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【人事・労務向け】2025年の高年齢者雇用の法改正をひとまとめ!

公開日時:2023.01.30 / 更新日時:2023.02.16

2025年問題がクローズアップされる中、高年齢者の雇用に関する法改正や、経過措置の終了が2025年に予定されています。65歳以上の従業員を多く雇用している会社や、2025年に高年齢者の雇用を想定している会社の人事・労務担当者や経営者の方にとっては、大きな影響があるため、対応が急務といえるでしょう。
本記事では、「雇用保険法」の改正による高年齢雇用継続給付金の縮小や、「高年齢者雇用安定法」の経過措置終了による企業への65歳までの雇用確保義務化など、企業がおさえておきたい法改正について解説します。

2025年4月施行予定

【2025年4月施行】雇用保険法に基づく高年齢雇用継続給付の縮小により、企業が受ける影響とは?

高年齢雇用継続給付金は2020年度に雇用保険法が改正されたことにより、2025年4月から縮小される予定です。超高齢社会を迎える中、法改正により高年齢者の勤務環境が整備されたことによって、高年齢雇用継続給付金は段階的な縮小を経て、いずれ廃止の方向となっています。

本記事では、この改正により、企業側が対応しておきたいポイントを解説しています。

高年齢雇用継続給付金制度の縮小により、60歳〜65歳未満の雇用保険被保険者の社員の賃金は減ることになります。そのため、企業側は高年齢者の賃金が減っても働き続けられる環境の整備や、不公平感の軽減など、賃金制度・雇用環境の見直しが必要となるでしょう。

2025年3月経過措置終了

高年齢者雇用安定法による、65歳までの雇用確保義務の経過措置は、2025年3月に終了します。終了以降、企業には、65歳まで継続雇用を希望する従業員について「希望者全員雇用」の義務が発生します。

現行制度では、2012年の法改正により、継続雇用制度の適用年齢を段階的に引き上げる経過措置が取られています。

【継続雇用制度の経過措置による適用年齢の段階的な引き上げ】

段階的な引き上げの期間継続雇用の対象者を限定する基準
2013年4月1日~2016年3月31日61歳以上の従業員に対して限定可
2016年4月1日~2019年3月31日62歳以上の従業員に対して限定可
2019年4月1日~2022年3月31日63歳以上の従業員に対して限定可
2022年4月1日~2025年3月31日64歳以上の従業員に対して限定可
.2025年4月1日~経過措置終了=65歳までは、継続雇用を希望する従業員全員を雇用する義務が発生
継続雇用の対象者を限定できるのは、限定基準について労使協定に記載がある場合

ここから、詳しく解説します。

「高年齢者雇用安定法」経過措置の終了による65歳以上の雇用確保義務化

高年齢者雇用安定法の経過措置終了に伴い、同法第9条において、以下3点のうち、2025年4月からいずれかの雇用確保の実施が義務付けられました。

①65歳までの定年の引き上げ
②65歳までの継続雇用制度の導入
③定年制の廃止

このうち、②の「継続雇用制度」については、2025年3月をもって経過措置が終了します。継続雇用制度は、高年齢雇用者について、本人の希望があれば定年後も引き続き雇用する制度を指し、具体的には「再雇用制度」や「勤務延長制度」が挙げられます。

さらに2021年4月1日には、上記に加えて65歳から70歳までの雇用機会創出を目的とした、雇用の努力義務が新設・施行されています。

義務化の注意点

継続雇用義務化のポイントとしては、「65歳定年制度」が義務化されたわけではないことに留意しましょう。

65歳まで雇用を継続する再雇用制度や勤務延長制度があれば、前項の条件②を満たしているため、定年を60歳以上に引き上げる必要はありません。ただし、定年が60歳を下回ってはいけない規定は遵守する必要があります。

継続雇用制度で2025年4月に義務化される部分は、前述のように、65歳まで引き続き勤務を希望する全従業員を、企業が継続して雇用しなければならない点です。

また、70歳までの雇用確保については、2021年4月の法改正で定められた努力義務で、下記の5つの内容が挙げられます。

■ 65歳までの雇用確保 = 義務(2025年4月1日~)
*原則として「継続雇用の希望者全員」

■ 70歳までの雇用確保 = 努力義務*(2021年4月~)
*努力義務の5つの内容

①70歳まで定年年齢引き上げ
②70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度等)を導入 
③定年制の廃止  
④70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入  
⑤70歳まで継続的に事業(事業主による社会貢献事業)に従事できる制度の導入

*④⑤については、過半数の労働組合員や労働者の過半数を代表する従業員の同意を得る。

努力義務は罰則がないものの、違反した場合や、努力を怠ったり反対の行為を行ったりした場合には、行政指導や損害賠償のリスクが考えられます。

努力義務を採用する際には、労使間で十分な協議を行い、従業員の意向も踏まえてトラブルのないよう取り決めましょう。

現行は65歳までの雇用確保義務ですが、今後は70歳までの継続雇用義務化も想定されるため、政府の方針のチェックが必要です。

経過措置終了に伴う2025年4月からの企業の対応とは?

高年齢者雇用安定法の経過措置終了により、企業に求められる対応は以下のとおりです。

  • 雇用契約の見直し
  • 就業規則の見直し
  • 従業員への周知不足
  • 上記に伴う、勤怠管理システムの見直し・改修

雇用契約の見直し

企業は、経過措置終了後の雇用契約内容や、就業規則を見直す必要があります。定年を延長する場合には、新たな雇用契約は不要ですが、定年退職後の再雇用や労働条件の変更を行う際には別途契約を行う必要があります。

就業規則の見直し

また、退職・解雇に関する事項は就業規則への規定が義務付けられているため、変更漏れのないよう注意が必要です。さらに、就業規則を改定した際は、所管の労働基準監督署への提出が必須となっています。

賃金制度の見直し

シニア層を活用するに当たり、雇用保険法改正での給付金縮小を踏まえて賃金制度見直しも必要です。知見や経験豊富な人材は、企業にとって欠くことのできない存在といえます。人手不足を補うためにも、仕事内容や実力に見合った賃金制度に見直しましょう。

勤怠管理システムの見直し・改修

雇用契約内容や賃金の見直しを行った際には、勤怠管理システムも再検討し、必要な改修を行いましょう。

再雇用による継続雇用の場合は、定年を迎えた従業員を一度退職させてから、改めて再雇用します。その際、正社員の身分ではなく、嘱託社員や契約社員、アルバイトといった別の雇用形態が適用されます。そのため、勤務時間や勤務日数、給与の減少など、正社員の頃とは勤務条件が異なると想定されるため、勤怠管理の適用方法も合わせる必要があります。

まとめ

65歳定年制度が義務化されたわけではないものの、65歳までの継続雇用の義務化や、70歳までの雇用努力義務など、企業には高年齢者雇用への対応が求められています。

これらの対応として、雇用契約や賃金制度を適切に見直し、必要があれば現行の勤怠管理システムの更新・改修を行うことが重要です。

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