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複雑化する勤怠管理!今年から看護・介護休暇の時間単位管理も追加

2021.02.12

杉本 一裕 氏

杉本 一裕 氏

社労士・行政書士事務所SRO労働法務コンサルティング 代表
人事コンサルタント。大阪府立大学大学院 経営学修士(MBA)修了。IT企業在職中は人事領域のコンサルティングを多数実施。2007年には消えた年金問題で総務省 大阪地方第三者委員会調査員を兼務する。その後、社労士と行政書士事務所を開業。IT・医療・学校・製造業や流通業など幅広い業種の顧問先業務に従事。

連載執筆の労務記事
日経xTECK 「職場のトラブル相談室」、日経SYSTEMS 「IT職場のトラブルQ&A」、他

年々、勤怠データの管理項目が多種多様化してきました。勤怠管理システムがなければ、人事部門はギブアップ状態になります。法改正による必然的な勤怠項目の追加、働き方改革において任意で導入した勤務制度の併用もあり管理も大変です。

働き方改革も含め、労務環境の変化で勤怠管理が複雑に

働き方改革による制度導入、当然ながら勤怠項目に影響します。例えば、時間単位の有給休暇や半日有給休暇制度の導入、フレックスタイムやテレワーク制度の導入など、新たな運用を開始した企業も多いです。近々では、2021年1月から法令で看護や介護休暇の時間単位取得が義務付けられました。労働者は1時間毎に看護休暇等を取得することができるので、時間単位の管理が必要になります。

法令での義務化によるもの、あるいは任意導入した勤務制度により管理項目は多種多様です。年々、管理しなければならない勤怠項目が増えているのです。法令による対応は義務ですが、任意で導入している勤務制度との併用については利用可否のパターンを会社の実情に応じて切り分けておきましょう。

例えば、テレワーク勤務と通常勤務の併用でよく相談があります。通常出社して、昼から自宅でテレワークする。午後からの帰宅(通勤)時間分も指揮命令下と考えると労働時間になります。終日、出社して働いている社員からは通勤時間分を損しているという不公平感がでてきます。通勤時間が労働になっているからです。単独の制度で考えると問題がなくても、併用により問題がでてくることが多々あるのです。

複雑になる勤怠管理の例

筆者が、勤怠管理システム抜きでは対応が難しいと考える制度について述べます。たくさんあるので数例をとりあげ説明します。法律的な対応によるもの、任意導入によるもの、それぞれで例示します。

自社の残業時間、法令上の残業時間は一致しません

過重労働による健康障害の懸念から、労働基準法により残業時間の上限が規制されました。大企業は2019年4月、中小企業は2020年4月から施行されています。複数月平均で80時間、単月で100時間を超える残業はできません。社内規程による残業時間ではなく、正しい法令上の残業時間を管理しておくべき労務環境になっています。1日8H・週40Hを超えた分が残業時間として25%割増、法定休日に勤務した場合は35%割増となります。

この法令上の残業時間と会社の残業時間が一致しないのです。1日7.5H勤務の会社を例にします。今日9H働いた場合は、法令上は1Hの残業なのですが、1.5Hの残業時間として給与計算している会社が多いはずです。午前休みをとって出勤した場合も、8時間を超えるまでは残業ではないのですが、定時退社の時刻以降を残業としている会社が多いでしょう。祝日があった、あるいは有給休暇を取得した週の場合も計算結果が異なります。

週40時間を超える時間が、休日を含む残業時間です。目安として、暦日31日の月であれば177.1時間(31日÷7日×40時間)を超えた分になります。給与明細書の残業時間より少ないと感じるでしょう。これだけでも手作業で管理するのはたいへんです。労働基準監督署の調査では、過重労働や労働基準法の上限規制、36協定違反がないかをチェックされます。法令上の残業時間も管理しておくべきです。

中小企業も、2023年から計算が必要な60時間超え残業25%割増

大企業では2010年から60時間超えの残業について25%の割増加算を行っています。中小企業も、2023年から対応しなければなりません。60時間を超える残業時間には、法定休日(例.日曜日)の勤務時間は含みません。平日残業と所定休日で60時間を超えた残業時間が25%加算となります。ノーマルな運用例で7パターンあります。60時間以上の残業がある会社では考慮が必要です。


看護休暇と介護休暇の時間単位取得

今年(2021年1月1日)から、法令により子供の看護休暇と介護休暇が時間単位で取得できます。今までの半日単位については、1時間単位の運用で代用できます。1時間単位で有給休暇制度を導入している会社は同じイメージで考えるとわかりやすいです。現在のところ、看護休暇と介護休暇をとる社員は少ないと思います。無給扱いの会社が多く、社員は有給休暇をとるからです。とはいえ、法令での義務化なので時間単位での休暇取得に対応しなければなりません。社員数の増加や高齢化が進み要介護の家族が増えていくと思います。今後は取得する社員も増えていくのではないでしょうか。

時間単位の有給休暇と同様に、明確にしておくべきことは何時間の取得で1日分の消化になるかということです。例えば、7.5時間勤務の会社だとします。1時間単位なので8時間の取得で1日分の消化としてカウントします。端数は社員が有利になるようにするからです。

なお、中抜けまで対応する義務はありません。家が非常に近い社員を除いて、通常は出社と退社のタイミングに合わせて使うと思います。会社の実情に合わせて検討してください。フレックスタイム制度や時差出勤、1時間単位有給休暇を可としている会社では、その併用も考えると勤怠管理は複雑です。

もはや、手作業での管理は不可能な3ヵ月清算のフレックスタイム制

フレックスタイム制という言葉はご存知でしょう。会社にいなければならない時間帯(コアタイム)を除いて、いつでも出退勤を可能とする制度です。例えば、171時間の勤務が必要な月なら、月末で171時間以上になればよいわけです。前半早く帰っていたのなら、後半に遅くまで仕事をして帳尻を合わせることができます。1ヵ月単位ならExcelなどで社員個々に勤怠を管理させることも可能かもしれません。しかし、下図のように3ヵ月単位と考えるともはや無理でしょう。

【出所】厚生労働省 パンフレット(働き方改革関連法解説)
【出所】厚生労働省 パンフレット(働き方改革関連法解説)

導入する場合、社員に時間コントロールできる能力も必要です。時間マネジメントが苦手な社員は、月末が近づくと残業が増える傾向にあります。月末になって労働時間が足らないとあわてるからです。筆者は、時間管理が複雑であり、社員にもわかりづらいので導入を勧めていません。3ヵ月清算だからといって、単月に仕事を集中させるのは健康配慮面からよくありません。導入するにしても、勤怠管理システムがなければ現実的に難しいです。

最後に

正確な法令上の残業時間、60H超え残業割増の対応、タイムリーな話題として看護や介護休暇、勤怠管理が特に複雑になる例として3ヵ月清算のフレックスタイム制を例にあげました。これらは1例にすぎません。年々、法改正や任意の制度導入で勤怠管理が複雑化しています。自社の現実的な働き方から、なるべく単純な制度運用をお勧めします。勤怠管理システムベンダーの営業やSEに相談しながら事前検討を綿密に行ってください。

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