残業時間の縮減につながります。

また、評価項目と連携するかたちで、報酬制度でも残業削減達成者に対して、賞与や翌年度の給与にインセンティブを与えるといった施策も有効でしょう。

勤怠管理システムの導入

勤怠管理システムの導入による残業管理は、効率も良く生産性に優れています。現在の労働時間をリアルタイムで把握したり、時間外シミュレーションで今後の残業時間を予測したりと、さまざまな管理ができるシステムです。当該社員や上長など関係者へのアラート通知もできるため、社員の労働時間に対する意識が向上し、結果的に長時間労働の是正に寄与します。

残業や休日・休暇の申請や承認も、勤怠管理システムのなかで完結します。ほかにも、勤怠管理のさまざまな課題に対応できる、いま企業がもっとも注目するシステムです。

まとめ

残業管理を適切に行うためには、まず、自社の現状を分析し、残業の発生要因や発生状況をしっかりと正確に把握する必要があります。

勤怠管理システムであれば、労働時間をリアルタイムで確認できる機能や、残業時間を予測ベースで把握できる機能が搭載されています。それらをタイムリーに把握することで、長時間労働が発生しそうな社員へ先回りしてフォローすることができるでしょう。残業の削減や生産性の向上につなげることも可能です。

勤怠管理システムは、今まで人力で後追いとなっていた業務を効率的かつ正確に処理します。労務管理の生産性向上にも大いに貢献する勤怠管理システムの導入を、ぜひご検討ください。

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